アジア映画巡礼

アジア映画にのめり込んでン十年、まだまだ熱くアジア映画を語ります

第28回東京国際映画祭:私のDAY 1

2015-10-23 | アジア映画全般

本日より、東京国際映画祭(TIFF)に出勤です。本日は何と、つるつると5本も見てしまいました。初日からこんなに飛ばすと、あとでバテそうですが、いずれも面白い作品で、寝落ちゼロの楽しい映画祭初日となりました。簡単に、見た作品と遭遇したゲストのご紹介をしておきます。 

『民族の師 チョクロアミノト』
インドネシア/2015年/インドネシア語/160分/原題:Guru Bangsa Tjokroaminoto
 監督:ガリン・ヌグロホ
 主演:レザ・ラハディアン、チェルシー・イスラン、タンタ・ギンティン

 

とっても骨格のしっかりした、見応えのある作品でした。後半では若き日のスカルノ大統領も登場する、インドネシア独立闘争の初期を描いた作品です。驚いたのは、パキスタン建国の父ジンナーが設立した全インド・ムスリム連盟のことが登場するのは、主人公たちがイスラームをバックボーンとした団体を結成することからもわかるとして、ガンジーの非暴力闘争や、タゴールの詩なども登場するという、インドの植民地闘争への言及の多さ。インド好きの人が見ると、感銘を受けるのでは、と思います。

 

チョクロアミノト一家の使用人として、インドネシア映画界の大物女優クリスティン・ハキムが出演しているのですが、見終わってホールの外に出たらその彼女がいてびっくり。試写をご覧になっていた元岩波ホールの大竹洋子さんを待っていたようで、仲良く記念撮影しておられました。クリスティン・ハキムはこの映画のプロデューサーでもあります。


『ぼくの桃色の夢』
中国/2015年/中国語/100分/原題:我的青春期
 監督:郝杰(ハオ・ジエ)
 主演:包貝尔(バオ・ベイアル)、孫怡(スン・イー)、(ワン・ポン)

 

東京FILMeXでお馴染みのハオ・ジエ監督の新作です。先にご紹介した現地ポスターそのままの内容で、いわば台湾映画『あの頃、君を追いかけた』(2011)の中国版、といったところ。でも、マドンナ役が楚々とした美人なのに対し、主人公の少年の高校以降があまりにも.....で、あまり入り込めませんでした。さらに、これまでのハオ・ジエ監督作品に見られた、地方の本音が鋭い社会批評となっている部分が弱くて、毒気が少ないのも物足りず。まあ、笑える要素は満載で、途中主人公の通う中学校に悪ガキ4人組が転校してくるところでは、流れるBGMに大笑いしてしまいました。香港電影迷なら、きっとツボりますよ~。

 

いつもと違って、プレス上映のあとに同じ場所で記者会見が行われたのですが、次の作品が押していた私は失礼してしまいました。でも、廊下で会った主演女優のスン・イーは、劇中のマドンナに輪をかけた美女で、ちょっとクラクラ。となりの丸坊主の人が、ひょっとして主演男優のバオ・ベイアル??? 

『キッド・クラフ~少年パッキャオ』
フィリピン/2015年/フィリピノ語/108分/原題:Kid Kulafu
 監督:ポール・ソリアーノ
 主演:ブーボイ・ビリャー、アレサンドラ・デ・ローシ、セーサル・モンタノ

 

実在のボクサー、マニー・パッキャオの半生を描いた作品で、『ホセ・リサール』(1998)等に出演した二枚目俳優セーサル・モンタノ(以前は確かセサール・モンタノ)がパッキャオの叔父役で出演。甥がデビューした時のリングネームに、自分が愛飲している酒の名前「クラフ」をつけるという、いいかげんな男を演じています。途中で出番がなくなり、最後に一瞬また出演、というのは、ほかの映画と掛け持ちしていたから、とかかも。

 

『百日草』
台湾/2015年/中国語/96分/原題:百日告別
 監督:林書宇(トム・リン)
 主演:林嘉欣(カリーナ・ラム)、石頭/石錦航(シー・チンハン)、馬志翔(マー・ジーシアン)

ピアノ教師だった妻を亡くした男と、同じ事故で婚約者を亡くした女性のそれぞれの物語が進行。仏教施設で二人は出会っているのですが、二人はお互いにそれぞれが事故の当事者だったことを知らないまま。初七日、四十九日、百か日等の説明が画面に現れ、二人の苦悩が描かれるのですが、納得できない部分があって、私にはいまひとつでした。行くはずだった新婚旅行のルートをカリーナ・ラムが一人で辿る場所として、沖縄が登場します。 

『風の中の家族』
台湾/2015年/中国語/126分/原題:風中家族
 監督:王童(ワン・トン)
 主演:楊佑寧(トニー・ヤン)、郭采潔(アンバー・クオ)、郭碧婷(ヘイデン・クオ)、胡宇威(ジョージ・フー)

 

こちらも、さすがワン・トン監督の作品、という感じで、感覚は古いものの、中国大陸での国共内戦の敗退により、台湾に逃げてきた国民党兵士の物語をきっちりと見せてくれる作品でした。トニー・ヤン始め、ヘイデン・クオらが時代の移り変わりを上手に表現、丁寧な時代考証とあいまって、庶民レベルの戦後台湾史を画面に蘇らせてくれます。個人的には、ワン・トン監督や侯孝賢(ホウ・シャオシェン)監督の作品でお馴染みの張世(チャン・スー)が麺屋台の客で出演していて嬉しかったものの、おじさんになっていて少しだけがっかり。子役の少年が個性的でかわいかったです~。



 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 『マルガリータで乾杯を!』... | トップ | <TUFS-Cinemaインド映画上映... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

アジア映画全般」カテゴリの最新記事