哲学以前

日々の思索を綴ります

Realからの反映

2017-06-19 13:55:56 | 日記
このところスマホのカメラが写らなくなってしまい読んだ本の写真を掲載できなくて残念に思っている。

そんな些細なことでもブログを綴るモチベーションに大きく影響してくるのは自分でも意外であった。

自分でも「絵も写真もない活字だけ」のものは、特に不惑を過ぎたあたりから違和感を覚えるようになってきているが、仕方がない、写真なしで綴っていこう。

最近買った2冊の本にいくつか心の琴線に触れるものがあった。それは、私の中でまだ上手く整理されていないし、問題の位置づけも不確かではあるが、ジョン・ロックの「タブラ・ラーサ」や「認識」というあたりに関わるのかも知れない。

その一冊がジョン・ウォルシュの『名探偵ポオ氏~『マリー・ロジェの秘密』をめぐって』であり、もう一冊が金子明友の『わざの伝承』だ。

ウォルシュの『名探偵ポオ氏』は三浦の著述に熱狂していた10代後半から20代前半の頃に買って手元に置いておいたのだが、何歳の頃だったか、「もう自分には必要ない」と廃品回収に出した作品だった。

今回、ポオの「盗まれた手紙」を再読したのがキッカケとなって改めてリサイクル品を買ってみたが、いや、これは素晴らしい作品だ。手放してしまった我が意を疑った。

ウォルシュの本論もまた見事なのだが、トマス・オリヴ・マボットによる序文が素晴らしい。トマス・オリヴ・マボットといっても日本サイトでは殆ど出てこないけれど、英語のWikipediaでThomas Ollive Mabott を検索すれば出てくるように英語圏では著名なエドガー・アラン・ポーの研究者だ。そのマボットが書いている。

「デュパンの精神的祖先としては、ヴォルテールのザディグがあげられる。さらにそのザディグ自身も、おそらくそのモデルは『セレンディップの三人の王子』に求めてよいだろう。・・・しかしながら、推理小説というジャンルを創造したのは、明らかにポオであった。ポオ以後の推理小説で、直接ないしは間接に彼の影響を受けなかったものは一つもない。」
「ポオは鋭敏な感覚の所有者で、読者の興味を惹きそうな題材を発見するのが巧みだった。彼が“今では忘れられた風変わりな物語”の類を幾冊も読んだのも、短編作家である自分に役に立ちそうな材料を探すためであった。・・・・ポオの独創性は、自分が“選択ないしは創案”したと称するさまざまな挿話や趣向を、巧みに組み合わせることにあった。そして、偉大な英仏の劇作家たち(この場合、シェイクスピアとモリエールを指している)と同様、ポオの場合も、作品の材料をみずから“創案”するよりは、ほかから“選択”することのほうがはるかに多かったのである。」

私が最近関心を寄せている「文学史」においても歴史に残るような創造的な仕事をした人間は「巨人の肩に乗る」というか先人の業績の上に乗って、更には自分が生きた時代の反映をも取り込んで作品を作ったようだ。

この「現実からの反映」という「現実、Real(あるいは実在?)」を基盤に据えるという認知が、「物質」を基盤に据えるという思考と位相を異とすると思われる。「唯物論」と「実在論」との根本的視座の違いだ。

この『名探偵ポオ氏』の原著が出版された1968年(今から50年前)のマボットの序文に既に『セレンディップの三人の王子』の書名が出され、「外界からの反映の組み合わせ」が説かれていることが興味深い。

外山滋比古が『乱読のセレンディピティ』を書く何十年も前から、知的創造にはどうすれば良いかをハーバードの?文学研究者であるマボットは書いていたのだ。

私は前回の「セレンディピティーには乱読だよな」という記事を書いた後で外山滋比古に『乱読のセレンディピティ』という著書があるのを知った。

1度は読んでみようかと考えている。

ジョン・ロックに絡んだ?もう一冊というのは金子明友の『わざの伝承』だが、金子は「身体運動の伝承」という観点から、デカルト、ガリレオ、ロックなどの自然の客観的研究を採用しないとしているようなのだ。

それで、ガリレオやロックより、寧ろフッサールの現象学を採用するという姿勢だ。

人間の身体運動を自然科学的方法ではなく、現象学でというのは高岡師範も共通するところかも知れない。

少し検討したい。
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