ギリシャ神話あれこれ:心の愛(続々々)


 さて、自分の軽はずみな疑念を後悔したプシュケは、それ以来、エロスを探して、何日も何日も歩き続ける。神々が沈黙するなか、豊饒神デメテルがプシュケを憐んで助言する。
 エロスはプシュケのために、肩と心に深い傷を負い、母アフロディテの神殿で傷を癒している。アフロディテを訪ね、彼女に任えて、その怒りを解くがよい、と。

 そこでプシュケは、健気にもアフロディテ神に会いに行くのだけれど……
 
 プシュケがアフロディテの神殿にたどり着くと、果たして、アフロディテは大いに立腹していた。彼女はプシュケを散々罵倒したあげく、無茶苦茶な無理難題を突きつけてくる。
 
 まず、日没までに、神殿の倉庫にある、大麦や小麦、ヒエ、アワ、キビなどの入り混じった穀類の山を、それぞれごとに選り分けるよう命じる。
 うずたかく積まれた穀類の山を前に、プシュケは途方にくれる。と、どこからともなく無数の蟻が現われて、穀類を選り分け始め、日暮れまでにすっかり片付けてしまった。
 ……美人て得ね。

 思惑の外れたアフロディテは、次に、川向こうの羊たちから黄金の毛を刈ってくるよう命じる。
 が、川を渡ろうとするプシュケを、川の神が制止する。日中の羊たちは大変に凶暴なので、昼下がり、羊たちが眠ってから、抜け毛だけを集めるがいいだろう、と。
 で、プシュケは助言に従い、無事、羊毛を持ち帰ることができた。

 To be continued...

 画像は、E.M.ヘイル「ヴィーナスの玉座の前のプシュケ」。
  エドワード・マシュー・ヘイル(Edward Matthew Hale, 1852-1924, British)

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