ギリシャ神話あれこれ:オデュッセウス帰還-キュクロプスの国(続)

 
 絞った山羊の乳を飲んで満腹すると、ポリュペモスは横になり、大鼾をかいて寝てしまった。オデュッセウスは寝首を掻こうかと考えたが、巨人が死んでは洞窟を塞ぐ巨岩を除くことができない。

 翌朝、眼を醒ましたポリュペモスは、2人の部下をつまんで殺し、朝食に食らうと、岩戸を外して羊たちを駆り出し、再び塞いでオデュッセウスらを閉じ込めてから、口笛を吹き吹き放牧へと出かけていく。
 万事休す、このままでは全滅は必定。オデュッセウスは得意の知恵で一計を案じる。

 夕方、帰宅したポリュペモスが、さらに2人の部下を殺して食らったところに、オデュッセウスが葡萄酒の皮袋を勧める。
 美味い! こんな美味いものは初めてだ! すっかり機嫌を好くしたポリュペモスが、お前を気に入った、最後に食ってやろう、何て名前だ? と尋ねると、オデュッセウスは、私の名前は“ウティス(誰でもない、の意味)”だ、と答える。

 さて、飲み慣れない葡萄酒をたらふく飲んだポリュペモスは、やがて酔い潰れて眠り込んでしまう。
 オデュッセウスはそれを見計らい、昼間に用意しておいた、先を削って尖らせたオリーブの大木を火に突っ込む。真っ赤に焼けたところを、4人がかりで担ぎ上げ、眠っているポリュペモスの一つの眼にぐさりと突き立てた。

 To be continued...

 画像は、ヨルダーンス「ポリュペモスの洞窟のオデュッセウス」。
  ヤーコブ・ヨルダーンス(Jacob Jordaens, 1593-1678, Flemish)

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Bear's Paw -ギリシャ神話あれこれ-
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