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蟲師 - 虚繭取り

2006-02-19 | 蟲師
蟲師 17話


今回ギンコは出てくるものの、既に手段を講じてどうこうなる
事柄ではなかった為に、内容の大半が過去回想で構成されている。
あと、登場人物に珍しく姓があり、名も漢字。


山間を歩いているギンコのカバンが揺れる。
「ん、文か」とそれに気づき、引き出しの中の竹筒を取り出す。
中から出てきたのは、紙にくるまれた繭。
上の部分の紙を剥がして、開いている穴に棒を差し込んでほじくると
中から手紙が出てくる。この古風だけど不可思議な伝達手段が既に面白い。
だが、中から出てきた手紙は千切れており、しかもギンコ宛ではない。
「どうもこの頃、まともに届かねぇな。換え時か」と呟くギンコ。
ふと、その手紙の送り主であろう「兎澤綺」という名に目が止まる。


山中で繭を探している、送り主の綺。割と中性的な顔。
家に戻り、手紙をしたためている。
家の中には、天井付近から吊された、ギンコの持っていたものと
同じ繭が大量にぶら下がっている。
その中のひとつに、書いた手紙を詰め込んでいると、ギンコがやって来る。
「よう綺。元気か?」という口調から、顔馴染みっぽい。


「そういやギンコのウロさんも換え時だったね」と言う綺。
どうやら綺は、この繭を使った不思議な伝達手段の管理人らしい。
そして先ほど届いた手紙を見せ、
「まだこんな事続けてんのか。俺らの使い古しで」と何かを
知っているような様子で問いかけるギンコ。
その手紙を奪い取り、「別にいいでしょ」と少しふてくされた表情をする綺。
「緒ちゃんはまだどこかにいるのよ」との呟きから、繭を使って
人を探している模様。ギンコは「もう諦めろ」と言う。
その話題になってから、ずっと思い詰めた表情を続ける綺。


ここから長い回想シーンが始まる。
尺の長さからいって、今回のメインはむしろ過去の方のような気がする。
山中にて、空の繭を見つけて不思議がる姉妹は綺と緒。双子か?
「空の繭は取っちゃならん。蛹の代わりによくないものが棲むからね」
と父親に優しくたしなめられる2人。
家に戻り、繭から糸を紡ぐ。兎澤家は、養蚕業で生計を立てている様子。
その作業工程が細かく描かれている。湯通ししてる音とかが心地よい。
っていうか、糸の紡ぎ方初めて見たな…


作業中、本家からやってきた爺様に呼び出される2人。
話によれば、「山の爺様」と呼ばれる格が高いと思しき人の元へ
2人のうちのどちらかが行かなければいけないという。
それに合わせて登場する回想シーン。回想シーン中で更に回想シーンが
入るってなかなか見ない構成だな。
2人には、山の爺様が持ってきた、瓶に入った「ウロさん」が見えている
ようで、その事で自分の仕事の後継ぎに相応しいと考えての事らしい。
見える見えないって観点からして、ウロさんは間違いなく蟲だな。
両親は片方どちらかを出すという苦しすぎる決断ができなかったので、
本人達に決めてもらう形にしたが、離れて暮らす事を嫌った2人は
結局両人とも山の爺様の所に行く事となる。


早速山の爺様に連れて行かれる2人。2人揃っている事で、そこまで
悲観的な様子は感じられない。
家に入るなり、「戸は少しだけ開けておけ。ウロさんがいたら飲まれちまう」
と忠告を受ける。見ると家中の戸が全て少しだけ開いている。
来たばかりでまだ落ち着かない2人に、今までこの家にやってきた
蟲師から聞いた話を書き留めたモノを取り出す爺様。
若干2人の表情が和らいだように見える。
爺様の方もずっと来るのを待ちこがれていたようで、どことなく嬉しそう。


早速、爺様に仕事の仕組みを教わる2人。
この作業が、実際にありそうな感じがして非常に興味をそそられる。

まず、繭の中でも2匹の蚕が作り上げた「玉繭」と言われるものを
取ってくる。先の父親の話から察するに、中に蛹が居ないもので、なおかつ
玉繭である事が、適合する条件なのだろう。確率的にどのくらいなんだろう…
普通1本の糸で出来ている繭だが、玉繭の場合は2匹で作っている為に
2本の糸でできている。それをまず2つに分解し、2つの繭に作り直していく。
すると繭の中にいるウロさんが混乱して外に出てくるので、それを
すくい取って片方の繭に入れて蓋をする。これで仕事に使う特殊な繭の完成


中に入れられたウロさんは、当分2つの繭の間しか行き来できなくなる。
そこに手紙を入れると、中にいるウロさんがもう片方の繭に
そのうち持っていってくれる。これがギンコの持っていた繭の仕組み。
各地を歩き回っている蟲師にとっては、最適な伝達手段とのこと。
この「そのうち持っていってくれる」というアバウトさがなんかイイな。
だが中にいるウロさんは、いずれ別の場所に穴を貫通させて
しまうので、しばらく経つとまともに手紙が届かなくなってしまう。
そこで定期的に新しいモノに取り替える必要がある。
これが今回の最初にギンコが綺の元を訪れた理由のひとつ。

説明を受けて面白さを感じた2人は、次は私がやってみたいと言うが
「ウロさんを軽く見てはならんぞ」とたしなめられる。
この家の周辺はウロさんがわきやすい土地の為、部屋の戸は閉めては
ならない。というのも、ウロさんが密室にわいて出る性質で、その
密室を開けた際に中にいるモノはウロさんと一緒に「虚穴」という
場所に取り込まれてしまう=消えてしまうから、という理由。
話を聞いて不安がる2人に「わしもこの年まで無事生きとる」と言い
頭を撫でる爺様。孫みたいで可愛いんだろうなぁ。
そんな事もあり、ここにいる限りは「閉じてはならん、開けてはならん」
を守る必要がある。
これって閉じてしまった場合、永久に開けられないってわけじゃないよな…?


