
私の家から一番近い仕事先の
そのまたすぐ近くに小洒落たフランス菓子の店がある。
「La Vieille France」という名前だ。
店に入るとヨーロッパの片田舎、
もしくはおとぎの世界に迷い込んだかのような錯覚を覚える。
色とりどりの宝石のようなケーキが並び、
魔法の薬のようなジャムやコンフィチュイールがひしめき合っている。
この店の顔は「サントノーレ」らしい。
小さなシュークリームが上品に重ねられたケーキで、
もちろんこれは美味しいのだけれど……
この店で一番美味しいのは、実は焼き菓子だと思っている。
バターの風味豊かなガレットもいいし、
サックリ焼かれたパルミエもおすすめである。
そんな焼き菓子の中でもフロランタンは秀逸だ。
日本一おいしいフロランタンだとさえ思う。
キャラメリゼされたアマンドはカリカリと香ばしく、
その下のビスケット生地はザクザクとした歯ごたえで
食べ始めたらもうとまらなくなる。
フロランタンは2本入り。
ふと気づけば2本をあっという間に食べてしまい、
ついつい新しいパッケージを開けそうになってしまう。
ダメダメ、これは明日の分……
おあずけを食らった犬のような気分で哀しく頭を振る。
あと1本くらいいいじゃない……?
1本食べたらもう1本欲しくなるよ……
2本食べたら明日の分がなくなるし……
私をここまで悩ませるフロランタンは他にない。
これは間違いなく日本一のフロランタンである。
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