聖書あれこれ:ダニエルの幻視(続々々)

 
 ペルシャ王クロスの治世第三年、ダニエルはさらに、大いなる戦いについての幻を見る。

 ダニエルはチグリス川岸で、亜麻布の衣を着、腰に金の帯を締めた、一人の人を見る。身体は緑柱石のよう、顔は稲妻のよう、眼は燃える松明のよう、腕と足は磨き上げた青銅のよう、声は群集の声のようだった。
 このとき、他にも人々が連れ立っていたが、この幻を見たのはダニエルのみだった。

 ペルシャに三人の王が立ち、続く第四の王は富強をきわめ、ギリシャ王国を攻撃する。ギリシャの一人の勇ましい王(アレクサンドロス)が立ち、大いなる権力をもって支配するが、その王国は子孫以外が受け継ぐ。

 南(エジプト)の王と北(シリア)の王との抗争、云々。北の王に代わり、卑しむべき者(アンティオコス・エピファネス)が、奸計をもって北の王となり、権力を増す。
 王の軍勢はエルサレムの神殿と城郭を汚し、常供の燔祭を退け、偶像を据える。王は契約を破る人々をそそのかして神に背かせる。多くの人々が王に与し、迫害された人々は倒れる。終わりはなお定めの時まで来ないからだ。

 王はいよいよ神をも越えて驕り高ぶり、異邦の神を崇め、他国に攻め入る。だが、終わりの時になって、南の王が彼と戦う。北の王は大軍をもって南の王を、さらに麗しの地(エルサレム)をも、侵略、略奪し、多くの人々が殺される。
 王は新たな戦争のために、エルサレムに宿営する。だが、終わりの時が来る。天使ミカエルが立ち上がり、真理の書に名を記されたユダヤの民は救われる。死者は甦り、知恵ある者は輝き、義に導くものは星のように永遠となる。

 ダニエルよ、お前は終わりの時までこの言葉を秘し、この書を封じておけ。多くの者は探り調べ、知識が増すだろう。終わりの時は、神殿が汚されてから1290日が定められている。忍んで待ち、1335日に到る者は幸いである。

 ……と。

 画像は、ドレ「四つの獣についてのダニエルの幻視」。
  ギュスターヴ・ドレ(Gustave Doré, 1832-1888, French)

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