病院設計者のブログ

病院・診療所の新築・建替・リフォームに関する事や、その他色々な事について書いていきます。

病院・診療所の設計のための建築知識 5

2015-01-06 | 病院建築

診察室の採光について

 

前に病院・診療所の診察室には

採光をとる必要はありません

 

というブログを書きましたが、

 

ある先生から

住宅メーカーから、鉄筋コンクリート造か

鉄骨造でないと、診察室には窓が必要と

言われたんですが本当に要なのですか。

という相談がありました。

 

診察室の採光に関わる法律は二つあり、
 
生活衛生上の明るさを確保するために規定
 
された法律と、避難上、防火上支障が無い様に
 
規定された法律があります。
 
 
 
前のブログで書いた通り、法改正で
 
生活衛生上の明るさを確保するために
 
規定された法律は診察室には適用
 
されなくなりましたが、
 
避難上、防火上支障が無い様に
 
規定された法律はそのままです。
 
 

避難上、防火上支障が無い様に
 
規定された法律というのは、
 
 

第35条の3 政令で定める窓その他の開口部

を有しない居室は、その居室を区画する

主要構造部を耐火構造とし、又は不燃材料

で造らなければならない



この条文以外にも関連条文がありますが、
 
他は省略しました。
 
しかし、この条文だけを読んでもよく
 
わかりませんね。
 
 
 
分かりやすくいうと、

 
もし火災などが起きた時、

避難上支障が無い位の明るさが

確保できる窓をつけるか、

それとも、外に逃げることができる
 
大きさの窓をつけなさい。
 
 
これらの窓がつけられない場合は

診察室の構造を燃えにくい構造

にしなさい。

というものです。


耐火構造というのは

鉄筋コンクリート造や、
 
鉄骨造などをさします。


ですから、木造の場合は一般的には耐火

構造とすることはできませんので、

普通にいくと、窓をつけなければ
 
ならない、ということになります。



これらに関する条文は大変分かりにくく、
 
様々な解釈ができるので、行政によって
 
も対応がまちまちだったりします。
 
しっかり事前相談をしながら、設計を
 
進めていかなければなりません。
 
 
 
診療所の防火規定や避難規定は以前の
 
福岡での診療所火災事故などがあり、
 
より厳しくなる方向なので、最終的には、
 
行政庁の判断になりますが、診察室に
 
関しては木造窓無しは結構難しいと思います。
 
 
 
設計を完了して、申請段階で行政などから、
 
これではダメですよと言われて、大慌て
 
で設計をやり直して、本意でない間取りに
 
なったり、工事の遅れによる開業時期の
 
遅延などを招かないように、医療施設を
 
を理解できている設計者を選定し、その
 
設計者としっかり打合せをして進めて
 
いくことが大変重要です。
 


 

 
コメント
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