chuo1976

心のたねを言の葉として

点字 伊藤宏一

2016-10-17 04:30:07 | 文学
点字                             伊藤宏一



ここに僕らの言葉が秘められている

ここに僕らの世界が待っている


舌先と唇に残ったわずかな知覚

それは僕の唯一の眼だ

その眼に映しだされた陰影の何と冷たいことか


読めるだろうか

星がひとつ、それはア

星が縦にふたつ、それはイ

横に並んでそれはウ

紙面に浮かびでた星と星の微妙な組み合わせ


読めるだろうか

読まねばならない

点字書を開き唇にそっとふれる姿をいつ

予想したであろうか・・・


ためらいとむさぼる心が渦をまき

体の中で激しい音を立てもだえる

点と点が結びついて線となり

線と線は面となり文字を浮かびだす


唇に血がにじみでる

舌先がしびれうずいてくる

試練とはこれか━━

かなしみとはこれか━━

だがためらいと感傷とは今こそ許されはしない

この文字、この言葉

この中に、はてしない可能性が大きく手を広げ

新しい僕らの明日を約束しているのだ

涙は

そこでこそぬぐわれるであろう 

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