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「君の膵臓をたべたい」 (2017年 日本映画)

2017年09月01日 | 映画の感想・批評


 えっ?!膵臓を食べたい??これは若者向けのホラー作品か?と思って見たら大違い。実際は心洗われるヒューマンドラマだった。この衝撃的なタイトルが、作品を見終えた後は感動的な響きとなって深く脳裏に突き刺さる。そのギャップが何とも心地よい。これは一杯食わされた。
 原作は2015年に出版され、200万部を売り上げた住野よるのベストセラー。十代の若者だからこそ感じられる、恋とも愛とも友情とも違う、言葉では表現しにくい感情をこの強烈なタイトルに表したということだが、映画では原作にはない12年後の【僕】を描き、回想録という形で再び過去と向き合うという形をとっている。
 【僕】を演じるのは高校時代が若手の期待俳優・北村匠海、そして12年後は小栗旬だ。この二人、容姿的には似ているとは言い難い。12年くらいなら同じ俳優が演じてもいいのでは…とも思うのだが、話が進んでいくうちに徐々に二人が違和感なく重なり合ってくるから不思議。同じことは桜良の親友・滝本恭子を演じる大友花恋と北川景子にも言えることなのだが、お互いに相手に寄り添い、相手の印象を大事にして演じていることがよく伝わってくる。そしてヒロインの山内桜良を演じる浜辺美波の自然体の演技が、まだ高校生だという未完成の魅力にあふれていて新鮮だ。屈託のない笑顔を振りまきながらも、重い病気と向き合って、死をも受け入れようと真剣に生きる姿が清々しい。
 特筆すべきは【僕】と桜良の思い出の場所であり、過去と現在をつなぐ図書館の空間だ。撮影に使われたのは滋賀県豊郷町にある豊郷小学校旧校舎の酬徳記念図書館。ここに月川翔監督以下スタッフが一丸となって、この映画のための図書館をデザインしていったそうだが、本好き、図書館好きの面々にはたまらない、この上なく魅力的な空間が出来上がった。さらに滋賀ロケーションオフィスの協力を得て、桜が美しい彦根城をはじめ、ローカル電車や神社、学校など、見慣れた風景が次々と登場するのも滋賀県民にはうれしい限り。
 小栗旬が、彦根の街中を、走る、走る!!
 (HIRO) 

監督:月川翔
脚本:吉田智子
原作:住野よる
撮影:柳田裕男
出演:浜辺美波、北村匠海、小栗旬、北川景子、上地雄輔、