電脳筆写『 心超臨界 』

行動は人を作りもし壊しもする
人は自らの行為によって作られたものである
( ヴィクトル・ユーゴー )

匂い立つほどの気品が漂う――「蝉しぐれ」

2024-03-24 | 04-歴史・文化・社会
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(2005-10-03投稿)
◆匂い立つほどの気品が漂う――「蝉しぐれ」

映画「蝉しぐれ」を見る。「蝉しぐれ」は、黒土三男監督が原作者の藤沢周平さんから何度も断られたあげくに、やっと映画化の承諾を頂いたものだという。藤沢さんは、「自分は映像化するために小説を書いているのではありません。できれば、そっとしておいて欲しい」というようなことを人づてにくり返したそうだ。ところが後になって、黒土監督のようなフリーの映画監督がもしも失敗したら、個人で大変な損害を被るのではないかと心から心配した藤沢さんの心遣いであったことが判明する。

ストーリーは、東北の小藩「海坂藩」の下級武士を父にもつ牧文四郎の青春物語。そこに、隣家に住む幼なじみのふくとのラブストーリーが重なる。

●ある日突然、父が捕らわれ、切腹の処分が言い渡される。理由は殿の世継ぎを誰にするかをめぐり藩内に起こった争い事にかかわり合ったことだという。「文四郎はわしを恥じてはならん」、「剣の道にはげめ」という言葉を残して、父は切腹する。尊敬する父との最後の瞬間に文四郎には言葉がなかった。「父君を尊敬しています。ここまで育てていただきありがとうございました」と言えなかったことを悔やむ。

●謀反を起こした父の子として、文四郎には数々の試練が待ち受けている。そんな中、ふくが江戸へ行くことになった。殿の屋敷の奥につとめることになったのだ。数年後、青年になった文四郎に、筆頭家老・里村左内から牧家の名誉回復が言い渡される。文四郎は言い渡された村回りの仕事に専心した。

●人づてに、ふくが殿の側室となり、子供を身ごもったことから派閥闘争に巻き込まれ流産をしたことを知る。しばらくして、ふくは殿の子をもう一度身ごもり、郷里に戻り身を隠して出産をとげる。そんな折り、文四郎は里村左内に呼ばれ、ふくの子をさらってこいと言い渡される。牧家の名誉を回復してくれたことを思うと、罠だと知りつつも文四郎は引き受けざるを得ない。

●思案の末、文四郎は、ふくの子を預かった後、里村派の反対勢力の中心人物であり、父が仕えていた家老・横山又助のところに駆け込むことにする。いざ決行の日、里村派はふくとその子を殺すための刺客を送り込む。果たして文四郎は無事にふくとその子を助けることができるのだろうか・・・・・・。文四郎の知恵と剣術の真価が試される。

黒土監督は、藤沢さんの原作を読んで、これほどきっちり書かれたものはない、先の読めない物語構成は上質のエンターテインメントであり、これは映画になると感じる。「登場人物たちが日本人は気高く、素晴らしいものなんだということを訴えてくる感じには、読んでいて喜びを感じ、日本人というものに希望を持ち、感動しました」と素直に語る。

「蝉しぐれ」は、すでにNHKでドラマ化され、高い評価を受けている。黒土監督は、大好評を得たのは作品のそのものが素晴らしかったからということよりも、人が生きていくのが非常に困難な今という時代に、藤沢さんが描く「蝉しぐれ」の世界を、だれもが望んでいたからだという。

映画では、テレビで描けなかった日本人の気高さを描きたかったのと同時に、匂い立つ気品を感じられるようにしたかった、と語る。特に大人になってからの文四郎は、侍の立ち居振る舞いを大切にしたかったので、歌舞伎の世界にいる市川染五郎さんに出演をお願いした。現場で黒土監督は、染五郎さんの「佇まいの美しさ」に惚れ込んでしまう。「染五郎さんが歩くと周りの空気も一緒に動くんです。そういう俳優は日本にはそうはいません。素晴らしかったです」とご満悦。確かに映画には、市川染五郎さんを中心に匂い立つほどの気品が漂っている。

黒澤明監督は、「1本の映画の中で、映画的と思えるシーンは1シーンか2シーンあるかないかだ」と語ったことがある。黒土監督も、「この映画『蝉しぐれ』において、『これが映画だ』と思えるシーンが実はあります。それがどこかはあえて言いません。観客の皆さんに感じて頂ければ幸せです。僕はそういう映画を作ろうと、最大限の努力をしました」と語る。

匂い立つ気品のなかで、あなたにとってもっとも映画的と思えるシーンはどのシーンだろうか? それを探すためにも是非見る価値のある映画といえよう。
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