アジア映画巡礼

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わははの快作、韓国映画『パイレーツ』

2015-04-14 | 韓国映画

前から楽しみだった韓国映画『パイレーツ』の試写に行ってきました。いやいや、思いっきり笑わせていただきました。キャッチコピーは「史上空前の海洋アクション・アドベンチャー」で、アクションシーンは言うまでもなく見どころ満載なのですが、大ネタ、小ネタの笑いもいっぱい盛りこまれ、楽しいのなんのって。それをまた、はっちゃけコメディほぼ初体験のキム・ナムギルとソン・イェジンが一生懸命演じているのですから、そのほほえましさも笑いを誘います。さらに、海中シーンのCGが出色の出来という、実によくできた娯楽大作でした。ディズニーランドとディズニーシーとUSJをドッキングさせたようなこの快作、まずは基本データからどうぞ。


 © 2014 LOTTE ENTERTAINMENT All Rights Reserved.

『パイレーツ』 公式サイト 

2014年/韓国/129分/原題:海賊
監督:イ・ソクフン
出演:キム・ナムギル、ソン・イェジン 、ユ・ヘジン、キム・テウ、イ・ギョンヨン、オ・ダルス
配給:ツイン
宣伝:アルシネテラン 

初夏よりTOHOシネマズ新宿ほか全国順次ロードショー

原題はここでは「海賊」となっていますが、サブタイトルも入れると「海賊:海に行った山賊」で、韓国での公開を前に日本語の各サイトにこの題名が溢れた時には、「いったい、どんなお話なの?」と思ったものでした。画像からはハリウッド映画『パイレーツ・オブ・カリビアン』が連想され、無国籍・無時代映画かも、と想像していました。ところが、これが立派に(?)歴史映画だったんですねー。ストーリーを書いていくとちょっと長くなるので、その前にまずは予告編をどうぞ。

財宝を巡って壮絶な戦いが展開!映画『パイレーツ』予告編

お話の舞台は、新羅、百済、高句麗の三国が覇を競った後に高麗が朝鮮半島を統一、その高麗も一時は元の支配下に入ったりして徐々に滅亡へと向かっていた頃、1388年です。その後、李成桂(イ・ソンゲ)が李氏朝鮮王朝を成立させるのが1392年なのですが、『パイレーツ』ではこのイ・ソンゲ(イ・デヨン)が冒頭から登場します。高麗の軍を率いていたイ・ソンゲは、中国との国境の戦線から撤退することを決定し、配下に伝えるものの、モ・フンガプ(キム・テウ)隊長の指揮下にいた兵士チャン・サジョン(キム・ナムギル)が異を唱えます。腕が立ち、バカ正直なサジョンは、「軍を都に戻してこの国を乗っ取るつもりだろ!」とイ・ソンゲにグサリ。口止めしようとしたフンガプ隊長と一騎打ちになり、フンガプの片眼を切り裂いたサジョンは、彼を慕う同僚兵士と共に軍から去って行きます。

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一方、こちらは海の上の海賊たち。老練で冷徹な船長ソマ(イ・ギョンヨン)のもと、若き女性の副船長ヨウォル(ソン・イェジン)を中心に、海賊のくせに船酔いに苦しめられるチョルボン(ユ・ヘジン)、フンミョ(ソルリ)、ヨンガプ(シン・ジョングン)、チャムボク(イ・イギョン)らが結集し、船を襲っていました。戦利品の金の仏像を運ぶ時、その中の1体が海に落ちるのですが、すぐさまヨウォルが飛び込んで海中から拾い上げます。その時ヨウォルは、十字傷のある巨大なクジラと遭遇。彼らは一瞬見つめ合い、その後クジラは悠々と去って行きました。

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それから3年後の1391年、ヨウォルらはソマ船長に反旗を翻すことになります。ソマ船長が役人と結託して、身内からも犠牲を出そうとしているのをチョルボンが聞きつけたためです。ソマ船長はヨウォンらに縛り上げられた体で海に身を投じ、姿を消しました。

その頃、新たに国王となったイ・ソンゲは、中国の明に遣いの臣下ハン・サンジル(オ・ダルス)を送り、朝鮮半島の統一国家としてのお墨付きをもらおうとしていました。「国名は”朝鮮”とし、新たな国璽(国としての公印)を授ける」と明から建国承認をもらったサンジルでしたが、船での帰途巨大クジラに国璽を呑み込まれてしまいます。困ったサンジルは、帰国後王の側近チョン・ドジョン(アン・ネサン)と相談し、国璽は海賊に奪われたことにしてしまいます。それを信じたイ・ソンゲは、「海賊を討伐し、15日の間に国璽を取り戻せ」と水軍に命令します。水軍の指揮官は、サジョンに負けた時の傷がもとで隻眼となったフンガプでした。

