オリオン村

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原子炉の蟹

2017-07-17 00:02:00 | 読書録

原子炉の蟹

講談社

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原発の下請け業者の社長が失踪、その後に青函連絡船での投身自殺から始まる連続殺人は「サルカニ合戦」を模した事件に広がりを見せて、その謎を探る新聞記者の物語です。
事件を隠蔽しようとする電力会社、都合の悪いことは警察権力を駆使してでも闇に葬ろうとする政府関係者と、福島原発事故の経緯からすれば珍しくもなく、そうだろうなと思ってしまう内容ではありますが、しかしこの作品が1981年のものとなれば慧眼なのか、それとも事故が起きて初めて表面化をしただけの「常識」なのか、おそらくは後者なのでしょう。
九十九里浜原発という架空のものではありますが首都圏に限らず次にまた同じような災害が起きれば日本にとっては致命傷になるはず、それでも次々と「規制基準に適合していると判断しているだけで安全と言っているわけではない」と言い放つ原子力規制委員会のお墨付きを受けて再稼働をする原発、喉元過ぎれば、です。

しかしこの江戸川乱歩賞を受賞した作品は、原発の闇をテーマとした社会派サスペンスではありません。
福島原発事故を経たからこそそういった思いで読んでしまう、そういう意味では作者が意図したものとは違う受け止め方をしてしまったのでしょう。
それでも被害者が握りしめていた紙に書かれた「サルカニ合戦」を見立てた殺人、その裏に隠された恨み、そして復讐の虚しさ、後悔、崩れていく幸せ、ただの殺人事件ではないいろいろな要素が入り乱れているからこその受賞なのでしょうし、30年以上も前のものですから古くささは否めませんが、そんな今だからこそ手にすべきだと思います。


2017年7月14日 読破 ★★★★☆(4点)


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