COCCOLITH EARTH WATCH REPORT

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シンディ・ローバーさん かわいそうなぞう英訳版の朗読で平和への願いを訴え

2008-10-07 12:43:54 | Weblog
はじめに
 10月3日のNHK衛星第一で放送されたきょうの世界11時台の特集に、アメリカの人気歌手シンディ・ローパー(Cyndi Lauper)さんが出演しました。シンディさんはユニークでパワフルなパーフォーマンスで1980年代に一躍注目を集め、その後はスランプの時期もありましたが、現在でも第一線で活動しています。デビュー当時から社会活動にも熱心で、1985年に全米の大物アーティスト達が一堂に会してアフリカの飢餓救済を訴えたUSA For AFRICAで、『We Are The World』のレコーディングに参加して熱唱を披露しました。10歳の男の子の母親で、大の親日家としても知られています。今回の出演では、シンディさん自らが朗読を担当し、日本語版と合わせてCDが発売された童話「かわいそうなぞう」英語版に託した思いに加えて、アメリカについても語りました。

1.かわいそうなぞうについて
 童話「かわいそうなぞう」は、第二次大戦中に上野動物園で起きた実話をもとに1951年に描かれました(作 土家由岐雄、画 武部本一郎、金の星社)。当時の動物園で飼育されていた3頭の象は、空襲で檻が壊れて街に逃げ出さないようにと餓死させられ、飼育員達は悲嘆にくれたのです。今年で91歳になる評論家秋山ちえ子さんは、終戦記念日8月15日のラジオなどで40年にわたり、この童話を朗読して戦争の悲惨さと、平和への願いを訴え続けてきました。この8月に秋山さん朗読による日本語版と、シンディさん朗読による英語版を合わせて収録したCD(金の星社、\1500)が発売されました。

2.シンディさんが朗読することになったきっかけ
 シンディさんは初めて日本に来た時、広島の原爆記念館を訪れ、この記念館を見れば、もう戦争をしてはいけないとだれもが理解すると思いました。見なければ理解できず、戦争のことを思い出すこともできない。何時か戦争の悲惨さも忘れてしまうので、この機会に自分でできることがあれば何かやりたいと申し出て、かわいそうなぞう(英語版)あることを知りました。とても単純で、悲しい言葉で語られているのを読んで、泣いてしまったそうです。この童話を息子さんが赤ちゃんの時から読み聞かせ、朗読のレコーディングの時も、息子さんに対するように思いを込めて読んだそうです。

3.「かわいそなぞう」の一部の朗読
 シンディさんは番組の中で、丁野キャスターの勧めに応じて、英語で以下の部分を朗読しました。

象が死んだ 象係の人々が叫びながら事務所に飛び込んできました。
げんこつで机をたたいて泣きふしました。
動物園の人たちは象の檻にかけ集まって、皆どっと檻の中へ転がり込みました。
象の体にとりすがりました。象の体を揺すぶりました。
皆おいおいと声をあげて泣き出しました。
その頭の上を またも爆弾を積んだ敵の飛行機がゴウゴウと東京の空に攻め寄せてきました。
どの人も象に抱きついたまま、拳をふり上げて叫びました。
戦争をやめてくれ、やめてくれ!(Stop the war, stop the war, stop all war!)
後で調べますと、たらいくらいもある大きな象の胃袋には、一滴の水も入っていなかったのです。
その3頭の象も、今はこのお墓の下に静かに眠っているのです。
動物園の人は目をうるませて、私にこの話をしてくれました。
そして吹雪のように桜の花びらが散りかかってくる石のお墓をいつまでもなでていました。

 シンディさんはこの本の朗読を通して、戦争はよくない、いい筈がない、様々な問題について少し違った解決方法をみな模索すべきだとの思いを伝え、コミュニケーションという方法で、人々にアッピールを続けて行けば、何時の日かその解決方法が見つかるのではないかと願っています。換言すれば、コミュニケーションこそが重要だと考えています

