地域主導型科学者コミュニティの創生

 『地域主導型科学者コミュニティの創生』(代表:長野大学 教授 佐藤哲)Web Forum

(株)四季工房 訪問

2010-01-29 19:00:28 | Weblog
11月2日(年が変わってしまいましたが・・・2009年です)、福島県郡山市の工務店「四季工房」さんの「ゆいの郷」を訪問しました。地域環境学ネットワークにも参加してくださっています。
地域環境学ネットワークウェブサイトでの(株)四季工房の活動紹介は→こちら

私は参加できませんでしたが、1日にはゆいの郷にて「日本の木の祭り&感謝祭」を開催。四季工房の家を建てたOBの方を中心に多くの来場者が集まり、木工教室や大工さんによる実演販売などなど、盛況なお祭りだったようです。
2日は四季工房の製材場である塙天然乾燥センターやモデルハウスを見学。環境マネジメント室長の二村さんがとても丁寧に説明をしてくださいました。

野外で1年ほど乾燥中。広い乾燥用地が必要です。


天然乾燥された木材。ねじれが出るのでこの後修正挽きをします。


修正挽きも終わり出荷を待つ木材。

四季工房では、たくさんのこだわりを持って家作りをされています。地域産の木を使うこと、適期伐採、葉枯らし乾燥、植林、天然乾燥、集成材ではなく無垢材を使うこと、大工さんによる手刻み加工、若手大工さんの育成、日本的な広がり間取り、暮らし方まで。詳しく紹介するとすごいことになってしまうので、興味をもたれた方は、ぜひ四季工房の「環境社会報告書2009」を入手してください!


モデルルーム(賃貸用)の中。

家づくりのあらゆる局面で、暮らす人の健康と快適、木材の良さを活かすこと、そして環境の持続可能性を基準に「よいもの」をつくることへのこだわりをひしひしと感じました。詳しくは、ぜひ上記活動紹介記事をご覧下さい。

(清水万由子)
コメント (0) |  トラックバック (0) | 

第5回矢作川森の健康診断 報告会

2009-11-12 15:47:10 | Weblog
11月1日(日)、愛知県豊田市で開かれた「第5回矢作川森の健康診断報告会」に参加してきました。
6月に行なった森の健康診断の参加者が一同に会し、参加者が感想を発表したほか、診断内容を分析した結果報告も行なわれました。会場は熱気があり、みなさん熱心に報告を聞いている様子。



まだ森の健康診断には参加したことがないこともあり、この取り組みのキモがつかみきれていない感じがしているのですが、今回の報告会で感じたことの1つは、その運動的な側面でしょうか。
運動といってもイメージは様々でしょうから適切な表現かどうかわかりませんが、広く社会全体の価値観や態度を変えていこうとする、しかもいわゆる政治的決定を通してではなく、人々を自発的に活動に巻き込むことで、そうした変化をもたらそうとするということを強く意識しているという意味で、社会運動的なものではないかと思います。
森の健康診断は、人工林問題の「治療」、つまり直接的な解決行動を目指しているのではなくて、あくまでも「健康診断」であり、彼らが言うように「科学的森林調査」です。そして「気づきと学び」と強調するように、参加者一人ひとりが、森の健康診断というツールを使って森林の現状や地域の状況について知り、考え、さらには自分なりの森との関わりへと「一歩踏み出す」ことを応援するというスタンスに徹している。
また、助成金や補助金ではなく1人1000円の「千人基金」で賄いたい、しかも大口の寄付金よりも多くの人の浄財でというのは、森林とのつながりを広く創り出したいということなのでしょう。
ここには、森林所有者という明確な境界と私権的で具体的な利害を持ったステークホルダーだけでなく、公益的機能を持つ森林をめぐる新しいステークホルダーを創り出す、ステークホルダーの再定義ということもあるように思います。人々と森林の関わりの創出、あるいは再構築と言ってもいいかもしれません。

ここに一役買って出ている「科学」が、どんな姿をしているのか・・・?まだモヤモヤ〜しています。

懇親会までおじゃまして、すっかり仲良くなってしまった矢作川水系森林ボランティア協議会(矢森協)のみなさんの、遠慮なく(!!)あふれ出るパワーが「科学」を変えているような気がしてならないのですが・・・何なのでしょう、あの勢いは。

