雪害の記録 2006 Apocalypse

君死にたもうことなかれ

(広島)安芸灘大橋事故 凍結への不備露呈

2005年12月21日 | 道路・航空・鉄道・海上事故
呉市川尻町と対岸の下蒲刈島(同市下蒲刈町)を結ぶ有料の安芸灘大橋(全長約一・二キロ)上で五日早朝、軽トラックの同市内の船員男性(52)が凍結によるスリップが原因とみられる事故で死亡し、二〇〇〇年の開通後初の犠牲者となった。橋には凍結防止剤がまかれておらず、設置してある電光掲示板にも「凍結注意」の表示はなかった。同橋の、冬場の安全対策に問題点があることが浮かび上がった。(新山創)

 本土側に向かっていた男性は橋の中央付近で中央線を越えて対向のワゴン車と衝突し、死亡した。広署によると、事故発生は午前六時五十分ごろ。当時、片側一車線の橋は凍結し、氷の上に二本のタイヤの跡が五メートル以上残っていたという。

 業者待機なし

 橋を管理する広島県道路公社によると、十二~三月の間は、日本気象協会から同橋の気象予測を毎夕一回、ファクスで受ける。「凍結の恐れあり」と記載があれば、委託業者が夜十時から翌朝七時まで一時間ごとに車で見回る。事故前日は「凍結の恐れなし」で、業者は待機していなかった。

 予測は外れ、未明には雪が降り、路面は凍結した。同協会は深夜でも予測が大きく変われば変更を出すが、当日は判断しにくかったらしい。担当者は「季節風が予想より西側から吹き、呉方面にも雪雲が流れ込んだ」と説明する。結局、夜間現地にいたのは料金所の収受員二人だけで、凍結防止剤はまかれなかった。

 「横風」を優先

 同橋には凍結を機械が自動で感知し、両方の出入り口手前の計五カ所に電光掲示板で注意を促すシステムも整備してある。(1)橋中央付近で気温二度以下(2)路面温度一度以下(3)路面が湿っている―の条件がそろえば「凍結通行注意」の文字を自動表示する。

 観測資料では事故の約三時間前にすべての条件を満たしていたが、表示は出なかった。同公社によると、掲示板の自動表示は横風、凍結、大雨、濃霧の順で優先事項が設定されていて表示できるのは一つだけ。事故当時は既に「横風通行注意」が自動で点灯しており、凍結注意は条件を満たしても自動で切り替わらない仕組みになっていた。

 同公社は「夜間の巡回はしておらず、凍結に気付くのはなかなか難しい」と説明するが、料金所の収受員による報告資料では事故前の午前三―五時の時点で降雪と凍結が確認されていた。

 内部マニュアルでは橋が凍結した際、管理事務所長に連絡するよう定めているが、事故まで連絡はなかった。連絡体制の甘さは否めない。

 基準見直し中

 安全対策について、同公社の長岡博行用地管理課長(55)は「十分だったとは言えない」とし、すぐにメーカーに改善を依頼。年内には掲示板が二種類の注意事項を交互表示できるようにする。深夜の体制は「現場からの連絡を徹底させるため、報告の細かい基準を検討中」と話している。

 死亡した男性の妻は「今回のような事故が二度と起きてほしくない」と多くを語らないが、事故後、地元住民からは「有料の橋に見合う安全を提供してほしい」との声も上がっている。本格的な冬を迎え、予測や自動システムだけに頼らない、凍結に即応できるシステムづくりを求めたい。

中国新聞
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