オリオン村(跡地)

千葉ロッテと日本史好きの千葉県民のブログです
since 2007.4.16
写真など一切の転用、転載を禁止します

2008年通信簿 31 渡辺俊介

2008-11-13 18:50:39 | 千葉ロッテ

31 渡辺俊介 投手 32歳 年俸1億3000万円

【2008年成績】 26試合 13勝8敗0S 防御率4.17 172回2/3 195被安打 17被本塁打 29与四球 13与死球 104奪三振 被打率.291

今年は清水とともに13勝で勝ち頭となってチームを引っぱった渡辺俊ですが、良いときと悪いときの差がはっきりとした安定感に欠けるシーズンでした。
3年ぶりの2桁勝利も素直に喜ぶことが出来ない、本人もそんな思いを抱いているのではないでしょうか。

調子が良いときの渡辺俊はまさに無敵状態で、持ち味の緩急を使ったピッチングが冴え渡りました。
ストライクゾーンの上下左右に加えて前後まで使った三次元での配球は見事で、体勢を崩されてヘロヘロなスイングをする打者が続出し、いきおい追い込まれる前にと早打ちをしてくれるために球数も少なく済み、まさにサブマリンが敵を地上から海に引きずり込むかのような渡辺俊ワールドです。
ところが調子が悪いときはすっぽ抜けが多くなり、ここぞという場面での痛打であっと言う間に大量失点をしてしまうケースが目立ちました。
与四球こそは昨年とさほど変わりませんが、与死球がリーグトップで昨年の4倍以上の13個を数えたことが、いかに意図しないボールがいってしまっていたかを示しています。
昨年に引き続き被弾が多く課題解消ができなかったのも、ストレートが高めにすっぽ抜けることが多かったことが一番の理由です。
また被安打もリーグ最多で、それでも粘り強くゴロを打たせてピンチを切り抜けるテクニックはさすがではありましたが、見ていて落ち着かなかった試合が非常に多くありました。

変化球で勝負するタイプだけに風の強い屋外球場、特に地元の千葉マリンを得意とする渡辺俊ですが、逆に無風のドーム球場を苦手にしていると言われています。
しかし単にそれだけで語れるほど、今年の不安定さは単純ではないように思えます。
技術的なことでの指摘はなかなか難しいですが、深く沈んで投げるフォームである下手投げですから、下半身の粘りが重要であることは間違いありません。
そういう見方をするからそう見えているだけなのでしょうが、打たれているときは沈みきらずに手投げになっているように思え、手先でコントロールしようとするが故にすっぽ抜けが増えている、何となくそんな気がしています。
どうしても年齢を重ねることで衰えていく下半身ですから、来季以降もこの衰えとの戦いになっていくのかもしれません。

しかし4点台の防御率ほど悪い印象がないのは、抑えたときの抑えっぷりがあまりに見事すぎたからなのだと思います。
100球も要さずに完投勝利を収めたり、完全試合が出来るのではないかとドキドキするようなピッチングを見せたりと、良いときの渡辺俊はとにかく凄すぎました。
だからこそ序盤にあっという間に打ち込まれてKOされてしまう姿が信じられず、何が悪いんだろうとあれこれ考え、結局は単細胞的に走り込みが足りないんじゃないのか、やはり立花コーチは更迭すべきだろう、などの考えに至ってしまいます。

清水の残留が決定的なために、来季の渡辺俊が開幕投手の呪いにはまる恐れはありません。
よって課題はすっぽ抜けのボールをとにかく減らすこと、この1点のみです。
持ち味を活かした亜空間ピッチングで来季も最低12勝、目標は15勝に置いて、千葉マリンで躍動してくれることを期待しています。

2007年通信簿


【オリオン村査定】 1億3000万円 → 1億6000万円 (△23%)

 

コメント (8)    この記事についてブログを書く
« 長野は入団するのではないか... | トップ | 2008年通信簿 32 根元俊一 »

8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (通りすがり)
2008-11-13 21:04:25
立花コーチがあまり評価されてませんね。