(清水万由子)
コメント (0) |  トラックバック (0) | 

JST-RISTEX 「科学技術と人間」第3回領域全体会議in高松

2009-10-23 11:28:18 | Weblog
前日の里海シンポに引き続き、10月10日(土)〜11日(日)、高松で領域全体会議に参加してきました。

1日目は、ここでも柳先生の里海創生プロジェクトの紹介と、他のプロジェクトのメンバーとのディスカッションがありました。
里海のもっとも重要な点は、「人手を加える」ということです。柳先生は、里海を「人手を加えることで生物生産性と生物多様性が高まった海」と定義されていますが、問題は人手のかけ方、ですね。

「よい(仮に、生物生産性と生物多様性が高まると考えておきます)人手のかけ方」は、実はよくわかっていない。
埋め立てなど明らかに「よくない」人手のかけ方はいくつかわかっていたとしても、人手をかけた結果どうなるかは、わからないことの方が多いはずです。にもかかわらず、手をかけるかかけないか、どう手をかけるか、決めなくてはいけない。
柳先生の回答は、人手のかけ方はローカルな合意で決める、ということでしたが、即座に「ローカルな合意には意思決定主体としての明確な境界があるのか」という反論が出ました。
漁業権を持つ人たちによる合意というのは1つの明確な境界を持っていますが、沖縄の海のように共同利用される海もあれば、漁業者が漁業権を開放している海も(まれに)あるというように、必ずしも固定的ではありません。
そこは、常にダイナミズムがあって、「ローカル」の境界も、合意の内容も、見直されつづけていく、としか言いようがないのかもしれません。答えになってない?

2日目、会場の高松テルサ前にある、新川・春日川河口干潟で、香川大学農学部の研究室の生物量モニタリングの様子を見学しました。


17年以上継続して同じ地点でモニタリングしているそうです。継続的なモニタリングはレジデント型研究機関の大事な機能の1つですね。
それにしても、高松市街から車で10分ほどのところにこんな干潟があるなんて、驚きでした。最近になってアサリが獲れるという情報がネットで出回り、シーズンには数百人が押し寄せたそうです。
干潮時は、こんな感じ↓河口の対岸は工場地帯です。


潮が満ちているとき↓春日川東にある屋島(源平合戦の地)頂上から。


干潟から戻って、わが「地域主導型科学者コミュニティの創生」プロジェクトから、佐藤先生による白保の事例紹介と、「森林資源のエネルギー化技術による地方の自立・持続可能な地域経営システムの構築」プロジェクトから、高知工科大学の永野先生から木質ペレット製造を地域経済にのせて事業化しました!という報告。
佐藤先生の30分に凝縮されたプレゼンテーション(マシンガン)。


干潟見学や前日の内容も含めたディスカッションで、もっとも感じたのは、科学像の多様さでした。
里海研究に対して、「人手をかけた自然を研究するのは、科学なのか?」という質問がありまして、私なぞは一瞬質問の意味がわかりませんでした。
科学とは真理というか自然の摂理を明らむるものであり、人為が加わったものを調べても真理は導けない、ということでしょうか。
私はこのところ、科学は道具だという認識が強くなっているのか、そういえばそんな考え方もあったかもな〜と思ったものでした。
佐藤先生は、レジデント型研究機関・研究者を「町医者」と表現していましたが、科学者=医者という考え方は、必ずしもメインストリームではないようです。

それから、レジデント型研究者が、科学的知識を「使う」局面にどう関わるかということは、普通の研究者がレジデント型になっていく時の一つの関門ですね。
知識を使うのは、もちろん地域社会なんだけれど、論文をぽいっと渡されても困るわけで。
オプションを提示するまでのプロセスで、地域社会のことをよく理解すること、joint fact finding的な作業、その中での特定の関心・価値の相対化、なんかが、科学者とステークホルダーの相互作用として必要なのかなぁと。

その他いろいろと考えるベキことの多い、充実した3日間でした。

(清水万由子)
コメント (0) |  トラックバック (0) | 

シンポジウム「日本における里海概念の共有と深化」

2009-10-22 21:14:58 | Weblog
10月9日(金)、九州大学の応用力学研究所にて開かれた、「里海とは何か?」「里海をどう創るか?」を考えるシンポジウムに参加してきました。

