アジア映画巡礼

アジア映画にのめり込んでン十年、まだまだ熱くアジア映画を語ります

白ラブちゃん名演技!①『チャーリー』は犬版神話映画

2024-05-01 | インド映画

カンナダ語映画『チャーリー』の試写に行ってきました。連休の谷間のせいか、試写を見にいらしていた方は私と同世代の方がほとんど。受付の配給会社インターフィルムの社員さんたちが孫に見えます(笑)。164分大丈夫かしら、と思っていたら、途中トイレに立たれた方がお一人いらしただけで、皆さん画面に引きつけられていらっしゃいました。そういう私も、白ラブのチャーリーに目が釘付けになりつつ、脚本にツッコミも入れながら見ていたら、あっという間の2時間44分でした。いやあチャーリー、この芸達者!ぢゃない、芸達犬! 作品画像をまだ頂戴できていないのですが、とりあえず『チャーリー』の魅力を少し語らせていただきましょう。まずは、映画のデータと簡単なストーリーをどうぞ。

『チャーリー』 公式サイト
 2022年/インド/カンナダ語/カラー/シネスコ/164分/原題:777 Charlie
 監督・脚本:キランラージ・K 
 出演:チャーリー、ラクシット・シェッティ、サンギータ・シュリンゲーリ、ラージ・B・シェッティ、ダニシュ・サイト、ボビー・シンハー
 配給:インターフィルム
6月28日(金)より、新宿ピカデリーほか全国ロードショー 

カルナータカ州マイスールにある、チンマヤ・コロニーと呼ばれる一戸建てが集まった団地。住人の1人ダルマ(ラクシット・シェッティ)は独身で、回りからは「孤独に生きる世捨て人」などと呼ばれ、半ば変人扱いされています。勤務先の工場では優秀な技術者として知られているものの、誰とも友達づきあいをしないため、やはり浮いた存在です。彼の生きがいは酒にタバコ、そしてチャーリー・チャップリンの古い映画をテレビで見ることでした。そんなある日、団地に一匹のゴールデン・レトリーバーが迷い込んできます。多頭飼いの小屋から逃れてきた若い犬で、団地の住人の1人が運転するバイクに引っかけられ、道路で気を失ってしまいます。その犬を助け、動物病院に運んだのはダルマでした。院長(ラージ・B・シェッティ)は「自分の飼い犬じゃない」と主張するダルマの言動にあきれますが、飼い主を探すことを約束して、ダルマに犬を連れて帰らせます。しかし、実は団地内はペット禁止で、回りの住民から圧がかかる始末。ダルマは院長をせっつきますが、なかなか飼い主はうまく見つかりません。院長はダルマに、犬の鑑札だけは取っておくように命じ、ダルマは動物愛護委員会のデーヴィカ(サンギータ・シュリンゲーリ)らが実施している登録所に赴き、「777号」の鑑札をもらいます。そうこうしているうちに、ダルマはこの犬の世話に手を焼かされながらも、徐々に親近感を憶えていきます。でも、そこに、新たな飼い主志望一家が現れて....。

というのがイントロ部分なのですが、ここまでで約1時間。その間に見ている方はもう、ぐいぐいと上の白ラブちゃんに引きつけられていきます。このあとで「チャーリー」と名付けられる白ラブは、実は女の子。イントロ部分で動物病院長が明かすのでわかるのですが、それまでずっと雄だと思っていました。というのも、ダルマ宅でやらかすことの数々がいかにもいたずらっ子という仕業ばかりで、食いしん坊に加えてお調子者の姿は、とても雌とは思えません。白ラブって、こんなに騒々しい犬種でしたっけ? その一方で、人間に近い感情を持つ犬、という設定もされていて、この両面攻めで観客は、特に犬好きではなくてもメロメロになる仕掛けです。ホントに、動物と子供には勝てませんねー。そのお子様の方も、ダルマの近所に住む小学生の女の子アドリカが登場して、ダブルで観客の心を溶かします。それにしてもチャーリー役の白ラブちゃんは芸達者で、インドではこの映画の上映後、白ラブ人気が急上昇した、というのもうなずけます。

 

© 2022 Paramvah Studios All Rights Reserved.

そのチャーリーの得意技が、上写真の「ねえ、ちょっと」手です。訓練士さんのトレーニングのたまものでしょうが、ホントに誰かにスキンシップしているようなこのしぐさ、見ている方にまでその肉球の感触が伝わってくるようです。犬好き、特に白ラブ好きがこの作品を見たら、もうヘニョヘニョ~ととろけちゃうでしょうね。後半、というかイントロが終わると、チャーリー・チャップリンからダルマが「チャーリー」と名付けるこの白ラブにとんでもない苦難が出来するのですが、それがきっかけとなり、ダルマがチャーリーを連れてインド亜大陸を北上していくロードムービーが始まります。旅先では、カッコイイ中年男(『ジガルタンダー』や『サラール』にも出演しているボビー・シンハー)や、動物愛護委員会のデーヴィカらとも出会い、いろんな事件が起きます。で、ラスト、雪中のシーンとなるのですが、ここには思いがけずヒンドゥー教の神様が登場して、まるでインド神話のような世界で観客の心が癒やされることになります。

そしてオーラスのエンドロールには、オマケというか後日譚も付けてあるという、とてもよく出来た作品でした。インド映画に関心がなくても、犬好きなら絶対にハマりそうな作品です。愉快でステキなチャーリー嬢、ぜひ日本中を虜にして下さいね。最後に、チャーリーの名付けシーンの映像+歌を付けておきます。本作では、無口なダルマと人間語は話せないチャーリーの物語を推進させるため、BGMで流れる歌が彼らの代弁をしているシーンがいくつかあります。それが成功しているかどうかは評価の分かれるところですが、そのうちの一つがこのシーンです。何と歌われているのかは、字幕でぜひご覧になって下さいね。お楽しみに。

Bonding Video Song (Kannada) - 777 Charlie | Rakshit Shetty | Kiranraj K | Nobin Paul

 


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 超重量級作品『サラール(仮... | トップ |  プラバース主演作『サラール... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

インド映画」カテゴリの最新記事