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◇クラシック音楽◇NHK‐FM「ベストオブクラシック」レビュー

2017-03-21 10:18:41 | NHK‐FM「ベストオブクラシック」

~これからの世界の指揮界を牽引するロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団首席指揮者ダニエレ・ガッティ~

 

ウェーバー:歌劇「オベロン」序曲           
ブルックナー:交響曲第4番「ロマンチック」(ノヴァーク版第2稿)

指揮:ダニエレ・ガッティ
                  
管弦楽:ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
                 
収録:2016年8月29日、スイス・ルツェルン 文化会議センター    
                  
提供:スイス放送協会

放送:2017年2月22日(水) 午後7:30~午後9:10

 今夜のNHK‐FM「ベストオブクラシック」は、ダニエレ・ガッティ指揮ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団の演奏で、ウェーバー:歌劇「オベロン」序曲とブルックナー:交響曲第4番「ロマンチック」の演奏会である。指揮のダニエレ・ガッティ(1961年生れ)は、イタリア、ミラノ出身。 ミラノ音楽院で、当初ピアノとヴァイオリンを、その後、作曲と指揮を学ぶ。27歳でミラノスカラ座にデビュー、その後フェニーチェ劇場、ボローニャ市立劇場へ出演し、さらにその活躍の場を海外へと拡げ、ベルリン国立歌劇場、メトロポリタン歌劇場にも出演しオペラ指揮者としてのキャリアを積む。これまで、ローマ聖チェチーリア国立音楽院管弦楽団音楽監督(1992年~1997年)、ボローニャ市立劇場音楽監督(1997年~2007年)、ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団首席指揮者(1996年~2009年)、チューリッヒ歌劇場首席指揮者(2009年~2012年)、フランス国立管弦楽団音楽監督(2008年~2016年)を歴任してきた。そして2016年秋からは、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団の首席指揮者に就任し現在に至っている。ダニエレ・ガッティは、現在、世界を代表する指揮者の一人であることは、これらのキャリアを見れば一目瞭然なことだ。

 ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団(旧称:アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団)は、オランダ・アムステルダムに本拠を置くオーケストラ。アムステルダムにコンセルトヘボウがオープンした1888年に、コンセルトヘボウの専属オーケストラとして設立された。第2代の常任指揮者のウィレム・メンゲルベルクが就任以降、世界でも抜きん出たオーケストラとして現在まで至っている。これまでの首席指揮者を挙げてみると、ウィレム・ケス(1888年―1895年)、ウィレム・メンゲルベルク(1895年―1945年)、エドゥアルト・ファン・ベイヌム(1945年―1959年)、オイゲン・ヨッフム(1961年―1964年)、ベルナルト・ハイティンク(1961年―1988年)、リッカルド・シャイー(1988年―2004年)、マリス・ヤンソンス(2004年―2015年)、ダニエレ・ガッティ(2016年―)が務めてきた。1988年、創立100周年を迎えたコンセルトヘボウは、ベアトリクス女王より「ロイヤル(王立)」の称号を下賜され、現在の名称「ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団」に改称された。「ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団」は、現在、ウィーン・フィル、ベルリン・フィルと並んで、世界を代表するオーケストラの一つとしてとして高い評価を受けている。

 最初の曲のウェーバー:歌劇「オベロン」序曲は、ウェーバーが作曲した全3幕から構成されるオペラ「オベロン」の序曲である。台本はヴィーラントの叙事詩「オベロン」のジェームズ・プランチェによる英訳を基に、「夏の夜の夢」と「テンペスト」の内容を付け加えたもの。初演は、1826年4月12日にロンドンのコヴェント・ガーデンのロイヤル・オペラ・ハウスで作曲者の指揮により行われた。しかし、プランチェによる原作の英訳の内容が錯綜しており、現在では、オペラそのものは上演の機会はない。しかし、その序曲だけは現在でもしばしば演奏されている。ここでのダニエレ・ガッティ指揮ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団は、如何にもオペラの序曲らしい、劇的な要素をふんだんに取り入れた演奏内容を聴かせる。これはダニエレ・ガッティのオペラの経験の豊富さが大きく影響していることは間違いないところだ。全体にはつらつとしていて、これから始まるオペラへの期待感がひしひしと伝わってくるような雰囲気を漂わせて申し分ない仕上がりを見せる。

 次の曲が今夜のメインの曲のブルックナー:交響曲第4番「ロマンチック」。美しいメロディーといきいきとしたリズムに満ちた交響曲であり、他のブルックナーの交響曲に比べ演奏時間が短いこともあり、初演時から現在に至るまで、ブルックナーの9つの交響曲の中でも人気のある交響曲となっている。1874年1月2日に作曲を開始し、同年11月22日に書き上げられた(第1稿)。その後、1878年1月18日からその改訂作業に着手し、特に第3楽章は全く新しい音楽に置き換え、改訂作業は1878年11月に完成(1878年稿)。さらに1880年に第4楽章を大幅に修正した(第2稿または1878/1880年稿)。2004年には、コーストヴェットの校訂により第3稿が出版された。ここでのダニエレ・ガッティ指揮ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団は、ゆっくりとしたテンポで、スケールの大きいブルックナー独特の世界を明確に描き切った演奏内容を聴かせたた。ブルックナーの交響曲は、曲の性格上どうしても曖昧模糊とした演奏となりがちであるが、ガッティは如何にもイタリア人指揮者らしく、メリハリの利いた伸び伸びとした演奏内容に終始する。私は聴き進うちガッティの指揮ぶりに、どことなくトスカニーニの残影があるようにも感じられた。結果的には、ブルックナーの交響曲の新しい姿が、そこに悠然と形づくられたと思う。ダニエレ・ガッティは、ボストン交響楽団の音楽監督を務めるアンドリス・ネルソンスや、ロサンゼルス・フィル音楽監督を務めるグスターボ・ドゥダメルなどと共に、これからの世界の指揮界を牽引する指揮者の一人であることを、今夜の演奏内容から強く印象付けられた。(蔵 志津久)            

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