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万葉集は不思議と謎の宝庫。万葉集を片手に、時空を超えて古代へ旅しよう。歴史の迷路に迷いながら、希代のミステリー解こう。

14愛し合う二人が求めた紀伊國の真珠

2017-02-14 09:43:41 | 14愛し合う二人が求めた紀伊国の真珠

14紀伊國の真珠懸けた願い

万葉集の巻九の冒頭の三首は、泣けてしまう歌です。一首目は、前日のブログで紹介しました。雄略天皇の歌となっていました。

次の二首は作者名が分かりません。しかし、この二首は相聞になっています。男女が消息(愛)を確かめ合う歌です。

それも岡本天皇の紀伊国行幸の時の歌です。さて、舒明・斉明のどちらの天皇の行幸でしょうか。

1665 愛しい人のために、わたしは玉を拾いたい。沖の深い海の底から玉を持って来てくれ、沖の白波よ。(私はどうしても拾いたいのだ。拾って白玉に懸けたい願いがある)

1666 早朝、貴方はここへ来たけれど、朝霧に濡れてしまった衣を干す間もなく急いで出発して、あなたは独りで山道を越えて行くのだ。(早く、急いで山道を越えてください。どうぞ、ご無事で。わたしは待っています。いつまでも)

上の二首は、愛し合う二人の別れの場面ではありませんか。それも訳アリの二人のようです。どんなわけがあるのか、人麻呂の時代の人は十分に承知していました。

男性が探した白玉は真珠です。瀬戸内の小島の海人が潜水して真珠を得ていたそうです。その白玉は、霊力を持った玉・魂にも通じる玉なのです。「珠だすき」という頭部にのせる神事のアイテムの材料でもありました。海の底の霊力を持つ真珠を手にして願い事をする、男性は差し迫った問題を抱えていました。大事な人の為にもそれを解決しなければならなかったのです。

さあ急いで、貴方に追っ手が来るはず、だから一刻も早く、山道を越えて逃げてください。私は待ちます、貴方の嫌疑が晴れて再びお会いする日まで、私は待ち続けます。女性の悲痛な叫びが、そして強い意志が伝わります。

この歌を詠むと、千年以上の時を越えて泣けるのです。

紀伊国由良の埼・この浜を古代の人も見たのでしょね

この浜に立つと、古の風に触れることができます。晴れた日には海の青が心にしみてきます。

また明日。


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