乳がん患者のサロン2 - ノエル編

乳がん患者の皆様、このサロンでのびのびと雑談しましょう。くつろぎの場です。

ハーセプチンとP95 HER2

2011年06月21日 | 病気・症状
HER2強陽性患者にとって、トラスツズマブ(ハーセプチン)は期待値の高い分子標的治療薬です。単剤の奏功率は約3割。7割の人に奏功しません。
どんな場合に奏功する・しないのかは、患者として気になるところです。
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【HER2陽性原発性乳癌でP95 HER2がトラスツズマブの治療効果予測因子となる可能性】

   第47回米国臨床腫瘍学会 2011年6月3日~7日 Chicago, U.S.A.

HER2陽性原発性乳癌において、トラスツズマブ耐性の機序と考えられているP95 HER2がトラスツズマブの治療効果予測因子になる可能性のあることが、術前補助療法のGeparQuattro試験の組織標本を解析して明らかになった。6月3日から7日にシカゴで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO)で、German Breast GroupのSibylle Loibl氏らによって報告された。

 P95 HER2はHER2のカルボキシル末端フラグメント(CTF)であり、P95 HER2ではトラスツズマブ結合部位が欠損している。そのためHER2陽性乳癌において、P95 HER2の出現はトラスツズマブ耐性に関与しているといわれている。

 この研究では、GeparQuattro試験でトラスツズマブによる治療を受けたHER2陽性原発性乳癌患者の標本を用いて、P95 HER2の発現と臨床効果との関係を調べた。

 GeparQuattro試験は、術前補助療法として、EC療法(エピルビシンとシクロホスファミド)後に、3群に無作為化割り付けし、ドセタキセル投与する群、ドセタキセルとカペシタビンを投与する群、ドセタキセルの後にカペシタビンを投与する群を比較。HER2陽性乳癌にはすべての化学療法にトラスツズマブを追加した。

 GeparQuattro試験でHER2陽性患者は445人。このうちホルマリン固定パラフィン包埋標本が採取でき、免疫組織化学染色(IHC)によるHER2判定と611 CTF抗体を用いたP95 HER2の検出ができた患者145人を解析対象とした。P95 HER2は、3人の病理医によって陽性細胞の割合として評価され、カットオフ値は20%と設定された。

 患者の年齢中央値は48.5歳(22.2-77.6)、腫瘍グレード3が40.7%、T1-3は85%、T4(炎症性乳癌を含む)が15%、リンパ節転移なしが39%、ホルモン受容体陽性が52%だった。

 化学療法とトラスツズマブ併用における病理学的完全奏効(pCR)率は、p95 HER2が陽性だった患者では59%だが、p95 HER2陰性の患者では24%と有意に低かった(p<0.0001)。また単変量解析ではpCRとp95 HER2の発現、pCRとホルモン受容体の状態に有意な関連性が見られた(p=0.001、p=0.039)が、多変量解析ではp95 HER2の発現のみがpCRと有意に関連した(p=0.004)。

 これらの結果から、Loibl氏は「p95 HER2の発現によって、トラスツズマブに感受性の高いHER2陽性腫瘍を検出することができる」と述べている。
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「P95 HER2」って何でしょうか?!

P95 HER2については、2009年の第47回日本癌治療学会学術集会で、以下の演題を見つけました。

【HER2可溶性抗原によるTrastuzumab耐性とtruncated-HER2(p95-HER2)のモニタリング】演題番号 : OS091-1
柏葉 匡寛:1 稲葉 亨:1 武田 雄一郎:1 小松 英明:1 上杉 憲幸:2 菅井 有:2 三浦 一穂:3 熊谷 真澄:3 佐藤 誠志:4 若林 剛:1 
1:岩手医科大学外科学講座 2:岩手医科大学分子診断病理学講座 3:岩手医科大学附属病院看護部 4:岩手医科大学附属病院薬剤部
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【始めに】TrastuzumabはHER2陽性乳癌に対し再発から補助療法へと治療の場を移し予後を著明に改善していると考えられるが、殆どの再発症例ではいずれ耐性を示す。

【目的】ハーセプチン耐性化の1機序とされるtruncated-HER2(以下p95-HER2)出現のsurrogate markerとして、再発時HER2可溶性抗原(以下HER2-ECD)陽性率とTrastuzumab耐性時のHER2-ECDの変化を検討した。

【対象】HER2陽性(IHC3+/FISH>2.0)進行再発乳癌18症例、同患者の1-4次治療の進行時47検体を採取、ケミルミCentaur-HER2/neuにてHER2-ECDを測定、15.2ng/mL/以上を陽性、>20%を上昇としてレトロスペクティブに検討した。

【結果】再発時HER2-ECD陽性率は50%(9/18)、陰性例の多くは進行後も上昇がみられなかった(77.8%:7/9)。一方、耐性時HER2-ECD上昇は66%(31/47)で観察された。

【考察】現状ではp95-HER2は腫瘍のWestern blotでのみ観察可能であり個々の腫瘍での出現をリアルタイムには検出できない。諸家の報告のようにHER2-ECDは再発予測因子あるいは再発症例のTrastuzumab効果予測因子であり、またIn vitroでのp95-HER2の発現との相関からLapatinib等の効果予測因子として期待されている。更に症例を追加し文献的考察を加え報告する。
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どうやら、HER2の状態の違いにより、治療効果に差が出ている様子。詳細が徐々に明かになっているようにも見えます。


でも、これ以上話が難しくなると辛いなぁと思わず(-_-;)になっちゃった人、<ここをクリックよろしくね~ >


この報告、私はよくわかんないんです。P95 HER2の発現のあるなしで、病理学的完全奏効率に差異があったのはわかったんですけど。
「P95 HER2ではトラスツズマブ結合部位が欠損している」とありながら、「化学療法とトラスツズマブ併用における病理学的完全奏効(pCR)率は、p95 HER2が陽性だった患者では59%だが、p95 HER2陰性の患者では24%と有意に低かった」の部分が、?(-_-;)です。

化学療法とトラスツズマブを併用し、トラスツズマブが結合できないp95 HER2が陽性だった患者の病理学的完全奏効率が、p95 HER2陰性の患者より有意に高かったんですよねえ。。。

なかのひと

This blog “The salon of breast cancer women authored by Noe:l” is able to read in Japanese:-)

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