オリオン村

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落日の鷹

2017-05-18 01:14:53 | 読書録

落日の鷹

講談社

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龍造寺氏、鍋島氏にかかる著作の多い作家ですが、なかなかに興味深い人物を引っ張り出してくれました。
多久安順は前名が龍造寺家久で父の長信は肥前の熊と呼ばれた隆信の同母弟、つまりは隆信の甥にあたる人物です。
龍造寺氏は本家が村中龍造寺氏、分家が水ヶ江龍造寺氏で隆信は水ヶ江龍造寺氏から出て本家を継いだことで大きく飛躍をしましたが、その跡を継いだのが長信です。
長信の嫡男である家久が「水ヶ江の鷹」と呼ばれるほどに優秀な人物だったかどうかは承知をしていませんが、隆信が討ち死にをしたことで傾いていく龍造寺氏、それを乗っ取る形で佐賀藩の主となった鍋島氏、この微妙な関係の中で起きた「鍋島騒動」が舞台となっています。

家久、物語の中では大半が安順とされていますので、こちらが適当なのでしょう。
かつての家臣筋だった鍋島氏に組み込まれた龍造寺一門の中でも安順は直茂の娘を娶って筆頭家老になったのはその手腕が評価をされてのことだと思われますが、おそらくは龍造寺氏の中でもピカイチな血筋であったことも無縁ではなく、それが結果的に安順を苦しめることになります。
鍋島氏の家臣からは嫉妬とともに疑いの目で見られ、龍造寺氏に心を寄せる人々からは裏切り者と目され、辛い立場でもあったことは想像に難くありません。
この作品でもそれが為に家中で孤立をする安順が主筋である龍造寺伯庵との関係に悩み、苦しむ姿が描かれています。
ただどこかきれい事と言いますか手前勝手なご都合主義な面が否めず、思いがけない人間関係がありましたがそれもどこか無理があり、また言い訳じみた述懐がややくどいです。
せっかく魅力的な人物を登場させながらもその魅力を引き出しきれなかった、残念な鷹の懊悩でした。


2017年5月17日 読破 ★★★☆☆(3点)


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2 コメント

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竜造寺没落 (バビロバ)
2017-05-22 10:55:14
村長さん、初めまして。マリーンズだけでなく城巡り、歴史文学などなどトータルで大変楽しく読ませていただいております。
さて、個人的には九州の歴史文学を代表するのは滝口康彦さんと白石一郎さんと思っていますが、滝口さんは全般のトーン(作風)が暗いですねえ。
特に竜造寺の没落?には思い入れが深い。
まともな親族がいなかった豊臣家と異なり、一家・一門が根を張っていた竜造寺が鍋島に取って代わられたのは戦国を生き延びるための暗黙の了解だったのでしょう。
安順はカリスマ性があれば旗頭として担がれたのかもしれませんが、その辺りはよく自分の器量をわかっていたと感心します。
お返事 (オリオン)
2017-05-23 03:19:13
武勇に長けてはいても、政治的手腕を備えた武将が一門にいなかったのでしょう。
それだけ鍋島直茂が逸材だったことにもなりますし、家康がそうだったように律儀の仮面に騙された、あるいは騙された振りをするところもあったのではないかと。
それでも結果的には龍造寺四家として鍋島家中でも敬して遠ざける的なところはあったにせよ高待遇だったわけですから、弱肉強食の世界で滅ぼされた豊臣氏に比べれば恵まれていたのかもしれません。

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