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MONSTA X小説【君は僕のHERO】第1話

2017-03-20 16:42:20 | MONSTA X小説

新緑が綺麗な季節になった。
新しい生活にも慣れ始め中だるみの出る頃だ。
外はまるでもう夏のように暑くていい天気だった。
イ・ミニョクは眩しい光を浴びてTV局のガラスの扉を抜け、アルバイトと書かれた写真付きの身分証をかざして中へ入っていく。
・・・急がないと…また怒られちゃう・・・
そう思いながら焦ってエレベーターに乗り込みスタジオのある階のボタンを押した。
まだ眠い。
昨日も家にたどり着いたのは深夜だ。
この4月から大学の勧めもあり、見習いとしてミニョクはこのTV局でバイトをしている。
雑用がほとんどで音楽番組の部署にいるミニョクのすることは自分が3人は欲しいくらいの忙しさだった。
「すみません…通ります…おはようございます…」
ミニョクはいつものように明るい笑顔を振りまきながら細い廊下をエレベーターを降りて走り出した。
出演者たちでごった返すスタジオの重い扉を開けようとすると勝手に扉が開いて中から一人の青年が飛び出してきてミニョクとぶつかった。
がたいのいい青年に思い切りぶつかられてミニョクは思わず後ろに倒れかけてその青年のガッチリした腕に抱きとめられた。
「すみません…」
「俺こそ…すみません…」
青年はそうボソッと言うとすぐにミニョクを離して逃げるように細い廊下へと走り去って行った。
チラッと見た横顔のその切れ長の瞳に涙が光っていたようでミニョクは思わず小さくなっていく背中に声をかけようとして飲み込んだ。
・・・誰だろう…きているものは衣装みたいだったけど…新人アイドルかな・・・
とミニョクは今日、出演する予定のアイドルたちのリストを見つめる。
でも、そこに彼の姿はなかった。


午後2時過ぎ。
本番の撮影が開始される。
ミニョクは目の回るほどの忙しさに追われていた。
一応言われたことを全てこなしてふっとステージを見るでもなく見た。
ステージでは女性アイドルが男性ダンサーを引き連れて歌っていた。
「あっ、あの人…」
端っこで目立たないように踊る青年が思わずミニョクの目に止まりそんな言葉が口をついて出た。
そう、さっきの泣いていた青年だったのだ。
今はさっきの泣いていたことが嘘のようにキレのいいダンスを見せている。
いくら端で隠れるようにしててもその鍛えられた身体から繰り出される動きは一つ一つがとても美しくてミニョクは女性アイドルより彼に目が釘付けになっていた。
「お疲れ様です…はい…タオル…」
「えっ、俺にですか?」
「はい…」
女性アイドルの出演が終わりはけてきた出演者に全てタオルと飲み物を配ってからミニョクはあの青年を見つけてタオルを渡し飲み物を差し出した。
彼はそれらを受け取るとあっという間に飲み物を飲み干し、タオルでガシガシと髪やら首筋やらを拭き始めた。
そんな男らしい仕草に何故かドキッとしながらミニョクは彼に思い切って声をかけた。
「あの…」
「はい?」
「あの…大丈夫ですか?さっき泣いてた気が…」
そう言ったミニョクに青年はふっと視線をそらして少し辛そうに口をつぐんだ。
ミニョクは焦って
「あっ、すみません…。僕、余計なこと言いました?見なかったことにしときます…。全く…僕、お喋りだから平気で知らない人にもこんな風に話しかけちゃって…いつも避けられるんですよね…」
そう言って笑って見せた。
そんなミニョクを青年は不思議そうに見つめ。
「ソン・ヒョヌです…」
そう言った。
「えっ?」
「ソン・ヒョヌ…24歳…。未だにバックダンサーで、それさえも満足に出来ないダメなやつです…。タオルと飲み物ありがとうございました…。それじゃ…次のステージがあるんで…」
「えっ…あ…」
急な彼の自己紹介に戸惑って何も言えないミニョクに彼は爽やかに笑いかけ、スタジオを出て行った。
そのたくましい後ろ姿にミニョクは小さく
・・・僕はイ・ミニョクです…。あなたのファンなりました・・・
そう呟いていた。