「地域主導型科学者コミュニティの創生」と同期生(?)のJST-RISTEX研究開発プロジェクトである「海域環境再生(里海創生)社会システムの構築」の一環です。里海とは?の問いは、ご本家のプロジェクトにお任せし、ここでは”人”または”社会”についての感想を少し書きたいと思います。

シンポジウムは、われわれのメンバーである沖縄県の鹿熊さんと、九州大学の柳哲雄先生が中心になってオーガナイズされていたのですが・・・
鹿熊さんから沖縄的なる里海イノー、上村さんから白保の地域づくりの報告から始まって、すごい(としか言いようがない)報告が続きました。

高知県柏島の「黒潮実感センター」の神田さんは、柏島をフィールドにする魚類生態学の研究者でありながら、柏島の海にほれ込んでダイビングガイドとして単身移住。10年が経った今、海からの恵を享けとるだけでなく、人間も海を耕そう!と、アオリイカが卵を産み付けられるように人工林の間伐体験で出たヒノキの枝で人工産卵床をつくってしまったという方。その他いろいろ、海と山と子供と大人をつなげている方でした。熱くてパワフル。
地域の未来を地域の中で真剣に考えていて、だからこそ衝突や困難もあるけれど、飲んで、話して、成果をあげて、少しずつ仲間を増やしていくんだという意志。なのでしょうか。

福井県雄島漁協の松田さんは、サーファーだったはずがいつの間にか漁師となり、漁師のおじいちゃんや海女のおばあちゃんと子供たちの”エコスクール”を仕掛けている方。松田さんはサーフショップ+マリンスクール+漁師、奥様は海女。松田さんの中で、いろいろな海へのかかわり方が入り混じって、新しいかかわり方を生み出している、そんな感じです。プロデュースのセンス、ビジネスマインドも豊かでいらっしゃる。

衝撃的、という意味では青森県尻屋地区の報告が私にとっては一番強い印象でした。下北半島の東北端、漁家38戸の漁村ですが、600年前からアワビを絶やさずとり続け、コンブの採取禁止や藻場の再生とモニタリングなどなど、集落で順応的な資源管理をきっちりやっているんだそうです。若い漁業者の研究会で外部の専門家を招いたりして研究に励んでいるとのこと。漁業収入はかなり高く、長男しか継げない決まりだそうですが、後継者問題もないそうです。グローバル化した現代社会で、閉鎖的とさえ見えるような自立したコミュニティがあり、経済的にも成り立つというのは、衝撃的なのでした。

神田さんや松田さんの話は特異な才能の持ち主で1人でやっているように聞こえてしまうけれど、きっと地域には密なネットワークがあるのだと思います。
私自身、海とのかかわりがほとんどない都市住民として生活していますが、海はまさに「もう一つの世界」だなぁ〜と感じたしだいです。

(清水万由子)
コメント (0) |  トラックバック (0) | 

佐久鯉の巣立ち

2009-09-20 17:12:18 | Weblog
長野県佐久市の桜井地区は、「佐久鯉」発祥の地。
「佐久の鯉人倶楽部」の皆さんが休耕田で育てた鯉をとりあげて、養殖業者へと引き渡す作業に、学生さんと一緒に参加してきました。
佐久では、江戸時代から水田で鯉を養殖していたそうですが、今では乾田化などで行われなくなっていました。
鯉人倶楽部には、かつて稲田養鯉を行っていた農家の方や、今も無農薬の田んぼづくりで稲田養鯉をされている方などなど、佐久鯉を復活させたい!という思いを持った方が参加されています。

引き網を使って一網打尽にして取り上げた後、取り残しの鯉を手ですくうという作業を、2日に分けて行いました。
網を張って、徐々に鯉を追い込む作戦。網の使い方がけっこう難しい。



5月に、1歳の鯉を越冬池から取り上げて放流する時にも、学生さんと一緒に参加しました。



半年もたたないうちに、こんなに丸々と育ちました。
お腹の辺りがピンクがかっていて、きれいですね。



鯉人倶楽部のみなさんが、毎日交代で餌やりをしてきた賜物です。
傷をつけないようにそっと、すばやく網ですくって、重さをはかり、いけすに入れていきます。
鯉を取り上げる時のみなさんは真剣そのもの。
そしてすばらしい連係プレーです。
鯉をうまく追い込むように、網を引くスピードをあわせなければいけません。
鯉人倶楽部の皆さんは研究熱心で、ああでもないこうでもないと言い合いながら、一番いいやり方を探しているようです。
農作業は共同作業なんだなぁ、と実感します。
わたしは「ねえちゃん、頭使えや」とおこられてばかり・・・