その後平和に日常生活を送っている様子の2人。
蔵に向かう途中の綺に「蔵の戸、気をつけて」と言う緒。
爺様の言いつけをきちんと心に留めて生活しているようだ。
戻ってくる綺を待っている間に縁側で寝てしまった緒の上に、干して
あった洗濯物が風で飛ばされて覆い被さる。
ふと緒が目を覚ますと、眼前にウロさんの姿を見つける。
なんと不幸な事に、洗濯物によって簡易密室が作られてしまった(´Д`;)


これが密室状態になっている事にすぐ気付いた緒だったが、ちょうど
その場に戻ってきた綺は「密室」に気付かずに、つい洗濯物を
どかしてしまう。
「開けちゃだめ…」の声も虚しく、一瞬にしてその場から消える緒。
凄まじいまでのあっけなさと、風で流される洗濯物の様子が虚しすぎる。
夜になり、後悔の念でひどく落ち込んでいる綺。
「緒ちゃん、どこいったの?どうやったら連れ戻せるの」と尋ねるが
「手だてはないんだよ、綺…」と頭を抱え込む爺様。
この時から、今の今までずーっと緒の事を探してたというワケか。
取り込まれた後どうなるかが知られてないだけに、完全に諦めきれない
状態になっている事がなんとも心苦しい。
まぁなんつーか、本当に不幸な偶然の出来事なんだけれど。


長い回想シーンが終わり、独白を続けていた様子の綺。
あれから5年も経っているので「少しは自分の事も考えろよ」と
たしなめるギンコ。黙ってしまう綺に大して、少し考えた後
「なら、虚穴に入ってみるか?」と問うギンコ。
ただ誘った理由は「探しに行く」のではなく「諦めさせる」為。

近くの山中に入っていくと、木の幹に大きなコブが出来ている。
ギンコいわく「鉱脈筋の木にウロがわくと、拒絶反応で蟲コブ状になる」
ギンコが手を入れると、そのままズブズブと中に埋まっていく。
うん、これは普通に気色悪いな…


粘液質な音を立てて進んでいくと、ふと別の場所に抜け出る。そこが虚穴。
この中に長く居続けると、記憶を失ってしまうらしい。
確かそんな事を、OPの語りで土井美加さんが喋ってたっけ。
よく見ると、入り口の所からずっと鎖が続いている。
この鎖は昔の蟲師が引いたものらしく、外に繋がっているのは
鎖を辿っていった先の一カ所だけ。それ以外の穴は全てどこかの
密室に繋がっていて、中から開ける事はできないとのこと。
自分の目で、虚穴の途方の無さを実感した綺は、ようやく諦めが
ついたのか、その場で泣き崩れる。
ギンコも今回は最初から手の施しようがない事なだけに苦しい役回り。
と思ってたらこのシーン最後のギンコのセリフ、
「お前の中の、でっかい洞の口は塞げ。戻って来れなくなる前に…」
おぉ、なんだか詩的な比喩表現。ちょっとクサイセリフだけど(´∀` )


再び元の生活に戻って、繭を探している綺。
ふと草陰から物音がして「緒、ちゃん?」と言いながら近づいていくが
出てきたのは子キツネ。ぶは、キツネ可愛い(*゚口゚)
そんなワケないか、といった風な表情を浮かべて去っていく。
そういえば、この繭を管理する職の名称は「虚繭取り」でいいのかね。


暗闇の中から明かりを見つけて這い上がってくる手。
次の瞬間、どこか別の家で糸を紡ぐ婆さんが映し出される。
ふと見ると、紡いでいた繭のひとつから人間の指が生えてくる。
驚きのあまりひっくり返る婆さん。
蟲師という作品の中では珍しく過剰な驚きの表情だな。
…まぁ、繭から指が出てきたら驚くよなぁ。絵的にも気持ち悪かったし。
そして中から出てくる女の子、懐には綺が書いた手紙が。
なんと綺が諦めた数年後、奇跡の生還を遂げる緒。ハッピーエンド万歳!

と思いきや、その後の語りにて
「人の子、繭より出り。齢十ほどにて言葉を得ず」
という一節から、全く成長してない上に、記憶がなくなっている事が伺える。
「後、懐の文をたよりに故郷へ戻りし」という辺りから
再会はできているようだが、果たしてそれが綺にとって幸せだったのかどうか…

個人的な感想…携帯電話に代えて、あの繭欲しい。



本日の一曲:『STEVE SPACEK / I'M GLAD』
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