アジア映画巡礼

アジア映画にのめり込んでン十年、まだまだ熱くアジア映画を語ります

A.R.ラフマーン、日本を魅了する(下)

2016-09-19 | インド映画

第2部は、ベース、シタール、そしてヴォーカルを従えたラフマーンのミニ・コンサートでした。まず、ベース奏者とシタール奏者が姿を現し、チューニングを始めます。


ベース奏者の美女は、昨日の授賞式の演奏時から話題になっていたとのことで、「18歳から舞台に立つようになって、まだ20歳そこそこなのよ」とか情報が漏れ聞こえてきます。あとで調べたところによると、モーヒニー・デイ(Mohini Dey)という人のようでした。YouTubeでもいろいろ映像が出て来ます。


シタール奏者は、これもあとで調べたところ、どうやらアサド・カーン(Asad Khan)というお名前のよう。若く見えますが、落ち着いた音を出す人でした。そしてラフマーンが登場し、ピアノの前に座ります。右手にはキーボードがセットされています。


1曲目は『スラムドッグ$ミリオネア』の曲で、ピアノとシタール、ベースのセッション。


2曲目は、忘れもしない『OK Darling』の「Naane Varugiraen」。ここからヴォーカルが入ります。ヴォーカルはあとで聞くとカナダ生まれの人だそうで、調べたところどうやらシャシャー・ティルパティ(Shashaa Tirupati)という名前のようジョーニター・ガーンディー(Jonita Gandhi)というお名前だと、コメントで教えていただきました。しっとりと歌い上げる、曲にぴったりのヴォーカルでした。


”忘れもしない”というのは、昨年の東京国際映画で上映した時に字幕を付けたからで、この曲は映画ではBGM的に使われたため、歌詞は「Chinnanjiru Chinnanjiru Ragasiyamae(小さな小さな 私の秘密)」の部分しか訳出しなかったのですが、この日は歌詞がヒンディー語版になっていたようです。ラフマーン、最近のコンサートでこの曲よく使っていますね。


3曲目はヒンディー語映画『Tamasha(見世物)』(2015)から、「Agar Tum Saath Ho(あなたがいてくれたら)」。ラフマーンのキーボードから、豊かな音が溢れてきます。これも静かな曲で、女性ヴォーカルの声質がこういう曲に向いているのか、それともラフマーンの気分が物静かモードなのか、情感豊かな曲が続きます。この曲は、映画の中のヴォーカル(アルカー・ヤーグニク)よりも心にグッとくるアレンジと歌い方でした。


4曲目は、皆さんお待ちかねの『ボンベイ』から「Tu Hi Re(あなただけが)」。これもヒンディー語版の歌詞で、元のタミル語版では「Uyre(生命よ)」になります。海岸べりの古い城砦で歌われたラブソングですね。

そして最後はハミングから始まる『スラムドッグ$ミリオネア』の曲。日本の人にも馴染みのある曲を、ということで配慮して選曲してくれたのでしょう。


5曲だけだったのですが、とてもゴージャスなコンサートでした。会場のスタンディング・オベーションに、ラフマーンも、他の演奏者も嬉しそう。


観客側は、もっと聞きたい~~~という感じで激しく拍手をしたのですが、残念ながらアンコールはなし。しかし、ラフマーン+3人の編成だけでも、十二分に心に染み渡る音を残してくれるのですからすごいです。


ラフマーン、そして演奏家の皆さん、本当に素晴らしい時間をありがとう!


笑顔を残して、ラフマーンは姿を消します。


終了後、どさくさにまぎれて舞台裏に連れて行ってもらい、『ジャイ・ホー~A.R.ラフマーンの音世界』のプレスにサインをいただいてきました。下方、ラフマーンの腕の下がサインです。「今度はジャパン・ツアーで、必ずまた来て下さいね!」とお願いしておきました。


特別のフォーラムを開催して下さった、福岡アジア文化賞の皆様、お世話して下さった福岡市役所の皆様、本当にありがとうございました! なお、ラフマーンの公式サイトを見ると、来年3月にはイギリスでのツアーが開催されるようです。興味がおありの方はこちらをどうぞ。このサイトに、"Japan Tour"のポスターが躍る日を夢見つつ、Romba Nandri, A.R. Rahman Sir!!




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6 コメント

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速攻リポート! (りからん)
2016-09-20 00:06:01
cinetamaさん、金曜の講座ではありがとうございました!
今回も濃い内容で、帰ってからポスター包みの裏紙、インド映画史レジメまで読んでしまいました^^;

いろいろ大変そうでいらしたので、
レスのお手間をかけてしまうと思い、お礼コメントを控えていたのですが、
ちょっと目を離した隙?に、ラフマーン氏講演のリポートが当日アップされていた!(@_@)
早い、早すぎる!
しかもすごい臨場感、
先生、お仕事スゴ過ぎます~!!