4.秋山ちえ子さんとの面会
 シンディさんの今回の来日の大事な目的の一つは、秋山ちえ子さんに会うことでした。番組では、会見の場面の一部が紹介されました。
シンディさん「とても悲しい話ですね。」
秋山さん「私には反戦の話を次の世代に語り継ぐ義務があります。」
シンディさん「その事を全てのアメリカ人に伝えたいです。」
秋山さん「どうも有難う。あなたのお蔭で、アメリカの子供たちがこの物語を聞くことができます。」
会見後の秋山さんの談話「今度アメリカで、こういうシンディ・ローパーさんが読んでくださって、それで今日お会いしてね、最初に手を握ったときに、ああ言い方なのだなと思ったのです。アメリカの子供がね、何を思ってくれるか、きっとかわいそうって、戦争っていやだなと思うのではないかしらと思ったらね、とってもまた特別の種を蒔いたのではないかと思ってとても嬉しかった。」

5.アメリカの状況についての対話
 シンディさんは今年発表したRacing Stormで、「苦しみの海に怒りの嵐が起きている、あなたのセレブぶりは私の心を曇らせる、私にとって今は暗い時代なの」と、今の世界やアメリカに対する怒りとも取れる歌を披露しました。以下は、番組後半にアメリカの状況について興味ある対話の書き取りです。

市瀬キャスター「アメリカはテロとの戦いの名のもとに、イラクやアフガニスタンでの戦闘を今も続けています。この状況をどう見ていますか?この状況を変える方法はあるのでしょうか?」
シンディさん「私は政治家ではないので、明らかに分かることは、戦争には反対ということです。方法は分かりません。ただ、戦場に出向いた多くの若者が片足、あるいは両足を失っていました。怪我や精神的な後遺症が彼らを苦しめているのです。これは、私たち自身がもたらした結果ではないかと思っています。生活そのものを変える必要があるかも知れません。アメリカでは今後10年で非常に大きな変化が起きるでしょう。願わくは、皆が良い方向進めればと思うのです。」
市瀬キャスター「その意味で今度の大統領選挙はあなたにとってどんな意味を持つのでしょうか?」
シンディさん「とても大切な選挙です。国のために正しい選択をすることは、非常に重要です。正しい選択とは何でしょうか。皆それぞれ意見が異なります。しかし、これまで起きていたようなことを、これ以上受け入れるわけにはゆきません。アメリカは本当に問題を抱えていますから。」

話題は、今全米の注目を集めている共和党副大統領候補ペイリン氏にも及びました。

シンディさん「彼女が女性であること、女性が副大統領候補に指名されたことは本当に素晴らしいことだと思います。しかし指名されたのは、彼女が党の言いなりだからではないでしょうか。女性のために戦っているとして評価されているのではないと思います。それには程遠いと思います。人口の少ない州の知事を務めても、経験とは呼べません。そのような経験で私たちの子供や孫に影響を与える立場にはならないで欲しいと思っています。これはあくまで私個人の意見で、事実はどうか分かりません。でも、いずれにしても今世界は大変な時代を迎えています。」
市瀬キャスター「30年もの間、歌手を続ける動機となっているものは何でしょうか?」
シンディさん「分かりません、何が動機となって現在も続けているのか、生きるため、それが私だから、私にとって歌うこと、生きること、息をすることは切り離して考えることはできません。使命を持って生まれてきたら、人はそれをやるしかないのです。こういう本を子供たちに読み聞かせて、戦争とは何か、戦争によってどんなことが起きるか理解させることはすごく大切なことです。戦争がもたらすものは、華々しいものではないということをいうことを、私は政治家ではありませんから、世界中でもう戦争は止めようと歌い続けることしかできません。しかし、それは良いことだと信じているのです。」

あとがき
 シンディさんは今回CDのために朗読した報酬の受け取りを辞退し、上野動物園に寄付するよう申し出たそうです。浮き沈みの激しいトップ・アーティストの座にありながら、デビュー当初から社会活動を心掛け、平和への願いを訴え続けていることに共感を覚えました。少数にせよ、広島の原爆記念館を訪れた外国人達が、核や戦争の脅威を直感して、個人で何かできることを模索してくれていることを見習いたいと思います。
 シンディさんはコミュニケーションこそ重要と語っていました。折しも読んでいたダライ・ラマ著、平和のために今できること(ダイヤモンド社 2008、\1200)にも、「宗教間の調和に対する障害を克服し、お互いの理解をもたらすための最善の方法は、他の宗教を信仰している人たちとの対話です」と述べてありました。

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