旧学生自動車評論家

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クーペを名乗る。

2008年03月05日 | 試乗インプレッション
先日の続きで今回はスカイラインクーペについて。
まず、シートに座ってみると表皮が革だったせいもあるのかもしれませんが、固めで拘束力があります。不快でない範囲でシートが体に合わせるというより、体がシートにあわせるような座り心地。パワーシートの操作系は先代までセンターコンソール近辺に集約されていてパワーシートというものを日常的に使わない自分にとっては操作しやすいなぁと思っていたのですが、V36からは常識的なレイアウトに戻ってしまいました。個人的にはちょっと残念。
発進しようと外を見ると、フロントスクリーン上端の低さに少し驚かされます。あまりに極端な表現ですが、窓から外を見るというより、覗き窓から外を眺めるような感じ。ヘッドライトの膨らみを認視することができるのですが、このクルマの車両感覚はつかみにくく、ほとんど勘で運転するのではないか?と思う。空間のたっぷり取れたクルマから狭苦しいクルマに乗ったので、余計に閉塞感を強く感じたのもあるでしょう。でも、やっぱり狭いなぁ。
乗り味は固くどっしりとしています。突き上げははっきりと感じ取れるのですが、その突き上げも決して不快なものでないというのが不思議。とてもしたたかな印象です。どうやら高いボディ剛性のおかげらしく、荒削りな感触がほとんどありません。
エンジンはVVELということで、エンジンを高回転域まで回してみようと、パドルシフトで1速に落とし込んで加速させるとアクセルペダルの踏みに対して反応として現れる加速が一気にデリケートになってしまい、簡単に5・6千回転に到達してしまうくらい軽くシュンシュン回ります。大排気量エンジンとしての力強さか、VVELの効用か、その気になればシートに押し付けられるような加速を狭くて短い試乗コースでも味わうことが出来ます。

ステアリングホイールは径が小さくリムが太いものです。何でも本革巻きで室温湿度にまで気を使った工房で職人さんが一つひとう手作りで作っているんだとか。スポーティな雰囲気はとてもあるのですが、ステアリングの手応えは重いもので、操縦性の面でも、もう少し径の大きいものを採用してもいいのではないかと思いました。
ドアは重たく、デカイ!言うまでもなくパーシャルダウンウインドウでサッシレスドアでもしっかり密閉性を確保します。対面走行の試乗コースを2周走って常々思ったのはクーペという種のクルマ自体、日本の土壌にはあわないということ。このクルマの守備範囲に当たる道路は日本にはあまりないだろうということ。少なくとも乗り味は街乗り向けではないと思う。やはりクーペはホテルに乗り付ければドアを開けてくれる人がいて当たり前のような国で乗るクルマなんでしょうね。
サイズも含めて日本より、アメリカで悠々と走るクルマ。もう少し気兼ねなく乗れるクーペがほしいですね。そう、例えるならシルビアのような…

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