シン・ホソクはとにかく急いでいた。
舞台やイベント、コンサート、そんなものを一手に引き受けている会社でホソクは新入社員として働いている。
今日は初めて彼が関わった舞台の初日だった。
それで雑用係としてあっちこっち走り回っている。
各スタッフが滞りなく準備してるか出演者のケアは行き渡っているか、入場するお客に配るフライヤーの一枚にさえ気を回さなければいけない。
「はぁー、アホみたいに暑いっていうの…全く…」
そう言って持っていた書類で自分を扇ごうとして派手にそれをばらまいた。
「あーあー、ったくもうっ…」
「大丈夫ですか?」
そう声がして書類を拾おうとしてしゃがんだホソクの目線に大きな瞳が綺麗で、唇の厚い美形の青年が現れた。
その美形の迫力にちょっと後ずさる。
そういうホソクだって会社にちょっとしたファンクラブが出来るほどの美形で身体も鍛えていてスーツがよく似合う。
「あっ、はい…すみません…」
「忙しそうですね…。何か手伝うことがあったら言ってください…」
青年はそう言ってホソクに集めた書類を手渡し微笑んだ。
ホソクは立ち上がりその青年も立ち上がった。
ホソクより弱冠背が高くひょろっとしている。
モデルのようだった。
「あっ…大丈夫です…。今んところ…あの…」
「あっ、僕…今日のミュージカルの代役で…」
「代役…?」
「はい…。一応主役の方の代役なんですけど…。多分僕の出番はないから暇なんです…」
「そう…なんですか…。あの学生さん?」
「はい…芸術大学の4年生で…チェ・ヒョンウォンです…」
「えっ、そうなんだ…。僕もそこの卒業生なんだよ…。科が違うから会ったりしないものだね…」
「そうなんですか…。じゃ、先輩ですね…」
「うん…。シン・ホソク…今はこういう舞台やイベントなんかを作る方の会社にいるけど大学の頃は歌手になりたかったんだ…」
「そうなんですか?やっぱり厳しいんですね…仕事にするのって…」
「まぁね…一握りだから…歌手になれるやつなんて…」
そう言ってちょっと微笑むホソクに向こうから呼ぶ声がした。
「あっ、じゃ…僕…仕事まだあるから…ありがとう…。あと、出番回ってくるといいね…」
「あっ、はい…。お仕事頑張ってください…」
いつまでも後ろで見守ってる彼にホソクはとても好感を抱いた。
・・・代役には惜しいよな…あいつ・・・
そう思いながらホソクは小走りで楽屋の方へ向かった。



その日、午後も遅くなり雨が降ってきた。
天気のいい日は暑いくらいだが、こんな風に雨が降るとまだ肌寒い。
ユ・ギヒョンは一枚上着を羽織ってキッチンへ行き温かいカフェオレを入れ始める。
「ただいま…」
「おっ、おかえり…」
「兄さん…今日は早いんだね…。オーディション…ダメだったの?」
言いにくそうに雨に濡れた髪をバサバサと振ってイム・チャンギュンがキッチンへ入ってきた。
「何でわかるの?」
キヒョンがもう一つコップを出してカフェオレを入れ、チャンギュンに渡した。
「ありがとう…。わかるよ…もう一緒に暮らして長いでしょ…。キヒョン兄さんなら受かってたら多分今頃一人でビールでも飲んで歌ってるよ…同じ曲を何回もね…」
「はは、…お前は何でも知ってんだね…。まっ、もともと今回のオーディションは無理そうだったから…。実力が違うってわかってたし最終まで行けただけでいいよ…」
「落ちてもポジティブなのも兄さんらしい…」
「こいつ、生意気だな…。そういうお前は大学どうなんだよ…」
キッチンのテーブルで向かい合って座り2人でカップを両手で持ってそう話している。
2人は本当の兄弟ではなかった。
キヒョンは両親を知らない。
チャンギュンの両親が経営している病院に置き去りにされていた、まだ生まれて間もないキヒョンもを可哀想だとチャンギュンの両親が養子に迎えたのだ。
チャンギュンはまだ1歳で、キヒョン3歳になるかならないかだった。
それから2人は兄弟として育ってきた。
チャンギュンの両親はキヒョンのことも分け隔てなく愛したし、キヒョンはまだ幼くて大人しくてちょっと内気なチャンギュンのことを本当の弟のように可愛がってきた。
今は互いにいい相談相手だったしチャンギュンにとっては夢に向かって走るキヒョンが羨ましくて憧れだった。
「大学?まぁまぁかな…。兄さんと違って成績優秀だからね…」
そういうチャンギュンをキヒョンは…コイツっ…とおデコをピンっと指ではじいてやった。
「イッタ…。もう、デコピンする22歳なんてそういないよ…」
「うるさ…。何語だかわかんない厚い本を3日で読んじゃう大学生もそういないよ…」
チャンギュンはそういうキヒョンにおデコをさすりながら
「あれはドイツ語です…」
そういった。
「ドイツ語…。ドイツってどこにあるんだ?まっ、いいや…俺…先寝るから…。あっ、その前にお肌のお手入れしなきゃ…」
と、キッチンの流しにコップを置きに行く。
そんなキヒョンをチャンギュンは追いかけて
「お肌じゃなく…喉の手入れしたら…」
そう言いながらすっとその腰に腕を滑り込ませて抱きしめる。
ほとんど変わらない背のキヒョンの首筋にチャンギュンは鼻をつけてキヒョンの匂いを吸い込んだ。
「おいっ、くすぐったいよ…」
「おやすみの儀式でしょ…」
もう10年くらい続けてきた2人だけの秘密だった。
普段はクールで絶対人に甘えない、両親にも甘えないチャンギュンが唯一甘える時間だ。
キヒョンだけが唯一弱いとこを見せれる相手だった。



続く。
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