ある選手から直接聞いた話だと、昨年はわき腹痛が頻発したので、今年はわき腹痛が起こらないように徹底的に立花コーチがプログラミングした結果、今年はわき腹痛で離脱した選手はいなかったそうですよ。選手からは非常に尊敬を集めてるとか。誰から聞いたかは内緒ですが、確かに今年はわき腹痛っていなかったですよね?(記憶違いならすみません)。
返信する
Unknown (富山マリン)
2008-11-13 22:15:33
好不調の波が激しかったのは、清水直と似てますね。
結果、防御率が平凡になってしまい、勿体ない気がします。
一番大事な日ハムとの最終戦で悪い渡辺俊が出てしまいました…。
それでも、清水直がなかなか勝てなかった時に一人頑張っていた時期もありましたし、清水直と同様に評価しています。

来季は、不調な時でも、なんとか出来るように‥そうすれば勝ちが増え、負けが減り、防御率も良くなりますので…来季も期待しています。
返信する
訂正 (富山マリン)
2008-11-13 22:18:42
失礼しました。
一番大事な西武戦でした。
返信する
Unknown (ティック)
2008-11-13 22:35:13
渡辺選手のインタビューで、今年は立花コーチと1から下半身をトレーニングした結果が、今年の好成績に繋がっているみたいな事を言ってたと思います。
相変わらず選手の信頼は厚いようです。
コンディショニングコーチが何処までを任されているのかはよく分かりませんが、とにかく小林宏之投手の足をどうにかする事が、立花コーチの一番の仕事だと思います。

渡辺選手に関してはチームが下位に沈んでる時期に孤軍奮闘していたので、成績以上に良い印象を与えているんですね。今成績を見返したところ、9月10月は結構負けていました…
返信する
俊介! (なしもぎ)
2008-11-13 23:48:49
俊介見事復活!でも微妙になかったですね。
でも全く打たれる気配無く終盤までノーヒットの試合があった反面、初回からフォアボールの連続など不安定な感が俊介にはありました。
持ち味のゴロを打たせるピッチングスタイルですと、ホセ・フリオの守りはきっと不安だったと思います(笑)
俊介はいかに力を抜くピッチングをするかが持ち味であり、そこは若手の参考になってくれると期待します。来年も飄々と投げる姿に声援を送ります。

楽天戦で終盤までノーヒットで頭部危険球退場になった試合・・・あれはデッドボール無ければノーヒッターになっていたと今でも確信しています。
返信する
Unknown (taka)
2008-11-13 23:57:55
今年の渡辺俊の試合で記憶にはっきりと残っているのは交流戦の広島戦と8連打が出た西武戦ですよね。両方とももののみごとに相手打線を手玉にとっていました。広島の赤松とか中日の中村ノリがスローカーブにまったくタイミングが合わずに豪快に三振する姿は見ていてとても愉快な気分でした笑
相変わらず、西武の栗山にはまたまた重要なところでホームラン打たれましたが苦笑
返信する
まだ残る「課題と不安」 (放浪カモメ)
2008-11-14 01:39:44
俊介を語る前に、立花コーチについて。
私個人は彼のコンディショニング・コーチとしての才能を非常に高く評価しております。一昔前から最先端、そして独自のコンディショニング理論を展開し、日米問わず、かなり評価されていましたし、コンディショニング・コーチの重要性を日本に定着させたのは彼の存在が大きいと言わざるを得ません。しかしながら、メニューをこなすのは各個人であり、医者と同様にコーチでも全ての選手の体調管理を完璧に行うことは不可能です。体調が悪くても、出場機会が欲しくて体調不良を隠している選手は、いくらプロのコーチと言えども外見上ではわからない部分が多いのも事実です。こればかりは、選手からの信頼という定性的な部分と、実際の故障者の数という定量的な部分を総合して判断するしかありません。最近は、実際にどのようなトレーニングを推奨されているかという情報もあまり出てきませんし。まぁ、選手からの信頼次第というところでしょう。

本題の俊介ですが、評価は非常に難しいですね。岩隈のように、チーム成績は悪くても、個人成績がダントツに良い場合は個人として評価しやすいですが、俊介の場合、個人の13勝に比べ、チームとして痛い8敗にかなり強いインパクトがあります。特に、後半の西武戦。完全に攻略法を見出されてしまっていた様に見受けられました。他チームにとっても来季以降、俊介対策のヒントになる事は必至です。そう考えますと、本当の勝負は来季になると私は見ています。オリオンさんのおっしゃる通り、まずは体調面、特に下半身の強化(具体的には、走り込みと投げ込み)による粘りを継続させる事。さらには、スコアラーやコーチを交えて、打者毎のバッテリー間の配球、組み立ての再構築を行い、相手の裏の裏をかく、得意の幻惑させる投球術に磨きをかける事が勝負の年に必要かと思います。

