全国地域医業研究会のブログ

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市民後見人サポター養成講座について

2013-02-06 15:52:32 | Weblog
市民後見人制度に対する会計人等サポートセンター」設立の趣意
全国地域医業研究会 顧問 會田幸之
特定非営利活動法人地域ライフプラン研究会 理事長 大塚雅明

1、成年後見人制度の現状
2000年4月から介護保険制度と同時に施行された新たな成年後見制度は,昨年4月で10年を迎えた。この制度の利用は,毎年増加傾向にあり,2009年の1年間に選任がなされた成年後見関係事件数は,約2万5000件に達し,現在,成年後見制度を利用している人々の累計は推定で12万人と言われている。
他方,認知症高齢者数は約200万人,知的障害者・精神障害者を加えると,判断能力の不十分な人は,約500万人ともいわれており,現在の成年後見制度の利用数に照らしてみれば,利用が必要な人々の多数がこの制度利用に至っていないものと思われる。
その原因のひとつに,親族以外の専門職などの第三者後見人候補者が不足していることにあると言われている。現在、後見人候補者の受け皿作りとして,市民後見人の養成が自治体の他,大学・NPO等さまざまな形で全国において始まりつつある。更に、2012年の介護報酬改定に際し、「地域包括支援センター」の機能を強化して地域包括支援センター内に、「市民後見人センター」を設置し市民後見人の養成・活用に乗り出すことが打ち出されている。

2、市民後見人の質
市民後見人には,権利擁護に対する深い理解・高い倫理観・社会的信頼の獲得が求められ,市民後見人の養成には,内容が担保された必要かつ十分な研修が義務づけられるべきである。
市民後見人においても,権限や責任は他の第三者後見人と同様で,弁護士や社会福祉士等の専門職が行う第三者後見業務に比して権限や責任が異なるものではないことは明らかである。従って,市民後見人においても,「自己決定の尊重」・残存能力の活用・ノーマライゼーション等の制度の基本理念を正確に理解した上で,身上配慮義務・本人の意思尊重義務など民法上の職務遂行指針に基づき,具体的な職務を行うことができるようにならなければならない。また,財産管理・身上監護方法の決定を行う際には,職務の公正さ・高い倫理観が必要とされ,社会的信頼を得る必要がある。そこで,市民後見人に対しては,第三者後見人として業務遂行するために必要かつ十分な内容を有した研修が実施され、また、この研修を受講した市民から、市民後見人が選任されることが必要である。

3、市民後見人制度に対する専門的知識と専門職の支援
高齢者・障害者の抱えている問題は,法律・福祉・医療などのさまざまな領域に密接に関連している場合が多く,これらの問題解決のためには,法律・福祉・医療などの連携が不可欠である。 そのため、市民後見人が的確な後見活動を行っていくには,養成段階での研修やその後の継続研修、活動に関する相談においてはもちろんのこと、市民後見人にとって適切な事案を受任できるようにするための事案の見極めや、当該事案についての適切な候補者の推薦といった選任段階における調整の場面においても、法律職・福祉職・保健医療職などが関与し、協働して相談・支援等を行うことが必要である。
よって、市町村において市民後見の組織的支援の中核となる拠点(センター)を運営するにあたっては、上記のような専門職と連携することにより、市民後見の活動に対する専門的な養成・支援機能を充実させることが求められる。
そのことは、ひいては、高齢者・障害者の有する権利を実質的に保障することにつながるものであり、その意味において、上記のように専門職との連携・協働を図って市民後見人の養成・支援体制を充実させることは,憲法25条・地方自治法1条の2の規定に基づく国及び地方公共団体の本来の責務であると言うこともできる。
また、成年後見制度に関しては、これまで、いわゆる第三者後見人として主に弁護士、司法書士、社会福祉士の各専門職が選任されて活動してきており、それらの専門職や職能団体において、成年後見制度の実務に関する一定の蓄積がなされてきていることを踏まえれば、市民後見の実施機関として中核となる拠点(センター)の制度整備や運営上の検証においても、上記の専門職が関与していくことが求められているというべきであり、国及び地方公共団体は、それら専門職と意見交換を行うなどして、連携を図りながら体制自体が十分に機能するようにすべきである。

4、全国地域医業研究会「市民後見人制度に対する会計人等サポートセンター」
本会は主に会計事務所会員及び医療・介護事業に関連する企業会員で構成されており、その専門的知識の修得、現場における実践、永年の研究は「各専門職」として十分に、市民後見制度を支援できる環境にあり、特に複雑で高度な事案については、本来業務に直結した情報ソースとなり、積極的なサポートは、かつて経済社会で活躍したこれからの高齢者の「自助」を総合的にサポートすることが期待される。2025年に向けての必要不可欠な活動となろう。

5、サポートセンター設立準備
当面、本会が設立サポートしたNPO「地域ライフプラン研究会」を主体に、サポートをするために必要な広い知識及び実務レベルの修得を目的とした「市民後見人サポーター養成講座」を東京で開講し、NPO内に「市民後見人制度に対する会計人等サポートセンター」を組織し、各市町村に存在を提示し支援活動を展開する。その後、順次、各地域のNPO設立会計事務所を中心にサポーター養成講座を開講し「市民後見人制度に対する会計人等サポートセンター」を設立する。


(参考)NPO「地域ライフプラン研究会」の目的
本会は我が国が超高齢社会を迎えるにあたって、高齢者(将来の高齢者を含めて)が出来るだけ自立することを貫く人生を過すために快適な老後の生活設計計画(シニアライフプラン)の重要性を研究し生活設計に必要な情報を提供して具体的に自己実現を支援する人的ネットワークを構築するために活動すること。特に医療・教育に従事する個人及び団体との連携作りを通して、高齢者(将来の高齢者含む)が暮らしやすい生活環境の整備に寄与することを目的とする。




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