この表彰、もう27回もやってるんですね。
福岡ってやっぱり日本のアジア先進地です…。

ラフマーン氏は福岡の後、すぐ広島に行って、
1日滞在しないうちにまた次の目的地に向かったそうで、
ものすごい過密スケジュールだったんですね。

cinetamaさんも、忙しくて体調崩されませんよう、どうぞお気をつけ下さい(^^)
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りからん様 (cinetama)
2016-09-20 00:15:22
コメント、ありがとうございました。

それから、金曜日のカルチャーにも来て下さり、ありがとうございました。
教室を早く出ないといけない関係から、ゆっくりお話するヒマもなくすみません。
またTIFFの時にでもお茶かご飯しながら、ゆっくりお話できるといいですね。

そうなんです、福岡、ほんによかところ、でございます。
アジアフォーカスにも、見知った首都圏や名古屋の方が何人もいらしていて、福岡の吸引力のすごさを思い知らされました。

明日は東京に戻ります。
台風も直撃はまぬかれ、予定通り帰れそうです。
返信する
ボーカリストについて (印度映画広報委員会中野支部)
2016-09-20 09:06:35
Cinetamaさま
初めまして、印度映画広報委員会中野支部と申します。福岡の詳細なリポートをありがとうございました。曲名について、1曲(OK Kanmani)が不明なところがあり、大変参考になりました。

一点気づいたことがあり、ご連絡申し上げました。ボーカリストですが、Jonia Gandhiのようです。サラーム海上さんのリポートはこちらで、
https://www.facebook.com/photo.php?fbid=10153694478356901&set=a.10150258596421901.369198.614676900&type=3&theater

▼ご本人のサイトはこちら。
http://www.jonitagandhi.com/

▼本人のツイッターはこちらなのですが、日本に行ったことがリポートされているので間違いないようです
https://twitter.com/jonitamusic

ご参考いただければ幸甚です(このコメントはご参考用としてお送りしましたので、非公開でかまいません)

Cinetama様の講演には過去何度か参加し、いつも勉強させていただいております。インド映画のもっと多くの公開が実現すべく、当委員会は自主活動をしております。今後またどこかでお目にかかる機会があるかもしれませんが、何卒宜しくお願い申し上げます。
返信する
印度映画広報委員会中野支部様 (cinetama)
2016-09-20 10:08:14
コメント、ありがとうございました。

ヴォーカルの方のお名前をご教示下さり、とても助かりました。
早速訂正しておきました。
そうか、お仕事の速いサラームさんのサイトを見てみればよかったですね。
コメントで間違いを指摘して下さると、こんな風に簡単に訂正が入れられるので助かります~。

皆さんのお名前は、「Rahman session sitarist」とか入れて検索しまくり、その後YouTubeでお顔を確認、とかやっていたので、ヴォーカリストはお顔の似た人と間違えてしまい、失礼しました。
「ティルパティ」(「トリパティー」とよく間違えられる、とありました)さんなら、タミル語も行けるのでは、とちょっと不思議だったのですが、「ガーンディー」さんとわかって、なるほど、タミル語の歌詞は大変なので、ヒンディー語メインだったのね、と納得した次第です。

『OK Darling』(原題は『O Kadhal Kanmani』で、これを『OK Kanmani』と略すことも多いので、同じ作品です。コメントを下さった方以外の方に念のため。TIFFでは英語タイトルを映画題名にして上映されましたので、原題を省いたのでした)のあの歌は、ヒンディー語の歌詞では「チンナジル」が「リムジム(こぬか雨)」になっていましたね。

お寄せ下さったコメントは、アップしやすいようにいろいろご配慮いただき、ありがとうございました。
また何かありましたら、いつでもご指摘下さいね。
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こちらもお疲れ様でした (エドモント)
2016-09-23 20:33:39
cinetamaさん こんにちは

新宿朝日カルチャーの翌日は、やっぱり福岡へ飛んだのですね。
私も人のことは言えませんが(笑)。 お疲れ様でした。
福岡アジア文化賞受賞A.R.ラフマーンのパフォーマンス、私も楽しめました。
隣に座ったのは、デリ近郊出身の留学生でした。
いきなり、「こんにちは」と、挨拶され、始まるまで言葉を交わしました。
やはり、ラフマーンと知って応募したとのことです。

『予言者ムハンマド』の舞台挨拶も見て来ました。
映画は、まあ、それなりというか、宗教作品の色彩が強かったのですが、予言者ムハンマドの顔が最後まで明らかにならないというのが、やはり、モスリムの宗教作品なのだと認識しました

19日は、総合図書館までバスに乗って出かけて、久しぶりに、『ボンベイ』を見て来ました。
改めて見ると、編集が多少荒っぽいかな、と、感じましたが、最後まで銀幕に引きつけられてしまいますね。

お陰様で、19日の夜発便は遅れはしましたが、大きな揺れもなく帰東出来た次第です。
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エドモント様 (cinetama)
2016-09-23 21:58:30
コメント、ありがとうございました。

ほんなこつ、人んこつは言えなかでしょうが!(合ってるかな?)
17日の早朝の飛行機で福岡入りなさるとは、私の上を行っています。
でもそのお陰で、福岡ではほかの皆さんもまじえて楽しいディナーができ、思い出深い滞在になりました。
ありがとうございました。

何だか10月も、あちこちでお目に掛かりそうですね-。
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