アジア映画巡礼

アジア映画にのめり込んでン十年、まだまだ熱くアジア映画を語ります

韓国映画つるべ打ち<1>『あの日、兄貴が灯した光』

2017-05-13 | 韓国映画

連休明けから夏休みにかけて、韓国映画の佳作、秀作、話題作がどどどーっと公開されます。まず1本目は、フレッシュな顔合わせが魅力的な佳作『あの日、兄貴が灯した光』です。データからご覧下さい。

 ©2016 CJ E&M CORPORATION,CHOICE CUT PICTURES All Rights Reserved 

『あの日、兄貴が灯した光』 公式サイト 

2016年/韓国/韓国語/110分/原題:형
 監督:クォン・スギョン
 主演:チョ・ジョンソク、D.O.(EXO)、パク・シネ 

 配給:CJ Entertainment Japan
5月19日(金)よりTOHOシネマズ新宿ほか全国順次公開

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原題は「ヒョン(兄貴)」で、上の画像を見る限り麗しい兄弟愛の物語かと思えてしまうのですが、とんでもない。ハシにも棒にもかからないヤクザな兄貴のコ・ドゥシク(チョ・ジョンソク)が服役中に、柔道の国家代表選手だった弟のコ・ドゥヨン(D.O.)が試合中のケガで失明してしまう、という事件が起きます。兄は「弟にはオレの他に身寄りがないんです。オレが面倒を見てやらないと(涙目)」と抜群の演技力で仮釈放をもぎ取り、自宅に戻ってきます。実は、この兄弟は異母兄弟で、兄の方はずっと前にグレて家を出てしまい、15年ぶりの帰宅だったのでした。両親はすでに亡く、失明事故以来家に閉じこもっている弟は無気力の極みで、家は散らかり放題。帰宅した兄は弟の面倒を見るどころか、家の財産価値ばかり気にしていて、どうやら家を売り飛ばす気配が濃厚です。弟のコーチだったスヒョン(パク・シネ)が心配して、時々様子を見に来てくれるのですが、兄の態度には彼女もあきれかえります。鬼畜な兄貴にますます弟は引きこもり状態に...かと思いきや、ある日なぜか風向きが変わり、兄は弟を少しずつ鍛え直し始めますが....。

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前半の、チョ・ジョンソクのワルぶりがとにかく最高です。ちょっとした体の動き、視線の絡ませ方など、あらゆる部分から「オレはクズなんだよォ。それがどうした、文句あっか!」というセリフが聞こえてきそうで、惚れ惚れと見入ってしまいました。『観相師』(2013)や『建築学概論』(2012)の時はあまりこちらのアンテナに引っかからず、スルーしてしまったのですが、本作では出て来た瞬間からハートをわし掴みされました。うまい役者ですね~。もともとは舞台のミュージカル畑の人で、2004年に舞台俳優としてデビューし、数多くの舞台出演の経験があるほかドラマにも出ています。映画デビューは2012年の『建築学概論』。『建築学概論』と『観相師』ではいろんな賞も受賞しているのに、今までスルーしていてごめんなさい!

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一方、弟役のD.O.もなかなかの演技を見せてくれます。アイドルグループ「EXO」のメンバーで、甘いマスクのイケメンの彼は今24歳。本名はト・ギョンスですが、「ディー・オー」の名で知られていて、映画出演は3本目。急に視覚障害者となった青年のいらだちや、無気力さに陥った様子も上手に表現し、ナチュラルな演技には好感が持てます。これからが楽しみですが、毎度思うのは、韓国映画界には途切れることなく有望な若手俳優が生まれてくるなあ、ということ。ポップスグループやアイドルグループから映画に、という道筋がしっかりと出来ているようです。うらやましくないかね、香港映画界&ボリウッド? ノウハウをぜひ盗んでほしいです。


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ただ、本作のオチが「またまた、韓流ドラマみたい...」なのはちょっと残念。脚本がしっかりしていて、過度に感情に流されることもなく、抑制の効いた画面処理は好もしく感じられただけに、それしかなかったのか、と釈然としない思いが残りました。唯一の女性キャラであるコーチ役のパク・シネ、コメディ・リリーフとして登場するもじゃもじゃ頭の男性(名前が不明)等、脇のキャラクターもいい感じで、全体的にとてもさわやかな印象を残す作品でした。チョ・ジョンソク押しで、オススメです。

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この『あの日、兄貴が灯した光』のほか、ドキュメンタリー映画『マダム・ベー ある脱北ブローカーの告白』に、ソン・イェジンの演技が光る『ラスト・プリンセス-大韓帝国最後の皇女-』、そして7月22日~8月11日(@東京、@大阪は7月29日~8月11日)開催の「ハート・アンド・ハーツ コリアン・フィルムウィーク」で上映される4本の作品『空と風と星の詩人~尹東柱の生涯~』『あの人に逢えるまで』『春の夢』『バッカス・レディ』と、韓国映画の公開がこの先続きます。さらにはその先に『新感染 ファイナル・エクスプレス』も控えるなど、韓国映画は今年も絶好調! おいおいにご紹介して行きますので、しばらくお待ち下さいね。最後に、『あの日、兄貴が灯した光』の予告編を付けておきます。

映画『あの日、兄貴が灯した光』(5月19日公開)予告編【公式】


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2 コメント

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チョ・ジョンソク (Jaan)
2017-05-15 00:28:17
cinetamaさん、こんばんは。
また、面白そうな韓国映画をご紹介いただき、ありがとうございます♪

チョ・ジョンソクさん、脇役で主役を引き立てている役者さんってイメージ。
舞台出身の方なんですね。
今回は主役ということで、是非、観てみたい♪
パク・シネちゃんも出ていますし。

韓国の映画やドラマは、アイドル出身の俳優さん結構出ていますが、皆さん、いい演技していますよね!
やっぱり兵役がある韓国、鍛え方が違うんですかね?関係ないかな?(笑)

面白い映画がどんどん日本で上映されるのは、とても嬉しいです♪
楽しみ~(*^。^*)
Jaan様 (cinetama)
2017-05-15 01:36:56
いつもコメントありがとうございます。
韓国映画もお好きで嬉しいです。

チョ・ジョンソク、久しぶりにトキメく俳優さんに出会った感じでした。
『観相師』の時は「冴えないおじちゃん」だったのですが、あの時ももっと注意深く見ていれば...。
ガンちゃんことソン・ガンホのうまさに、影がうすくなっていたのですね、きっと。

韓国の若手の層の厚さには、もう脱帽です。
「EXO」からはルハンも出ていますしねー。
ルハンは張芸謀監督の『グレート・ウォール』(嫌いなクリーチャーものだったのでご紹介しなくてすみません...)でもしっかり目立つ役を射止めていましたし、あっと言う間に若手俳優ピカイチになってしまいました。
ほんとに、インドももっと若手が活躍しないとダメですよ~。

シャー・ルク・カーンが「TED」でスピーチしているのを教えてもらい、見てみたら、やたら「51歳」を強調していて、何だか気の毒になってしまいました。
https://www.ted.com/talks/shah_rukh_khan_thoughts_on_humanity_fame_and_love
土曜日にお話しするサルマーン・カーンもそうですが、トップスターが全員50代だなんて、それでいいのか、と言いたくなります。
もっといっぱい、若手が出て来てほしいですねー。

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