財布が無い！

　昨日のお客さん、この前、酔って道端で寝たとか。気がついたら財布が無かったらしい。

　私　「寝てる時に盗られたんやな。でも、そんなに心配いらんやん」
　お客「なんでや」
　私　「どうせ大したお金入ってなかったやろ」
　お客「失礼な！そやけどカードが入ってたで」
　私　「それも大丈夫！(銀行の口座に)残金があれへんから」
　お客「他人の懐(フトコロ)具合、勝手に決めんといてんか」
　私　「昔から言うやん、勝手知ったる他人の懐」
　お客「それ、“他人の家”やっちゅうねん」

　一句：酔って寝て　道路に払う　宿泊料

お年寄り

　昨日の朝のことである。
　「あ～、どうしよう」
　目覚まし時計を見たら11時5分。少し寝過ごした。
　背泳ぎ教室の時間に間に合わないと思い、急いで自転車に飛び乗ってジムに向かった。
　そのコースの途中にあるいつもの公園で、数人のお年寄りがのんびりとゲートボールに興じていた。
　一刻を急ぎ心に余裕の無い私と、悠々と時を愉しむお年寄り。
　「同じ時空にいながら時間の長さの感じ方が違うなぁ」
　変に関心しつつ暴走機関車の車輪の様に自転車のペダルを思い切り回転させた。気持ちは活力に満ちた若者だ。
　でも、よう考えたら私も“お年寄り”やったんや(汗;)
　この年(60)は自分では気持ちは若者でまだ年寄りと認めたくない。でも周りから見れば十分に“お年寄り”だ。

　一句：寝過して　急(セ)いて自分の　年忘れ

テニス・スクール

　お客さんの知り合いの人妻がテニス・スクールのコーチとできて駆け落ちしたとか。それも、実母と娘を旦那に託して。

　お客「家族まで捨てて、よっぽどテニスのコーチが魅力的やったんやな」
　私　「手取り足取り教えてもうてるうちに情が深まり不倫か」
　お客「結構、そんなんあるらしいで。テニスのコーチ、格好エエから
　私　「テニスを教えてペニスも教える。ペニス・スクールやな」

　一句：テニス・コーチ　手取り足取り　心盗り

特急料金

　今日のお客さん、大阪・難波から堺までを特急料金を払って全席指定の特急ラピートに乗って来た。因みに特急では10分の距離。

　私　「堺までを特急料金を払(ハロ)たん？勿体ない」
　お客「ちょっと急いでたから…」
　私　「乗ってる時間、たったの10分やん。安なれへんの？」
　お客「ここの特急料金は遠かっても近かっても同じやねん」
　私　「それやったら、東京まで乗らんな…」
　お客「線路が繋がってない！」
　私　「すいませんろ」

　一句：特急で　時間をセーブ　お金ロス

オシッコ

　今日の男性客はいつもトイレに行くと長い。トイレから出てきておしぼりを渡す時に一言…

　私　「いつもオシッコ長いなあ。チンチン短いのに…」
　お客「見たんか！ズボン上げてたんや」
　私　「オシッコすんのにズボン下ろすんか？」
　お客「俺、オシッコはズボン下ろして座ってするねん」
　私　「へー座って？考えられへんわ。どこでもか？」
　お客「洋式でも和式でもや」
　私　「駅の立ちション用のトイレでも？」
　お客「それは無いわ」
　私　「駅のトイレで座ってしてるのん想像したら面白いやろな」
　お客「他の人に変に思われるわ」
　私　「もともと変やん」
　お客「マスター、キツイこと言うなあ」

　一句：オシッコの　話、もつれる　水掛け論

麻生新総理

　店で自民党の麻生新総理誕生の話が出た。彼の出生地を聞いたら福岡県だった。

　私　「麻生さんは熊本出身やと思てたわ」
　お客「なんで？」
　私　「あそ(阿蘇)があるから…」
　お客(呆れた顔をして)「マスター、あいそ(勘定)して」
　私　「男前やねえ、センスがエエなあ、お冷(ヒヤ)入れよか」
　お客「その愛想と違う！」

　一句：荒波で　船出も険しい　新総理

用意がいい

　体重が120kgはあるデブッちょの客Aさんが岸和田のだんじり祭りをテーマにしたIKECHANの『ケヤキの神』を唄った。
　とにかくこの曲はテンポが速く、彼は歌詞を追っかけるのに四苦八苦していた。そして間奏の時に「あ～、しんど。死にそうや」と疲れをあらわにした。
　
　私　「安心して唄いや、外に救急車と霊柩車呼んでるさかいに。状況に応じて使い分けたらエエねん」
　客A「用意がエエなあ、マスターは」
　客B「そやけど倒れたら運ぶのに、めちゃ重たいで」
　私　「大丈夫！レッカーも用意してるから」

　一句：行き届く　気配り万全　サービス業

初孫誕生

　今日の60過ぎのお客さん、昨日、初孫が生まれたと喜んでいた。男の子で2300g。それを聞いていた横の若い女性客に話をふった。

　私　　「60過ぎで初孫はちょっと遅いな」
　女性客「それだけに可愛さも人一倍やろね」　
　私　　「それにしても2300gは小さいな。保育器に入れなアカンな」
　女性客「せっかく産んだのに離れるなんて、寂しいわ」
　私　　「ほんだら、もう一回、子宮に入れてそこで大きしたらどうや」

　一句：初孫に　目じりがゆるむ　頬たるむ

ナルシスト

　日曜日はジムの日。
　マシン・ジムをしたり、背泳ぎ教室とボディ・フィーリング(ストレッチ・太極拳・ヨガ・ピラティスの組合せ)とラテン教室を受ける。
　トレーニングを終えて風呂から上がりロッカールームで着替えをしていたら、大きな鏡の前でパンツ一丁の半裸で自分の姿をずっと見ている会員がいた。
　確か、彼は私が風呂に入る前から鏡の前に立っていた。
　ジムで体を鍛えているので時々鏡を見ている会員はいるが、この人は色々ポーズを変えたりしてとにかく長い。
　そんなにええ体つきでもないのに、自分の体に見惚れているという感じ。
　ナルシストとは彼のような人のことを言うのだろうが、傍(ハタ)から見ると気持ち悪い。
　私が帰る時もまだそこに居た。
　彼はジムでトレーニングをしている時間よりも鏡を見ている時間の方が長いのと違うかな？

　一句：ナルシスト　鏡の前で　自己陶酔

スキマスイッチ

　カラオケの話をしていたら若いお客さんがスキマスイッチの話をした。

　私　「スキマスイッチて一体なんや？」
　客A「音楽のユニットで、フスマの隙間と電灯のスイッチから命名した」
　私　「フスマの隙間？音楽にふさわしないな」
　客A「マスターの髪の毛がスキマ…」
　私　「俺の頭は置いといて…」
　客A「スキマセン」　
　客B「俺は歯がスキマ」
　私　「歯並びが悪いなあ。それに歯も出て…」
　客B「俺、デッパでマスター、カッパ」
　私　「また、俺のアタマにスイッチしてきたな」

　一句：当店の　話のネタは　吾がアタマ