グー版・迷子の古事記

古事記の世界をあっちへふらふらこっちへふらふら
気になったことだけ勝手に想像して勝手に納得しています

ネコ(根子)

2013年09月06日 | 古事記
猫だと思ってみてくれた方ごめんなさい
根子の話です

古事記ではオオモノヌシが祟り神として一番恐れられています。
そこでオオモノヌシの周辺を探ってみると気になることを見つけました。
ネコ(根子)です

  《オオタタネコ》

第10代崇神天皇の御世疫病が流行して人々が次々と死んでいました。
天皇は嘆き悲しみ神殿で祈願し、そのままそこで眠っていると夢にオオモノヌシが現れました。
「今流行っている病は自分のしわざである。オオタタネコに命じて自分を祭らせるなら、祟りは収まるだろう」

このオオタタネコ、オオモノヌシの末裔でタケミカヅチの子供。
ここで疑問に思う方もいると思います。
タケミカヅチと言えば国譲りでオオクニヌシ一族を掃討したアマツカミです。
しかしここではオオモノヌシ(オオクニヌシの幸魂)の曾孫として出てくるのです。

オオモノヌシはクニツカミですから当然オオモノヌシの系図はクニツカミで間違いないはずです。
ということは、タケミカヅチは本当はアマツカミなのか?クニツカミなのか?
この話は長くなりそうなので

オオタタネコにもどります。
漢字で書くと 大田田根子 意富多々泥古となります。
根子ですから、根の子でクニツカミの子、或いは根の国の子という意味になりそうです。
このネコ(根子)、崇神天皇の時代とその周辺で特に良くみられる名前です。
実在した最初の天皇と言われることもある第10代崇神天皇です。

  《崇神天皇》

何故、最初の天皇と言われるのかというと第2代~第9代天皇(欠史八代)までが逸話がなく、初代・神武天皇と10代崇神天皇の名前に「ハツクニシラス」という共通点があるためなのだそうです。
厳密には第2代にも逸話あるんだけどね(初代の項でだけど…)
自分は欠史八代も実在の天皇だと考えています。
あまりに嘘っぱちの歴史を天皇家の都合のいいように勝手に作っても、周りの豪族を敵に回すだけだと思うしね

でも、崇神天皇が即位する時に何かしら権力闘争があったらしい痕跡は見つけることができるのです。

そしてそこに、どうやらネコ(根子)が関係していそうなのです。

  《欠史八代》

第7代・孝霊天皇 - 大日本根子彦太瓊天皇
第8代・孝元天皇 - 大日本根子彦国牽天皇
第9代・開化天皇 - 稚日本根子彦大日日天皇

この7代~9代の天皇にだけネコ(根子)がつきネコヒコとなりますが、第10代崇神の時に第6代まで同様ネコ(根子)が消されヒコだけになってしまいます。
また、6代までと比べ7代から急激に系図の数が増えます。
この事は、出雲の力を借りた中央政権の政治的安定を示すものかもしれません。

・ネコヒコ (根子彦)=(根子日子)
ネ(根)は根之堅州國(黄泉の国・夜見の国)
根之堅州國(根の国)は出雲の影と言っても過言ではないでしょう。

ヒ(日)を太陽と取ればネ(根)は月を示し、
ヒ(日)をアマツカミと取ればネ(根)はクニツカミを示します。

第7代~第9代の天皇はネコヒコで、
我は日の御子・月の御子、アマツカミの子・クニツカミの子、と宣言しているようなものです。

第7代孝霊天皇の時に出雲の勢力の影響を多大に受け出雲の傀儡政権となったが、第10代崇神の時には天皇の力が強まり、日子(日の御子)という本来の名前に戻せたと言えるかもしれません。

では何故、崇神の時に天皇は力を取り戻せたのか?
そこにはどうやら、出雲の内部抗争があったような形跡があります

登場人物
・崇神天皇…母方の父・ウツシコヲ(内色許男)
・オオビコ(孝元天皇の第一御子)…母方の兄・ウツシコヲ(内色許男)
・タケハニヤス王(孝元天皇の御子)…母方の父・河内の青玉

オオビコは崇神天皇の不安をあおったため、崇神天皇はタケハニヤス王へオオビコの兵を送り込み滅ぼします。もしかすると、崇神・オオビコに共通の後ろ盾だったと思われるウツシコヲの策略だったのかもしれません。

また、タケハニヤス王は「王」がついているので皇位継承権をもっていたでしょう。
タケハニヤス王の母方の父・青玉は当時権力を持っていたのかもしれません。
しかし、権力者としては中途半端な名前です。
青玉の玉は勾玉の玉を意味しているものと思われます。
当時勾玉造りで有名だったのは出雲の玉造(現在玉造温泉がある所です)
そうなると、青玉は出雲玉造の重要人物の可能性が高そうです。
また、崇神天皇&オオビコの後ろ盾と思われるウツシコヲ(内色許男)は色許男という名前からこちらも出雲と関係が深そうです。
そうなるとこの権力闘争は

青玉 vs ウツシコヲ 

となりそうです。
ネコ(根子)が歴史から消された時期と重なるため、青玉の本当の名前も消されたのかもしれません。

  《壱岐真根子》

壱岐の県の祖(日本書紀)
武内宿禰(孝元天皇の孫)の身代わりとなり自刃
壱岐氏は祖神としてツクヨミを祭っているのでネコ(根子)でツクヨミの御子と名乗ったのかもしれません。

  《白髪根子》

清寧天皇(白髪大倭根子命)
生まれながらに白髪であった為、父雄略天皇が霊威を感じ皇太子とする。
白髪は白色(金気)、雄略天皇が感じた霊威とは金気の神であったのでしょう。
そのため、根子となったと思われます。
どうやら根(ネ)には神霊を表す意味もありそうです

  《その他のネコ》

・根子集落
平家落人や源義経の家来が開いたともされるが定かではない。
マタギの里として有名。
根子番楽…国重要無形民俗文化財
 曽我兄弟という舞があるが、出雲・曽我との関係は不明。

  《ナガスネヒコ》
ネコヒコに気付いてから、これはもしかして?と考えています。
長洲根日子ととれるかもしれません。
そうなると…

大八洲根子日子 或いは 中津国根子日子 或いは大日本根子日子

を意味しそうです。
思いっきり第7代~第9代天皇とかぶってきますね

オオモノヌシの血脈が根子、ツクヨミの血脈も根子、そして金気の神も根子。
まだ、ここまでですが。この2柱の神の間にはまだ隠された秘密がありそうです
ちなみに猫と月に関する逸話などは見つかりませんでした。
猫が船のネズミ捕りから陸で飼われるようになった頃には根子は忘れられてしまったのかもしれません