ギリシャ神話あれこれ:アトレウス兄弟の復讐合戦(続々々々)

 
 一方、アトレウスの過剰な報復を嫌忌した神々によって、ミュケナイは深刻な飢饉に襲われる。アトレウスが神託を求めたところ、神託は、テュエステスの追放を解くよう告げる。
 そこでアトレウスは、弟テュエステスを探して訪ね歩く。この旅すがら、アトレウスはシキュオンの王宮で、ペロピアを見初めてしまう。

 テスプロトス王がペロピアを自分の娘だと偽ったため、アトレウスは彼女を妻として貰い受ける。が、実際のところは、ペロピアはアトレウスの姪に当たり、しかもこのとき、父テュエステスの子を身籠っていたのだった。
  
 見知らぬ男に犯されてできた赤ん坊の存在を、どうやって臨月まで夫アトレウスに隠したのかは分からない。まもなくペロピアは運命の赤ん坊を、人知れず出産する。産み落とされた赤ん坊はこっそりと捨てられたが、牧夫に拾われ、アイギストスと命名されて育てられた。
 だが、やがてアイギストスの存在は、アトレウスの知るところとなる。妻の子は即ち自分の子。彼はアイギストスを引き取り、我が子として養育する。

 やがてアイギストスが成人したとき……

 かねてより捜索されていたテュエステスが捕らえられ、ミュケナイへと引っ立てられて、牢に繋がれる。神託どおりに弟を連れ戻してみると、昔日の怨念が再燃したのか、あるいは王位を脅かす仇敵として怖れたか、アトレウスは弟を刺殺するよう、ひそかにアイギストスに命じる。
 アイギストスに手渡された剣。それは母ペロピアが、その昔、自分を犯した見知らぬ男から盗み取っておいた剣だった。

 To be continued...

 画像は、J.コリア「デルポイの巫女」。
  ジョン・コリア(John Collier, 1850-1934, British)

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