それにしても、本人に自覚があるかどうかは定かではありませんが、俊介は他の投手以上に物凄く繊細な投手です。芸術的な投球をしていても、たった一つの動作で全く別人になってしまうのですから。顕著だったのが、最終決戦の西武戦。一回の投球を観ていたら、間違いなく安心できる状態でした。しかし、二回に投球動作に入った時、マウンドに軽く足を引っかけてしまった場面がありました。その時、私は「この試合まずい」と直感し、案の定、その二回で勝負は決まりました。彼のバロメータを図るには、その他にカーブが左打席の中央上付近に抜けると悪い傾向にあります。キャッチャーが外したい思惑と明らかに違いが見られ、本人もよく首をかしげます。総じて、試合中に修正していく悪いなりのピッチングができないと言うところでしょうか。これらを改善できれば来季も今年と同等、またはそれ以上の成績を上げられると思います。何より、勝ち星は伸びなくても、痛い敗戦が少なくなるのではないでしょうか。
返信する
お返事 (オリオン)
2008-11-15 00:59:17
>通りすがりさん
脇腹痛についての経緯は知りませんが、仮に結果が出たのであっても、そんな一方面だけに注力することが本来の役割なのかどうかは疑問に思います。
むしろ昨年から多発していた下半身中心の故障に対してどういった施策を採ったのか、そちらの方が気になります。

>富山マリンさん
球威があるタイプではないだけに、コントロールがままならない時は撃沈するのは致し方ないような気がします。
ただローテーション投手なのですから、悪いときには悪いなりのピッチングをして欲しいのは確かです。
このあたりは捕手との共同作業になると思いますが、来季の課題としてもらいたいものです。

>ティックさん
西武キラーが話題になった夏場が絶好調のピークでしたね。
その西武戦に土をつけられたところから調子が下降線気味となり、終盤戦で勝ち星を伸ばせなかったことが本人にとってもチームにとっても痛かったです。

>なしもぎさん
仰るように打たせて取るタイプの投手が多いだけに、内野守備は重要ですね。
オリオンズ時代も「俺は打ち取ることができる。しかし野手は守ってくれるのだろうか」と投手が独り相撲に走ったことがありました。
そういう意味では今江の欠場が、その打撃以上にいたかったのかもしれません。

>takaさん
私はローズにやられた印象がかなり強く残っています。
内角高めのボールをものの見事に弾き返されてマウンド上で呆然とする渡辺俊、頭を抱えるファン、そんなシーンが多かったように思います。
リリースポイントが低いため、高めに抜けるとただの棒球になってしまうのが辛いところです。

>放浪カモメさん
他の方からも指摘をいただいていますが、立花コーチについてはこちらでまとめてコメントさせていただきます。
誤解があるかもしれませんが、立花コーチの能力そのものについてを疑っているつもりはありません。
私が疑っているのは、コーチとしての資質です。
彼が導入した科学的トレーニングは、それまでの根性論のトレーニングに比べれば合理的であることは間違いではないと思います。
ただそれだけなのか、今までの走り込みといった地味な体作りは不要なのか、そこに異論があります。
これは某一塁コーチャーが現役だった頃、もう10年以上前に浦和に通っていたときに話をしたので今は既に違うのかもしれませんが、とにかく自分の考えが正しいとの固執していたと聞いています。

本題のコーチとしての資質ですが、いかに優秀な指導をしても、それを選手が実践しなければ意味がありません。
つまり選手を誘導する資質が足りていないのではないか、理論的には優秀であろうトレーニング法が、ただの「楽なトレーニング」として選手に利用されているのではないのか、私はそう見ています。
誰でも辛く厳しい地道な走り込みなどよりは、目先の新しい楽なトレーニングに流れがちになるでしょう。
そこを「これも必要だが、今までのトレーニングも必要だ」と選手を指導する度量と技量、これに欠けているように感じます。
単に自らのトレーニングをプロ野球界が採用している、それだけで満足してしまっているのではないでしょうか。

以前にも書きましたが、試合前の練習を始める前にベンチの前に選手が出てきてストレッチをしていますが、べちゃくちゃ喋りながらまともに体を動かしていない選手を放置していること自体が、立花コーチの限界であると考えています。
返信する