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その頃サジョンは、山賊になっていました。その彼の耳に聞こえてきたのが、「クジラが金銀財宝を食ったそうだ」という噂。クジラを捕れば大もうけ、とばかり、サジョンは部下を引き連れて海に行こうとします。その時出会ったのが、海賊がイヤになって船を下りたチョルボン。また、クジラ捕りの武器を調達する時に、ヨウォンとも遭遇します。この時の大騒動で、サジョンとヨウォンは角突き合わす関係に。さあ、海のことなど何一つ知らないサジョンたち山賊は、クジラ捕りに参戦できるのでしょうか? 一方ヨウォルに率いられた海賊たちは? はたまたフンガプ率いる水軍の動きは? これに意外な人物も加わって、海の上はにわかに騒がしくなっていきます....。

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アクション・シーンの見どころは、随所に登場します。中でも目を見張るのが、村にやってきたヨウォルらと、そこで出会うサジョンらが巻き込まれる巨大水車暴走シーン。その前に、水車に繋がる高架水路をヨウォルが流されていくシーンもあり、これはまさにソーメン流しならぬソン・イェジン流し状態。つづいての化け物サイズの水車が村を蹂躙していく様は、CGとはいえ迫力満点です。また、ラスト近くの水軍と港で戦うシーンも、『レッドクリフ』を連想してしまう規模で思わず見ている方も体に力が入ります。キム・ナムギルのアクション、なかなか様になっていて見応えがありました。ソン・イェジンの方は、小柄なのでアクション映えしないのが気の毒ですが、120%がんばっている、というのがこちらにもひしひし伝わってきます。

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かたやお笑いシーンは、何と言ってもリーダー格はユ・ヘジン。エンジン全開で船酔い体質の海賊を演じていたかと思うと、山賊に加わったら序列が乱高下する元海賊をこれまたオモロイ度+情けない度200%で演じるというワザを見せ、その演技で見事大鐘賞の助演男優賞を獲得。以前にも『王の男』(2005)で同賞を受賞していますが、今回は『王の男』に勝る活躍ぶりで、『アタック・ザ・ガス・ステーション!』(1999)の出前持ち役以来のファンである私としては嬉しい限り。ツバが飛んできそうな熱演、十分にお楽しみ下さい。

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主演のソン・イェジンとキム・ナムギルも負けてはいません。特にキム・ナムギルは「イカれ虎」と別名を持つ山賊の首領、という設定だけあって、そのおマヌケぶりも堂に入っています。ちょうど、auのCF「三太郎」シリーズにつながるような、とぼけた味が何とも言えません。多分、演じている当人は必死でボケてたのだと思いますが、これが余裕でできるようになれば、大スターの仲間入り間違いなし。ソン・イェジンもこれまでにない役柄で、コメディもイケる女優であることを証明して見せました。


『パイレーツ』はこんな楽しみに、さらにCGによる素晴らしいシーンが加わります。海上でのシーンはCGが少々力不足でいまひとつなのですが、海中シーンはお見事と言うほかありません。特に巨大クジラが登場するシーンは、その自然さ、雄大さに心がとろけそうになります。昨年韓国で866万人を動員、興行成績第2位になったのも当然でしょう。

「朝鮮王朝の成立最初期、10年間国璽がなかった」という歴史的事実に着目し、これだけの壮大な物語を作り上げたイ・ソクフン監督。前作『ダンシング・クイーン』(2012)とはまったくの別世界を見せてくれたイ・ソクフン監督に、これからも注目です。


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2 コメント

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Unknown (haru_man)
2016-01-06 19:40:31
楽しく 読ませていただきました。
何度か映画館へ足を運びましたが、分かってはいても 毎度同じところで 笑わずにはいられないw
山賊に転職したチョルボンが、海に関しては 全く無知な山賊に 全身で海洋生物を表現するシーンwww
既に”海賊2”の計画も動き出しているとか、とても楽しみです!
haru_man様 (cinetama)
2016-01-06 23:44:38
コメント、ありがとうございました。

『パイレーツ』、お好きな方が多いようで、常に拙ブログへの検索の上位に上がっています。
主演のキム・ナムギル、ソン・イェジンはもちろんのこと、ユ・ヘジンやオ・ダルス(本作ではちょい大人し目)といった名脇役も思う存分盛り上げてくれて、本当に楽しい作品になっていますね。

続編情報もありがとうございます。
実現するといいですね~。

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