民を教える正しい音――世宗大王

ソウル入りして二週目、ブログを復活しました】

茨木のり子さんは、「ハングルへの旅」のなかで徳寿宮(トクスグン)のことを取り上げています。徳寿宮はソウル市庁から道路をはさんだ向かいにあります。その徳寿宮にはハングル(偉大なる文字)の発明者である世宗大王の銅像が置かれているのです。

韓国語を学ぶ者にとって世宗大王はまさに教祖。その教祖の像を拝んで、韓国語の魂にふれることができるならば、これほどの励みはありません。1995年、たまたまソウルにいた私は、「ハングルへの旅」を読んですぐに徳寿宮を訪れ、世宗大王の像に手を合わせました。

真夏のソウルは、日帝支配から開放され50年を経過した光復50周年を祝う賑わいであふれ、それと呼応するように徳寿宮の庭には韓国の国花である無窮花(ムグンファ・むくげ)が色とりどりに咲き誇っていました。

世宗大王は世宗25年(1443年)に、ハングルの元になる訓民正音の制定を行います。訓民正音とは「民を教える正しい音」という意味。それまで使用されてきた漢字は、朝鮮語とは構造が異なる中国語表記のための文字体系であったため、多くの民衆たちには学び使うことができませんでした。そこで、世宗大王は朝鮮語固有の表記にふさわしい文字体系を完成させ、これを訓民正音と呼びました。

世宗28年(1446年)に鄭麟趾らが世宗大王の命を受けてこの新しい文字について説明した漢文解説書を刊行しました。その本の名称が『訓民正音』だったのです。

私はいま、「民を教える正しい音」に導かれてソウルで仕事をしています。11年前に世宗大王の像に手を合わせたお陰かもしれません。

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