経済学・哲学・温泉草稿

興味の趣くままに読んで考えてみます。目標は心理歴史学のセルダン関数。息抜きに温泉巡りします。

なぜインフレにならないのか?(現状分析3)

2017年03月20日 | 現状分析
日銀が国債買いオペでジャブジャブと買った代金を当座預金勘定に積み上げている。その額なんと332兆円で、グラフを見ると気が遠くなる。
米国は120兆円つぎこんでも2%程度のインフレだったから大丈夫という説もあるが、それにしても大きい額である。
金融政策でハイパーインフレになることは絶対にないという学者もいるが、個人金融資産1800兆円だから貨幣価値が15%程度目減りし、その逆数の20%弱程度のインフレが生じてもおかしくない。値上りブームで心理的パニックが生じたらもっと暴騰するかもしれない。
それでもインフレが起こる気配が一向にないのだが、その原因が分かった。皆がインフレを待っているからだ。
インフレを起こす最大の要因は、1800兆円の個人金融資産の動向であろう。この眠れる巨人が動きだすときがインフレである。資本主義の限界を説く評論家もいるが、確かに実物投資先が飽和しているのだから、企業の設備投資などタカが知れている。いくら低金利でも大きな成長分野が見当たらない。
一方で過去の民主党政権のおかげで、年金・財政破綻の危機が国民心理に擦り込まれているので、将来が不安でしかたがない。だから個人金融資産は動かない。旧民主党が行った唯一の功績は政争のために国民心理の不安をあおり、個人消費を冷え込ませてデフレを定着させたことである。おかげで景気は一向に良くならないが、彼らは意図せずに経済安定に寄与したのかもしれない。
個人金融資産の動向については、個人心理で集団心理が類推できる。そこでインフレ防衛策の個人心理を考えてみると、インフレの兆が見えたら即座に預金を解約して堅実な株式へ投資することだろう。だが日経平均はこの10年間、上下を繰り返している。下降局面で株式投資したら目も当てられない。だからインフレが生じないのは、インフレリスクよりも株価リスクが大きいとみて、様子見しているのだろう。私がそうしているのだから。
ならば個人向け国債はどうか。近頃、国は物価連動国債なるものを発行して、ファンドを通じて個人も購入できるようになっている。だが、個人が直接購入できる物価連動国債は平成29年2月に募集される予定だったが、「市場環境を勘案して」見送られたようだ。
国がこのような金融商品を考案するということは、まさしく現在の国債がインフレリスクをモロに受けることを国も認めているということである。それはそうだろう、いくら元金(額面)が保証されていても、数年間資金が固定されて、その間、物価上昇が続けばどうなるか子供でも分かることだ。
外貨預金も為替リスクがある。となるとやはり消去法で株式購入しか防衛策はないようだ。株価リスクがインフレリスクよりも小さいと皆が思い始めると本当にインフレが起きることになる。
ギャンブル嫌いの私がそのように警戒しているのだから、私が株式投資するようになれば、日本中の個人金融資産が株式投資へ向かい、一気にインフレが加速するにちがいない。
これはバブルの時と逆であるが状況が似ている。バブルの時は過去一貫して土地や株価が上昇していたから、それが値下がりすることはあり得ないと思い込んでいた。
現在も過去一貫してデフレであるから、インフレになることはあり得ない、流動性が一番安全だという思い込みがあるに過ぎない。
何がきっかけになるだろうか。もっともありうるシナリオは、物価と株価上昇が同時に生じた場合であろう。物価上昇とともに株価が上昇気配を示すと、インフレ防衛として金融資産を株に置き換える時期を逸してしまう恐れがあるからだ。バスに乗り遅れるなということで、株式投資が加熱するに違いない。
まあ、哲学にうつつをぬかすのも良いが、新聞はよく読んでおいた方が身のためである。私は自分が考える程度のことは皆が考えていると思っている。だから新聞売上高も何らかの指標になるかもしれない。このところ何故か読売・朝日の売上高が減少している。日経新聞はウェイトが小さいものの安定している。半期ごとに公表されているが、日経新聞の売上高が上昇し始めるならば、それは経済に対する個人心理の何らかの徴候を示しているとみていいだろう。他に証券口座数の推移も指標になるかもしれない。ネット証券の口座数はここ2年間で20%程度増加している。注目すべきはどの証券会社の口座数も一貫して増え続けていることである。もちろん株をやめた人が口座を放置しているのが一因かもしれないが、いつでも株取引できる者が増加しつつあることは事実である。今年は株価大暴落との予想もあるが、大体、風評はハズレるものである。むしろ相場心理の潜在的な動きに着目するべきである。哲学好きの私が日経新聞を読み、証券口座を開設したら、その時はインフレが始まっている。
昔、満鉄調査部の発表を聴いた参謀部員が、要するにどこに爆弾を落としたらいいのかと質問したらしいが、現在の経済評論家にも、要するにどの指標に着目したらいいのか明示してもらいたいものである。
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