初心者のクラシック

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ヴァイオリンソナタ第3番 (ブラームス作曲)

2007年05月30日 | その他の作曲家
たまには、クラシック音楽を聴いてみてはいかがですか?

今日はブラームス:ヴァイオリンソナタ第3番です。

ブラームスのヴィオリンソナタは、決して派手ではなく感情をむき出しにするようなフレーズはありませんが、逆にそれが、誰もが持っているこころの不安や、満たされない感情に迫った、とても現実味のある音楽だと思います。

それだけに、なんとも、もどかしく切ないメロディがまるで自分の本心を見透かされたような気持ちにさえ、なってしまうような身近な曲なのかもしれません。


 第1楽章:悲しくも切ないヴァイオリンの音色が響くと、しとしとと降る雨のような
 ピアノが始ります。
 ヴァイオリンの音色は、苦しくもがくように高音を聴かせます。
 しかし、高い音色のヴァイオリンは悲しくも美しく響き渡り、高音と対照的に
 聴かせる低音も非常に魅力的に聴こえてきます。
 悩ましげに響く低音に、失望感の漂う高音がなんとも切なくこころに響く
 フレーズです。

 第2楽章:脱力感のある低音のヴァイオリンが、なんとも物憂げな切ない
 フレーズを聴かせてくれます。
 ピアノ伴奏もポツリ、ポツリと黙ってうなずきながら、ただヴァイオリンの
 傍らで静かに見守っているようです。
 ヴァイオリンが中高音になり、本音を語り出したようなフレーズに入ると
 切ないメロディに同情の念さえも抱いてしまうような、そんな切ないフレーズが
 続きます。
 後半の高音のフレーズで感情を表した様子にふと視線を合わせると
 その瞳にはキラリと輝く涙が一瞬見えたような、沈んだこころを理解して
 くれたような、深い味わいを持った旋律を聴かせてくれます。

 第3楽章:敢えて気丈に振舞うような、凛としたピアノにヴァイオリンの
 フレーズがサラッと何事も無かったように入ります。
 中盤ではややムキになったように、キツイ音を聴かせますが、すぐに
 冷静さを取り戻し、相変わらず虚勢を張るように淡々としたフレーズを
 聴かせます。
 
 第4楽章:強気なフレーズでヴァイオリンとピアノが力を合わせて、力強い
 音から始ります。
 しかし、ヴァイオリンはどう振舞っていいか分らずにさまようように、
 不安なフレーズを奏でていきます。
 あふれる感情を抑えきれないように、悲しげなフレーズを聴かせます。
 時折、立ち止まって冷静さを取り戻そうとしますが、不安に耐え切れず
 悲しいメロディを歌い、それを最後まで引きずりながら誰にも打明けられない
 心情を強く内に秘めながら、苦しい内心を抱えたまま終わっていきます。


切なく悲しいメロディの多いブラームスのヴァイオリンソナタですが、何気なく聴いていても、どことなく引っかかり、なんとなく後ろ髪をひかれるような独特の音楽が、単純なフレーズだけに、自然にグッと響いてくるような気がします。
ただ、パッと聴くと、やはり地味な印象を受けると思いますから、初心者にはオススメではないかも知れませんが、何度か聴いていると、忘れた頃になんとなくまた、ふと聴いてみたくなるような不思議な曲でもあります。

≪オススメCD≫
パールマンでどうぞ。
ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ第1番~第3番
パールマン(イツァーク), アシュケナージ(ウラディーミル), ブラームス
東芝EMI

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【コレってどんな曲】
喜:★★★★★
怒:☆☆★★★
哀:☆☆☆☆★
楽:☆★★★★

≪おすすめシチュエーション≫
自分を見つめ直すときに聴くといいかも。


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