ギリシャ神話あれこれ:ヘクトルとアンドロマケ

  
 激戦の最中、トロイアでは占術に長けた王子ヘレノスが、兄ヘクトルに進言する。どうか全軍を奮起させるように、また、女たちに命じて戦争の守護神アテナに祈願するように、と。

 ヘクトルはヘレノスの進言に従い、トロイア軍を鼓舞して廻ると、一旦戦場から退き、城内へと戻ってくる。
 館で行き合わせた母ヘカベに、アテナ神に戦勝を祈願するよう指示。ヘカベは早速、老女たちを連れて、アテナ神殿にて祈りを捧げる。
 が、アテナはギリシアに味方しているので、そっぽを向いたままだった。……そんなことは無駄だと、考えれば分かりそうなことなのに。

 さらにヘクトルは、先のメネラオスとの一騎打ちの後、どろんと姿をくらました弟パリスを探しに行く。と、パリスはヘレネの部屋で悠々、武具を磨いているところだった。
 さすがのヘクトルも、これには激しく叱責する。こんなところで何やってるんだ、大災いの馬鹿弟め! 誰のせいで起きた戦争で、皆が死んでいると思ってるんだ!

 するとパリスは、悪びれもなく詫びるのだった。兄さんの言うことはいちいち尤もだ、先に行っててよ、すぐに準備して後から追いかけるからさ。

 ヘクトルはすぐに立ち去り、再び戦場へと戻る。途中、スカイア城門近くで、幼な子アステュアナクスを連れた妻アンドロマケが、彼を見つけて走り寄って来た。

 To be continued...

 画像は、カウフマン「パリスを戦闘へと呼び戻すヘクトル」。
  アンゲリカ・カウフマン(Angelica Kauffmann, 1741-1807, Swiss)

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