酔生夢死浪人日記

 日々、思いついたさまざまなことを気ままに綴っていく

脈打つ点を繋げよう~「脱成長ミーティング」で決意したこと

2017-02-24 12:12:46 | 社会、政治
 鈴木清順監督の死が公表された。日活時代の怪作の数々にはあまりピンとこなかったが、例外は「けんかえれじい」(1966年)で、型破りな青春映画の金字塔である。「ツィゴイネルワイゼン」(80年)は清順美学の結晶で、同作で製作を担当した荒戸源次郎の監督作「赤目四十八瀧心中未遂」(2003年)は「ツィゴイネルワイゼン」の影響が窺えた。国内外に多くのフォロワーを生んだ映像作家の死を悼みたい。

 2週間ほど前の「報道ステーション」である疑問が解消した。トランプ大統領の経済政策を<保護主義≒反グローバリズム>と捉える論調が目に付くが、萱野稔人津田塾大教授は、<トランプは国境を超えた資本の行き来を奨励しており、決して反グローバリズムではない。TPPなど多国間交渉には否定的だが、圧力をかけやすい二国間交渉には積極的>(趣旨)と語っていた。専門家でも見方が別れるぐらいだから、経済は難しい。

 先週末、第12回公開研究会「脱成長ミーティング」に参加した。俺にとって3度目で、白川真澄さん(ピープルズ・プラン研究所)と高坂勝さん(SOSAプロジェクト理事、緑の党前共同代表)が発起人を務めている。ちなみに、緑の党大会で聞きした白川さんのトランポノミクス分析は萱野氏に近かった。今回のテーマは、<高坂さんの新著「次の時代を、先に生きる」をベースに、脱成長の意味を考える>である。

 冒頭で3人が同書に即してコメントし、高坂さんが応答する。1人目はSOSAプロジェクトに加わり、3年前に米作りを始めた田部知江子さんだ。弁護士として貧困、DV、イラク邦人拘束事件、ホームレス問題等に関わっている田部さんは、高坂氏の新著について<情緒的過ぎず、硬過ぎず、楽しむことを忘れず社会と向き合っている>と評していた。まさに高坂さんのキャラクターそのものである。

 2人目は整体師として心身のケアを生業にしながら、環境と農業、「希望のまち東京をつくる会」(宇都宮健児主宰)など様々な活動に取り組んでいる石崎大望さんだ。緑の党運営委員であり顔馴染みだったが、石崎さんお初心、現在に至る道程を知ることが出来て幸いだった。3人目の浅野健太郎さんは貧困をテーマに活動し、悩み苦しむ若者に寄り添っている。自身の経験を踏まえて前向きに語る明るいキャラクターに好感を持った。「反貧困ブログ」も俺とは対照的に、多くの読者を獲得している。

 官僚、バンカー、経済学者、カウンセラー、教育者らが集って重いテーマを議論するが、知と理に走ることはなく、互いの思いを酌み取り、和やかに進行するのが当会の特徴だ。今回も仕事を辞めて地方で農業に従事している人、派遣労働者、ミニマリストの若者らが意見を述べたが、<生き方、働き方を問う>が一貫したテーマである。
 
 株価、GDP、貿易収支と経済を測る指標は多いが、衆知を集めたアベノミクスは失敗し、トリクルダウンは起きなかった。鈍感な俺だが、コンビニやスーパーで愕然とするケースが増えてきた。食料品からティッシュペーパーまで、明らかに量が減る〝実質値上げ〟を体感するからだ。近くのスーパーでは8時過ぎ、半額になる弁当や総菜に客が群がっている。この場面こそ、格差と貧困が広がる日本の状況の象徴といえる。もっともらしい言葉より、実感の方が本質に迫れるのではないか。、

 高坂さんは数々のエビデンスを提示していた。<脱成長>には様々な要素が錯綜し、絡み合っている。前提になるのは公正と平等の理念で、地方分権と地産地消、ミニマリズム、半農半X、分散型資本主義(社会主義)、脱GDP、太陽光発電など環境との調和、ワークシェアリング、ダウンシフトだ。政策的にはセーフティーネットの重要性を掲げており、次回のテーマは<格差と貧困の克服>である。

 還暦になった俺も世間の流れと同様、経済状況が厳しくなるが、生き方を変えるチャンスと考え、ダウンシフトとミニマリズムを生活に組み込むことにする。空いた時間は、この間のテーマ、<人と人を結ぶ>に使いたい。頭のあちこちで幾つもの点が脈打っている。幸いなことに、それらを繋ぐ場所もすぐ近くにある。

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