乳がん患者のサロン2 - ノエル編

乳がん患者の皆様、このサロンでのびのびと雑談しましょう。くつろぎの場です。

トラスツズマブとラパチニブの医療費

2012年12月13日 | 病気・症状
厳冬期の選挙に向けて、各政党が選挙カーで演説をやっています。自宅に閉じこもりの私も、北風に乗って聞こえてくる演説には、ちょっと興味あり。

私は延命目的の高齢者医療の充実には反対です。

超高齢化を目前としているからではなく、「人間の寿命」というものを真剣に考えなくてはいけないと思います。

巷で「エンディングノート」の売り上げが伸びています。自分の終末を考え、埋葬法や財産処理をどうするかなど、自分で綴っておくノートです。延命治療に対する本人の意志明記もする人が多いそうです。現代の延命治療に対し、対抗する手段の一つのようにも見えます。

高齢者ほど選挙の投票率が高いから、政治家はあまりこの話には触れません。「社会福祉の充実を図ります」っていうけれど、財源はどうするのですか?
現政権だって、政権を取る時はこういいましたが、現状はどうでしょう???

私とて、未承認薬を一人の医師と病院のおかげで治療に使っていただいて生き延びている一人です。だからこそ、無駄な医療費は発生したくない。何とかずっと自力で稼ぎ、税金を払っていきたいと、腰痛をがまんして働いています。

人は70歳を前に、大勢が亡くなる。

これはある作家が言った言葉です。この現象は今もあまり変わっていないでしょう。日本人の平均寿命はもっと高いですが、自分が平均を越えられるかどうか、それは誰にもわかりません。
70歳を越えられたら、うんと喜んで祝ったらいいと思います。

耳に心地よい選挙演説をしても、私の心には響きません。耳障りの悪い現実的な話もしましょうよ。「ユートピア」なんて、この世にはないっ!

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【トラスツズマブとラパチニブによる転移性乳癌治療の実態調査、投与法の違いが医療費に反映】

 HER2陽性転移性乳癌患者におけるトラスツズマブとラパチニブによる治療は、医療費全体はほぼ同じだが、投与法の違いからトラスツズマブの方が投薬にかかる費用が顕著に高く、一方、治療中止率はラパチニブで高いことが明らかになった。医療保険データベースを用いて、実臨床での治療状況を解析した研究によるもの。米国Analysis Group社のGenevieve Gauthier氏らが、12月4日から8日まで米国サンアントニオで開催されたサンアントニオ乳癌シンポジウム(SABCS2012)で発表した。



 研究では、医療保険データベース「PharMetrics Integrated Database」を用い、治療の中止(連続して45日以上の中断)、医療資源の利用(入院、救急、外来など)、医療コスト(入院費や外来費などの医療サービス費、薬剤費を含む投薬費)を解析した。



 対象は、ラパチニブが米国で承認された2007年3月13日以降で、過去6カ月以上、医療保険制度に登録し、トラスツズマブもしくはラパチニブの使用開始から30日以上保険に登録していた転移性乳癌患者643人(トラスツズマブ治療381人、ラパチニブ治療262人)。



 患者背景で違いが見られたのは、年齢(トラスツズマブ治療56.7歳、ラパチニブ治療54.4歳、p=0.020)、投薬開始時までの罹病期間(185.8日、518.5日、p<0.001)、ファーストライン治療としての投薬(69%、28.2%、p<0.001)などだった。またラパチニブ治療患者でトラスツズマブ治療歴のある患者は65.3%を占めた。



 解析の結果、治療中止率はトラスツズマブ治療では48%だったが、ラパチニブ治療では63%と有意に高かった(ハザード比1.57、p<0.001)。



 医療資源の利用について1年間の発生率を比べると、外来受診がトラスツズマブ治療で26.64%、ラパチニブ治療で29.60%(発生率比IRR 1.19、p=0.05)、投薬のための受診がそれぞれ27.32%、13.26%(IRR 0.34、p=0.05)、入院はトラスツズマブ治療で0.77%、ラパチニブ治療で0.97%(IRR 1.15)だった。



 医療コストは、平均で1人あたり月に約11000ドル、その半分が医療サービス費だった(トラスツズマブ治療43.5%、ラパチニブ治療59.4%)。全体的にトラスツズマブとラパチニブの医療コストはほぼ同じだったが、投薬費はトラスツズマブのほうが1605ドル高かった(p<0.001)。ただし投薬費のうち、薬剤費はラパチニブのほうが高く(p<0.001)、投薬のための受診にかかる費用はトラスツズマブのほうが顕著に高かった(p<0.001)。



 またsensitivity analysis(感度解析)により、トラスツズマブ前治療歴の有無で、トラスツズマブ治療とラパチニブ治療を比較した。その結果、トラスツズマブ前治療歴のないラパチニブ治療患者では、トラスツズマブ治療患者よりも、入院が多く(IRR 1.74、p=0.002)、医療サービス費が高かった(p<0.001)。
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薬には、「使いやすい薬」と「使いにくい薬」があるといいます。奏効性は高いが、副作用も出やすい薬は、使いにくい薬ですね。

ラパチニブが承認された当初、トラスツズマブより奏効性が高いのではないかという評判もありました。が、副作用はトラスツズマブより強い。
抗がん剤治療は途中で止めると奏効性が格段に落ちてしまうため、副作用を必死にこらえながら治療を続けた患者も多いと想像します。

治療を受ける前、もちろんこういったことは主治医から話がありますが、副作用がどうでるかは、患者一人ひとり異なります。覚悟して治療に臨んでも、どうにも我慢できない結果になる人もいるでしょう。どちらの薬を選択するか、大変難しいですね。

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なかのひと

This blog “The salon of breast cancer women authored by Noe:l” is able to read in Japanese:-)

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2 コメント

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Unknown (kei☆)
2012-12-15 10:09:29
「延命目的の高齢者医療」って、望む人とそうでない人がいますもんね。

明治くらいは寿命が50歳~60歳だったそうですが、実際そのくらいの方がいいんじゃないかなーと。
5~60年なら、人間の体力にあわせた人生計画も可能だし。

とはいえ、伴侶がいる場合、相手が亡くなってしまうと、寂しいものだし、年いってから、寄り添って生きていくためには、「延命」してほしいと思うかもしれません。
一人残されてしまうのは、悲しいですから。
Unknown (ノエル)
2012-12-15 12:54:45
日本人が医療を必要としないで生活できる年齢は、75歳ぐらいまでだそうです。その後は何らかの病気で「治療生活」を送っていると。

私はサザエさんの作者・長谷川町子さんが「70歳を越えたので、医者に行くのはやめます」と宣言し、すぐに亡くなってしまったのを思い出します。

腰痛がひどくて動けなくなった時、一人暮らしの老人になり毎日がこんなだと、何のために生きるんだろう???と、すごーく考えてしまいました。痛みと不自由だけを感じる生活じゃ、鬱っぽくなるのがせいぜいではないかと。

生きる目的が本人にあれば、我慢して生きられるでしょう。が、子供が親の年金をあてにし、延命措置を求めるというのは、親不幸以外の何者でもないと思います。医師のブログでたまに見かける現象です。

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