ギリシャ神話あれこれ:12の功業その11(続々)

 
 ピュグマイオイは背丈が35センチほどしかない小人族。エチオピアやスキタイ、インドなどの山中に、卵の殻と羽毛を混ぜ合わせた泥で小屋を作って住むという。彼らはコウノトリ(あるいは鶴)と非常に仲が悪い。
 その昔、ピュグマイオイがただの人間の娘を崇拝したため、嫉妬したヘラ神が、娘をコウノトリに変えて彼らを襲わせた(あるいは、ヘラ自身が姿を変えて襲った)。以来、一年の4分の1を、彼らはコウノトリと戦っているという。
 
 で、このときもまたピュグマイオイは、ヘラクレスをヘラと勘違いして襲撃してきたわけ。
 が、さすがにヘラクレスは屁とも思わずに、彼らを何人か捕まえて、毛皮に包み、エウリュステウス王への土産に持ち帰ったのだとか。

 さらにエジプトでは、暴君ブシリスをやっつける。

 この頃エジプトでは、9年間続いた凶作に悩んでいた。で、王が、ちょうどこの地に来ていたキプロスの予言者プラシオスに尋ねたところ、プラシオスは、異邦人を毎年ゼウス神の生贄に捧げれば凶作は免れる、と占う。
 馬鹿なことを言ったもんだ。王は早速、予言者プラシオスを殺してゼウスの祭壇に捧げ、以来、毎年異邦人を殺していた。
 で、ヘラクレスも、うかうかするうちに捕らえられ(……なぜ?)、祭壇に連れられたところを、手枷を断ち切って暴れまくり、王を殺して逃走した。
 ……ちなみにその後、生贄の習慣は廃止になったらしい。

 また、道中、事情はよく分からないが、彼は行く手を妨げようとした、曙の女神エオスの子であるアラビア王エマティオンを殺したという。

 画像は、ドーミエ「プロメテウスあるいはフランスと、ハゲワシ」。
  オノレ・ドーミエ(Honore Daumier, 1808-1879, French)

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