中華街ランチ探偵団「酔華」

中華料理店の密集する横浜中華街。最近はなかなかランチに行けないのだが、少しずつ更新していきます。

関内牧場

2017年06月14日 | レトロ探偵団

 5月下旬のことだが、関内を歩いていたら、こんな光景に出くわした。

 この空き地を見て思い出したのが、戦後にあった「関内牧場」。
 牧場っていっても「平田牧場」なら美味しそうだが、関内牧場には牛・豚などはいなかった。ぺんぺん草の生える単なる空地だったのだ。

 横浜の接収解除は昭和27年から始まったのに、30年代に入っても関内のあちこちに空き地があった。
 なかなか復興が進まず、まるで牧場のようだということで、人々はその光景を揶揄して「関内牧場」とよんでいたのである。


 私自身は昭和30年代の関内を体験していないのだが、40年代後半でも空き地があったことは覚えている。
 
 馬車道でこの空地を見て、こんなことを思い出した次第なのだが、さて、ここに建っていたビルは何だったっけ?
 一瞬、「あれ?」って思ったけど、すぐに思い出した。
 馬車道商栄ビルだ。角の店は「清水平安堂薬局」だった。


 解体される前の馬車道商栄ビル。これは防火帯建築で、巨大なLの字型をしていた。


 相生町通り側の側面。
 このビルは昭和30年代初めに建てられたはず。それから60年。いよいよ解体され、再び関内牧場のような光景が出現したというわけだ。
 ただ、戦後間もなくの牧場と違って、こちらは新しいビルに建て替えるのだから、なんだか希望が持てるよね。

 てなことで、今日は昔の関内牧場を振り返ってみようと思う。


横浜市のホームページより
 米軍によって占領された関内の中心部。モータープールとして利用されていた。


『横浜市史Ⅱ 資料編7 戦災復興と都市計画』より
 関内牧場が出現するに至った原因は、これだ。
 昭和27年から接収解除が始まったのだが…

 上の地図には昭和28年現在の接収解除の状況が描かれている。関内のあちこちで土地が返還されているが、そのあとの復興のめどが立っていないのだ。


岩波写真文庫 シリーズ都会の記録1952~1957
 全国の宅地接収面積の62%が横浜に集中していた。
  

 遠景に男が一人。あとは犬しか歩いていない弁天通。


 あてもなくぶらつく失業者か…。左端には被災を免れた電気の「共栄社」の看板が見える。


 上の撮影場所から少し右に向けたところ。右の大きなビルは旧十五銀行(のちに神奈川新聞社が入る)。


 昭和30年代初めの関内。
 尾上町交差点の周囲には店が建ち始めているが、そこから少し離れると空白地帯が残っている。



 市役所はまだ建っていない。南高校もここに建設する計画だったようだね。
 最終的には、右側の3ブロック全部が市役所の用地となり、現在の庁舎が建った。


 
 これは相生町5丁目の地図。赤線で囲んだ部分が馬車道商栄ビルである。
 道路を挟んだ向かい側に「三井商店」というお店が見える。これは酒屋だ。
 牧野イサオの書いた本を読むと、ここは当時、大きな角打ち場だったという。港湾労働者が三井商店で酒を買い、隣接する空き地で呑んでいた。そこにはオデンの屋台も出ていたというから、素敵な空間が広がっていたに違いない。
 
 今の時代では空き地があっても簡単には入れないので、その中にビールケースを積み上げて酒を呑むなんてことは無理。
 残念だが酒屋の中で呑むしかない。


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2 コメント

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地図 (冬桃)
2017-06-14 14:47:14
色分けした接収地図、わかりやすいですねえ。この範囲には、日本人は特別に許可された人以外、入ってもいけなかったのでしょうか。
色分け (管理人)
2017-06-14 20:22:04
>冬桃さん
この地図は原本がこんな色分けになっています。
ピンク部分は無期限使用地で、黒い縁取りでピンク色も一時使用なので入れなかったんでしょうね。
黒色部分は解除地ですけど、鉄条網で囲われていたのではないでしょうか。

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