オランダ絵画によせて:元祖、夜の画家

 

 「夜の画家」との異名を持つヨンキントだけれど、実は、バロック期のオランダに、同じく「夜の画家」と呼ばれた画家がいたらしい。それが、アールト・ファン・デル・ネール(Aert van der Neer)。
 私は美術史の専門じゃないんで、よくは知らないが、ちらりと一言、解説のあったところによれば、このネールこそ、のちにオランダ生まれのヨンキントに影響を与えたのだとか。う~、このあたり、も少し説明が欲しいなー。

 ネールの絵はオランダ写実風景画に特有の、地平線を低く取る構図で、ホントにヨンキントを思わせる夕景や夜景を描いている。しかも、結構どれもイケてる。夕陽や月明かり、夜が明ける間際の曙光のなかに、ぽつりぽつりと灯る家々の窓明かりも共鳴させながら、そしてそれらの明かりを川や池の水面に反射させながら、オランダらしいのっぺりした風景を描く。
 も一つ、オランダの冬の風物詩、凍った運河でのスケート風景も描いているが、やはりそれも夕焼け空の下に描く。

 ネールの絵は秀逸なのに、あまり日本に来てくれない。私はまだ一度もホンモノに出会ったことがない。残念無念。
 おい、日本。風景画はモネ、と決めずに、もっとヨンキントを寄越せ。オランダ風景画はホイエンやライスダール、と決めずに、たまにはネールを寄越せ。

 画像は、ネール「月明かりの川」。
  アールト・ファン・デル・ネール(Aert van der Neer, ca.1603-1677, Dutch)
 他、左から、
  「風車のある風景」
  「黄昏の風景」
  「月光に照らされた入り江」
  「漁師のいる川景」
  「スケーターのいる冬景色」

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