アジア映画巡礼

アジア映画にのめり込んでン十年、まだまだ熱くアジア映画を語ります

まったくインドの警官ってば...の『シンガム再見参』

2014-08-15 | インド映画

シンガポールで夜遊び中です。本日8月15日は日本の終戦記念日であると共に、インドの独立記念日ということもあって、シンガポールのインド人街リトル・インディアは何となく祝祭気分。


そんな皆さんと一緒に、リトル・インディアの中にあるゴールデンヴィレッジ(GV)のシネコンで、『シンガム再見参(Singham Returns)』を見てきました。2011年にタミル語映画『シンガム(Singham)』(2010)のリメイクとして作られた、同名の作品の続編です。本日より公開で、GVでは夜8時半から1回だけの上映、ということで、一番前と二番目の10席ほどを残して満員でした。私も上映1時間程前に行ったら、もう前から二番目の席しか残っていず、仕方なくそこへ。でも、ここのシネコンは見やすくて、十分に楽しむことができました。


監督は前作に引き続き、『チェンナイ・エクスプレス(Chennai Express)』(2013)のローヒト・シェーッティー。ヒロインは前作のカージャル・アグルワール(『バードシャー テルグの皇帝』のヒロインですね)に代わって、カリーナー・カプール・カーン(サイフ・アリー・カーンとの結婚後、こちらを正式に使うことにしたようです)です。シンガムの父親役などは前作と一緒ですが、違っている顔ぶれも。敵役は、前の記事にも書いたように、『スタンリーのお弁当箱』(2011)の監督兼出演、アモール・グプテーです。予告編でも、その怪演ぶりが見られます。


警部のバージーラーオ・シンガム(アジャイ・デーウガン)が先生と仰いで尊敬する政治家グルジー(アヌパム・ケール)が、総選挙を前に若い候補者たちを紹介していました。州首相でもある党首(マヘーシュ・マーンジュレーカル)もそれを見守っていますが、意気軒昂なグルジーを苦々しく思っている人々もいました。エセ聖者のバーバー(アモール・グプテー)と、彼の背後にいる政治家(ザーキル・フセイン)で、彼らはグルジーの候補者たちに立候補を取り下げさせ、さらにはグルジーを亡き者にしようとたくらんでいました。バーバーへの献金はすべて裏で蓄えられ、選挙運動中の票の買収に使われるのです。

一方、グルジーの所の候補者の一人で、シンガムの幼なじみの友人は、妹アヴニー(カリーナー・カプール・カーン)とシンガムを結婚させようと考えていました。ところが、アヴニーは自分のヘアサロン・チェーンを大きくすることをめざしており、結婚なんて、と兄の言葉を無視。シンガムもまた、結婚の意思はありませんでした。ところが、グルジーが殺され、シンガムは先生を守れなかったと警察に辞表を出します。そして二人して故郷の村に帰ってみるとアヴィニーの心境に変化が...。

しかしシンガムは、警官が一人、札束がぎっしりと積まれた救急車の運転席で死んでいるのを発見された事件を追い、それを調べるために帰省していたのでした。シンガムと部下のダヤー(ダヤーナンド・シェーッティー)が謎を解き明かすべく行動を開始すると、意外な事実がわかってきます....。

先ほどYahoo!Indiaの映画評を読んで大いに同感したのですが、そこにもあるように、まずアモール・グプテーの悪役が面白いキャラになっています。バーバーとかスワーミーとか呼ばれる聖者が悪人だった、というのはこれまでも結構あるパターンですが、なんとこの聖者様、プライベート時間になるとTシャツにバミューダ・パンツとか、とんでもない格好になってビールを飲んだりするのです。ここが一番笑いのツボでした。

それと、カリーナー・カプール・カーンのアホっぽい役、これも久しぶりに見ましたが、『家族の四季』(2001)の「プー」を彷彿させる快調さです。シリアスなシンガムとのコンビも笑わせてくれ、トップ女優の貫禄を見せつけてくれました。結婚して人気も下火かと思ったのですが、地下鉄の駅にはこんな広告もあって、やはりセレブ度は一番のよう。


そして、何と言っても魅力的なのは、アジャイ・デーウガンのバージーラーオ・シンガム。最初の登場シーンでは、シンガポールのシネコンでは珍しく場内大歓声となっていました。

前作ではまだ駆け出し警部のような雰囲気があったのですが、今回は幹部的な存在で、多くの部下を従えて登場。特に、自分よりも大柄なダヤー警部に命令し、それをダヤー警部が忠実に実行するシーンなどは、その貫禄に惚れ惚れしてしまいます。マハーラーシュトラ州の人間、ということで、「俺はマラーター(マハーラーシュトラの人間)だ」と見栄を切ったり、マラーティー語でつぶやいたりするところなんか、マハーラーシュトラ州の人にはたまらないだろうなあと思います。シンガムのキメ台詞は、マラーティー語の「Aata Majhi Satakli(俺ぁ頭に来てんだよ!)」。ここでも場内にどよめきが。お客さん、ノリがいいですね。マサラ上映に負けていません。


『ダバング 大胆不敵』(2010)でもそうでしたが、ガタイのいい男優にはカーキ色の警察官の制服がとてもよく似合います。特にアジャイ・デーウガンは強面の顔のせいか、制帽をかぶるとさらにステキ。今回の山場では、警官たちが大挙してこの制服の上着を脱ぐ、というシーンが出てきて、それも圧巻の見どころとなっています。ただ、ラストは『ダバング 大胆不敵』の悪徳警官を思い出させるようなラストで、「まったく、インドの警官ってばぁ」と、そこだけが非常に残念でしたです。ローヒト・シェーッティー監督、キミはいつもラストの着地がアカンのが問題やわ~。

その後味の悪さを消すように、映画のエンディング・タイトルにはこんなソング&ダンスシーンが流れます。さっきのキメ台詞「Aata Majhi Satakli(俺ぁ頭に来てんだよ!)」をフィーチャーしているで、歌手のヨー・ヨー・ハニー・シンと共にリトル・シンガムが大挙出演しています。どこかで聞いたメロディーだと思ったら、『チェンナイ・エクスプレス』の「ルンギー・ダンス」にそっくり。やっぱりローヒト・シェーッティー監督ですねー。Yahoo!の映画評が星3.5であるのも納得の、楽しめる作品でした。

 


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