酔生夢死浪人日記

 日々、思いついたさまざまなことを気ままに綴っていく

宇都宮健児&中澤誠トークイベント~築地の現在と都議選

2017-05-07 17:42:24 | 社会、政治
 当稿をアップした直後、ニュース番組に呆れてしまったので冒頭に書き加える。藤井聡大四段は今日、公開対局(非公式戦)で豊島将之八段に敗れたが、テロップは何と「意外な結末」。豊島はA級八段で、タイトルに最も近い若手精鋭のひとり。負けたのは決して意外ではない。藤井をスターにしたい気持ちはわかるが、最低限の知識を踏まえてから報じるべきだと思う。

耳が一層遠くなった母とのコミュニケーションを取るため、筆談を始めた。90歳になった母は「悟りを開いた」と話していたが、果たして……。軍人の娘で頑迷な保守の母の口癖は「日本の男はアカン」だったが、ネット掲載のメディアの記事を見せつつ、<10代、20代の男の72%以上が安倍政権支持。憲法改正にも賛成」と書いて渡すと驚いていた。「戦前並みになった」と心中、喜んでいるのかもしれない。

 祇園会館の裏手にある台湾料理店で従兄弟夫婦、従兄弟とフィリピン貧困救済事業に携わっているTさんと歓談した。台風(2013年)で甚大な被害を受けた地域で、従兄弟は「市長より信頼されている」(Tさん)。政界や宗門の芥にまみれた時期もあった従兄弟だが、貧困に喘ぐフィリピンでの活動を通して心が濾し取られたという。僧侶には失礼な物言いだが、従兄弟も母同様、「悟りを開いた」のだろうか。

 悟りと無縁の俺は東京に戻り、「宇都宮健児&中澤誠フリートーク~築地市場と都議選 混沌から希望へ」(6日、高円寺グレイン)に足を運んだ。豊洲移転反対のリーダーである中澤氏がこの間の経緯を、森山高至氏(建築家)の協力を得て説明する。提示される具体的な数字に説得力を覚えた。4月下旬に同場所で開催された「神田香織一門会」で「人を喰う魚」を演じた高橋織丸さんも来場されていたが、噺に登場した「築地女将さん会」の活躍を中澤氏は何度も紹介していた。

 お二人のトークに衝撃を覚えた。3月以降、メディアが官邸の指示に屈し(忖度ではない)、方向転換したのだ。築地の欠陥をあげつらい、問題だらけの豊洲と〝どっちもどっち〟という世論操作を行っている。宇都宮氏が局に呼ばれても、司会者を含めた4人が移転推進派で、四面楚歌の状態だったこともあったという。内情を知る中澤氏によると、〝○○会長〟、〝△△代表〟という肩書でメディアに登場する人たちは市場の声を反映していない。市場の7割は<豊洲移転反対、築地再整備>で固まっているのだ。

 傀儡を据えて大衆の声を抑える仕組みは<植民地支配>そのものだと、宇都宮、中澤両氏は口を揃えていた。<豊洲の汚染は大丈夫>と語る識者の多くは。<放射能は大丈夫>と主張した面々と連なっている。沖縄を訪れて山城博治氏の横でアピールした経験のある宇都宮氏は、「沖縄と築地問題は構図が同じ。地道な闘いによって壁を打ち破るしかない」と強調していた。<原発-沖縄-築地>は共謀罪や戦争法とも繋がっている。

 参加者から目からウロコの指摘があった。資本主義の最も良質な部分を体現する卸売市場は大資本にとって敵であり、政府は地方崩壊に拍車を掛ける卸売市場法廃止を画策しているという。前触れになったのが閣議決定後、短時間で国会を通過した主要農作物種子法廃止だ。昨日初めて知った言葉なのでこれから学んでいきたいが、モンサントなど遺伝子組み換えを解禁する動きは、米中を中心に進行している。築地市場の問題とTPPなどグローバル経済の流れは不可分であるらしい。

 豊洲移転反対は宇都宮氏が都知事選立候補を前提に準備していた政策だった。小池知事は移転延期で支持を得たが、都民ファーストの動きが怪しい。移転推進派の公明党との共闘、上記の官邸からの圧力で〝どっちもどっち〟に世論が歪められたことは、小池知事にとっても好都合のはずだ。7割以上の市場労働者に後押しされ、中澤氏は「小池知事は信用していないし、既成政党に頼るつもりはない」と語っていた。

 自主避難者の住宅支援打ち切り、定時制高校廃止と弱者に冷酷な小池知事を当ブログで批判してきた。都議選圧勝を予測する声もあるが、直近の世論調査では意外な結果が出た。「どこに投票しますか」の問いに答えは「自民32%、都民ファースト17%」だった。俺が会員である緑の党はある選挙区で幅広く市民の声を結集し、「小池ノー」を訴えるべく準備している。宇都宮氏、そして中澤氏も応援してくれるに相違ない。
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