哲学以前

日々の思索を綴ります

書評を求められて

2017-01-30 16:40:35 | 日記
『学城』という年刊誌の第1号に対する感想を求められた。

この年刊誌は南郷学派という私的集団によって作られている。南郷学派というのは武道の一門でもあり、日本の武門というのは代々「名を継ぐ」という風習もあって「氏族制」と言っても良いだろう。「氏族制」ということは、エンゲルスの『家族・私有財産・国家の起源』的に述べるならば、「国家以前、国家未満」ということだ。

その「氏族制」の年刊誌の中に唯一部外者として寄稿したのが古田京子である。

古田京子は武谷三男の技術論・三段階論をテーマに論述したが、南郷学派の悠季真理に頭ごなしに一方的な批判をされ、以後『学城』での「部外者=南郷流空手の稽古生以外の寄稿」は認めないと宣言された。

この『学城』第1号は私の手元にもあるはずだが、どこかに紛れ込んでしまい今現在は参照できない。

だが、以前読んだ記憶を呼び起こして私の見解を述べるならば、悠季真理が古田京子に述べたコメントは「出過ぎるな、お客さんならお客さんらしくしていろ」という以上のものでは無い。

端的に述べれば「秩序維持」だ。おそらくは最高権力者の南郷さんがいて、その下に先輩後輩の階層が出来ているに違いない。特に武道団体ならば日本の封建社会の在り方を引き継いで階層的・階級的な人間関係が残っているであろうから、全く面識のない部外者が原稿の論述だけで最高権力者(鎌倉武士ならば棟梁だ)と肩を並べる、あるいは最高権力者の上を行こうとするが如きは許せなかったに違いない。

その点で、悠季真理は年刊誌の公共性には汚点を残したが、南郷学派という共同体の秩序維持には貢献した。

大体が「名人・達人とは線引きされた初心者の言葉」とは何だろう?通常は歴史的に吟味され抜いて洗練された専門用語を使うだろう。それが「巨人の肩に乗る」ということだし、そこをスタートラインにすることで更なる飛躍が後進に求められる。

悠季真理が上げている将棋や囲碁の例で考えても、羽生善治は小学校低学年の頃から過去の名人・達人の棋譜をパソコンで研究し抜いて現在の業績がある。

また、南郷学派の御大・南郷さん自身が、嘗て『試行』の何号だったか?、信じることの重要性を説き、分からなくても使っていれば次第に分かってくるといった事を説いていた。

小学校の授業にしても現在までの最高の「系統的な知見」を与えているだろう。それが、習っている当時は分からなくても、後々「あ~、そうか!」と<繋がってくる>。それが「初心者が初心者みずからの頭で考え出した思考」では無く、「学校教員、もっと大きくは文部科学省=日本国家が教え授ける知見」なのだ。

換言するならば、これは「最初から最高の形を学ぶ」といっても良いことだ。

初心者は初心者の言葉を、というよりも初心者だから先達の残した言葉からしか始められない。それを誰しもが理解できるように噛み砕いて与える能力があるならば、もはや初心者では無い。中級者~上級者だろう。

こうした悠季真理の姿勢は、福沢諭吉が『学問のすすめ』でフランス人権宣言から貰ってきた「天は人の上に人を作らず、人の下に人を作らず」との「学問の中にこそ<自由>があるのだ!」との考えを踏みにじり、学問の中に中世の封建社会の精神を甦らせるものだろう。

これを評して「アジア的」と言う・・・

だが、こんな強いことを言ってみても私は会員制で部外者お断りの会合を否定したりはしない。そうした団体は珍しくないし、無制限に受け入れてしまうと団体=共同体が<壊れてしまいかねない>から。

<自由権>も大事だが、それ以前に<自己保存権>は無視できない。

兎にも角にも存続しなければならないのだから・・・・

それだから悠季真理の説いたことは「敷居が高い」とも感じられるところだが、敷居が高いとは即ち不義理の問題で。新参者だとの自覚のもとに、他の執筆陣に迷惑が掛からぬか配慮して、共に年刊誌を盛り立てて行こうとの意気が感じられたなら、何も古田も悠季から苦言を呈されることも無かっただろう。

南郷学派からすれば新参者が唐突に南郷批判(主宰者批判)を繰り広げたならば、異物に対して免疫が働くが如く、自己保存の法則が働いたのも無理は無い。

古田も反省すべきところかも知れない。南郷学派批判は南郷学派の機関誌に投稿するのでは無く、全く別の共同体が主宰している機関誌に「南郷学派の維持・発展のため」で無く、日本国民・世界人類の認識の発展の為という大義に基づいて行動すべきだったろう。



ジャンル:
ウェブログ
コメント   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« 歴史を使う | トップ | 日本文化と「一」 »
最近の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

日記」カテゴリの最新記事

トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL
  • 30日以上前の記事に対するトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • 送信元の記事内容が半角英数のみのトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • このブログへのリンクがない記事からのトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • ※ブログ管理者のみ、編集画面で設定の変更が可能です。