映画祭が始まる前に、現在公開中の映画をパパッと見てしまいました。見た映画館は、旺角東駅に隣接するモール新世紀広場にあるシネコンです。昔は嘉禾旺角と言っていたのですが、名前がUAシネ・グランド・センチュリーと替わり、内装も一新して生まれ変わりました。
2日間にわたり、ここで見たのは、『北京愛情故事』(中国)、『黒色喜劇』(香港)、そして『KANO』(台湾)の3本です。
『北京愛情故事』は中国の若手監督陳思誠の作品で、主演者の1人も彼が演じています。陳思誠演じる貧乏なデザイナーと美女(イ冬麗[女亞])との恋、デザイナーの兄(王學兵)とその妻(余男)の浮気合戦、妻の上司である富豪(梁家輝)とその妻(劉嘉玲)のRPG@ギリシア、2人の間にできた中学生の一人娘と同級生の男の子の淡い恋、そしてデザイナーの家主である60歳過ぎの男性とその妻(スーチンガオワー)&その妻が自分の死後夫を託そうとする女性(金燕玲)の物語と、5つの愛情物語がロンドのように繋がっていきます。出だし部分は、通俗な恋愛ものを思わせるのですが、途中からいい味が漂い始め、見終わったあとはかなり満足度がありました。中学生カップルのエピソード中、ちょっと「???」な部分もありましたが、楽しめました。
『黒色喜劇』は王晶のプロデュースだけあって、さじを投げたくなるくだらなさ。(と、ここまで書いて昨夜意識不明に。終了する時に間違えてアップの方をクリックしてしまったので、ここまでの中途半端な文章がしばらくネットに浮遊してました。ごめんなさい)お話は、ウォン・ジョーラム演じる警部の杜奇風(ジョニー・トーの中国名と同じ音になる)が、地獄の鬼チャップマン・トーに目を付けられ、死後地獄に行くのを条件に3つの願いを叶えてやる、と言われます。天国の天使ジム・チムも登場し、さて、杜奇風はどちらへ....というような他愛ないもので、ギャグも全然効いていませんでした。一昨年ヒットした『低俗喜劇』のイメージで見に来たお客(私もその1人)はがっかり、というところでしょう。
『KANO』は期待にたがわず面白かったです。185分(香港上映版はこれよりちょっと短かったような....)もあっという間で、セットやCGの腕などいろんな細部も楽しめて、満足できる作品でした。馬志翔監督、よくぞこんな大作をものにしましたね。ことに俳優たちはいずれもチャーミングな演技で、中年入っている永瀬正敏と、主人公とも言うべきアキラを演じた曹佑寧、そして球児たちを演じた面々は顔を見ているだけで引き込まれていきます。香港の観客たちも、野球は余り知らないと思うのに、ゲームに一喜一憂して最後は泣いている人もいました。
ただ欲を言えば、野球放送のアナウンサーと解説者の話し方に違和感があり、野球の試合のシーンは十二分に楽しめたとは言えませんでした。今のような高校野球独特のアナウンスと解説は、戦後のものなのでしょうか。あと、クライマックスで観客席にいる記者が言ったりする陳腐なセリフも、なくてよかったと思います。セリフに頼らなくても見ているこちらに感動が伝わってくる作品なので、もっと『セデック・バレ』なみに言葉を削ってほしかったです。
それで、映画が終わって出口から出たら、何とプレゼントが配られていました。布バッグと、その中にはパパイヤが1個。劇中で、パパイヤに関する印象的な格言というかセリフがあるため、それでパパイヤになったようです。このバッグ、台湾上映でも配られたのか、それとも香港だけなのかわかりませんが、「長尺だから料金が高くなっている」とチケットを買う時言われたことを、補って余りある素敵なプレゼントでした。なお、大阪アジアン映画祭で上映された時の詳しいインタビューがこちらに出ています。作品をご覧になってない方もぜひどうぞ。
プレゼントと言えば、今回の香港の旅はプレゼントをいろいろいただく旅となっています。前回書いたお茶屋さんでのお茶のプレゼントのほか、メイベルさんからはチョコレートを、息子さんのガールフレンドからは奇華のクッキーを頂戴しました。そして、今日はついに新世紀広場でカメラを買い換えたのですが、そこでもいっぱいプレゼントが。
上の映画館の写真を写した翌日から、今度は回り中にぼーっと黒い影が出るようになり、映画祭を前にしてこれでは、とモールの中の豊澤というお店に飛び込んだのでした。その前にも旺角の下町でいろいろ見てみたのですが、香港はもうスマホの時代で、デジカメは極端に少なくなっています。しかも、置いてあるものの半分はSONYの製品。FUJUFILMはゼロで、CANONとOLYMPUSが少しあるだけ。その少ない中から、日本語の掲示が出るもので、取り込みソフトがパソコンに入っているもの、ということでOLYMPUSの小さいカメラを選びました。1,390香港ドル(約18,000円)です。(機種を書くと、「そんなに高く買って!」と言われそうなので書きません-笑)
対応してくれたのは、ここに写真を付けた2人の店員さんなのですが、下の人に向かってしつこく「負けて~、減価la~」と言ったものの、とうとう負けてくれず。「そのかわりに....」と次々と品物を付けてくれて、なんとオマケが6種類にも! 下の写真はその一部です。
左から、バッグ、カードリーダー、SDカード、予備バッテリー、そして三脚(!)です。このほか、画面保護のフィルムもくれて、早速上の店員さんが丁寧に貼ってくれました。その上、手提げ紐も付けてくれるなど(日本ではいつも付けるのに苦労するのです)、本当に親切にして下さいました。ありがとう、豊澤のお兄さんたち! というわけで、スッキリハッキリの写真になって嬉しいです~。明日からは映画祭なのでこれで一安心です、やれやれ。