神奈川県中央会では、3つのテーマによる専門家の記事を載せています。
本日は「経営者側からの視点での人事労務」をテーマとした社会保険労務士
平山久美子氏の第18回目の記事となります。
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【残業代「言われたら、その時払えばいい・・・?」】
未払い残業代を従業員が請求してくるケースが増加しています。在職者からの訴えというよりも、退職した元従業員からというケースが多いようです。人は、人間関係を考えた場合、やはり毎日顔を合わせる人とは穏便に過ごしたいと考えるもので、在職中にトラブルになるというよりも、人間関係の切れた退職後に、それまで我慢していたものがあふれ出すかのように、訴えやすい賃金の支払いを求めてくるようです。
中小企業の中には、人件費の支払いが苦しいという理由で、残業代の支払いに上限を設けたり、数万円の手当を支払う代わりに残業代を支払わないといった賃金の決め方をしているケースもあります。社歴の長い会社では、「これまでずっとこの方法でやってきて、何も問題は起こらなかった」とか、創業間もない会社であれば、社長が「これまで働いてきて、どこの会社もそうだった」などと言われます。確かに、今から10年以上前であれば、労働した時間のすべてに賃金を支払うことの方が非常識と言われかねない社会風土がありました。しかし、時代は変わりました。法令遵守は、食品偽装の問題や建築偽装の問題でも話題になりましたが、労働法においても求められるようになっています。
それでは、人件費の支払いが苦しい会社は違法状態でいるしかないのでしょうか。「労働基準監督署の調査や裁判となれば、どうせ払わなくてはならなくなるのなら、言われてから払えばいいではないか・・・」と、半ばあきらめ、確信犯的に残業代を支払っていない会社があるのも事実です。
しかし、それでは何も対策をしない無防備な状態でいるわけですから、とてもリスクが高いのです。そうではなくて、会社に負担のない方法での法令遵守体制をとれるように対策をするべきです。支払いが可能な総額人件費、従業員個々の人件費から逆算して、法律に則った支払いができるように賃金の仕組みを見直せば、リスクを最小限にしておくことが可能です。
今の時代は、小さな会社であっても、この対応をしておくことが必須となってきています。
ところで、万一、未払い残業代の支払いを求められたときで、裁判にまでなってしまったときは、未払い分を支払うだけでは済まされない負担を負わなくてはならなくなる場合があります。
ひとつは、「付加金」という、追加の支払いを求められることです。
これは、労働基準法第114条で「裁判所は賃金の支払いをしなかった使用者に対して、未払金の他に、これと同一額の付加金の支払いを命じることができる」と規定されているからです。
残業代を「言われたらその時払えばいいや」などと考える企業に対してはペナルティーが与えられるようになっているのです。
もうひとつは、インターネットによる影響です。裁判は、基本的に公開されますので、会社が従業員と裁判沙汰になったことを隠しておけないのです。
労働裁判は、事件名に会社名が付くことが大半です。
よって、インターネットで会社名を検索すると、その裁判についての記事が出てきてしまうのです。
場合によっては、会社のホームページよりも上位に検索されてしまうこともあるようです。会社名を検索するときといえば、これから取引をしようと考えている人(企業)の他、就職を考えている人もいます。
未払い残業代で従業員から訴えられた会社と知られれば、優秀な社員予備軍も応募してはくれないでしょう。
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平山社会保険労務士事務所
社会保険労務士・行政書士
平山久美子
URL : http://www.roumu-shi.com
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