鯉はとても栄養価の高い食べ物で、海のない長野県では貴重な動物性たんぱくでした。
佐久ではお祝い事があると鯉を食べていたそうです。
鯉こく用に大ぶりのお椀も各家庭に常備されていたとか。
昨日、初めて佐久鯉の鯉こくをいただきましたが、臭みもなく、とてもジューシーでおいしかったです。

鯉と一緒に、フナもたくさん飼われています。
作業に参加されたみなさん、実はおみやげにもらうフナをとても楽しみにしているのか?フナをどうやって食べようかという話で持ちきりでした。



私も一袋(2kg)配分していただき、甘露煮の作り方まで教わったのですが・・・
ほとんどが帰る途中で衰弱し息絶えてしまったので、生き残ったツワモノの一部を自宅の水槽で飼うことにしました。

(清水万由子)

コメント (0) |  トラックバック (0) | 

第2回フィールド研究会を石垣島にて開催しました!

2009-09-09 19:51:27 | Weblog
久々のブログ更新となってしまいました... スミマセン。
上勝での第1回フィールド研究会(7月10〜12日)に続き、第2回フィールド研究会を9月5〜8日に開催しました。
上勝でも石垣でも、多彩なゲストをお招きしての研究会、フィールド見学、地元の方との交流などなど、とても刺激的なフィールド研究会でした。 石垣の太陽の力でしょうか、まだ体中が干からびているので、頭の整理は追々ということで...

      
白保魚湧く海保全協議会との          川平湾の眺め(保護水面)
意見交換      

個人的には、レジデント型研究者・研究機関になっていくプロセスが少し見えてきたような気がしました。
上勝でお話いただいた、地域の博物館から芸北高原の自然館の白川さん、「森の学校」キョロロの永野さん、多賀町立博物館の金尾さん、コンサルタントとして地域に入り込んで動かす澤田さんと小串さん、訪問型研究者としての鎌田先生。そして林業家や地主としての地元のかたがた。
それぞれのネットワーク作りの妙技や知識生産・集積スタイルの斬新さなどはなかなかに衝撃的でした。
そして石垣でのWWFJサンゴ礁保護研究センターの上村さん、佐川さん、鎌田先生をして「レジデント型研究者の究極の姿を見た・・・」と言わしめた阿嘉島臨海研究所(AMSL)の谷口さん。

みなさん、何らかの意味でレジデント型研究者として活躍されていると思います。
ただ、ごく大まかに言って、レジデント型研究機関の機能を地域社会でのネットワークづくり、知識(科学知、在来知)の生産と集積、それらの知識を活用するプログラムの企画実施、の3つとするなら、WWFやAMSLでのお話は、それぞれに入口は違っていても、3つの機能がつながって、循環しているような印象でした。 ちょっと、「よろず屋」的な面もあるのかもしれません。

これから考えるべき点も多く見えてきたような気がします。
 研究者個人の変容と、研究機関の変容はさしあたり分けて考えたほうがよさそうだな、とも思います。
地域社会の単位の規模や流動性なんかも気になるところです。
科学って何か、という点も外せない論点です。
レジデント型研究機関はこうじゃなきゃだめ!という理念形を定義することを目指すわけではないのでしょうから、この研究グループの立ち位置もはっきりさせたほうがよさそうです。

プログラムをご紹介します。
 ■第2回フィールド研究会 プログラム■

9月5日
研究会(1)水産資源管理と自然再生
・ 石垣フィールド研究会のねらい・ロジスティックス(佐藤哲)
・ サンゴ礁保全・再生への取組(サンゴ移植を中心に)(鹿熊信一郎) ・ 八重山サンゴ礁海域の水産資源の現状と管理の取り組み(太田格・沖縄県水産海洋研究センター)

9月6日
白保サンゴ礁スノーケリング観察
WWF サンゴ礁保護研究センター・白保日曜市見学
カヌー・エコツーリズム視察(有限会社石垣島観光・吹通川)
白保魚湧く海保全協議会との交流(WWF サンゴ礁保護研究センター・話題提供者・上村+魚湧く海保全協議会メンバー) 白保郷土料理試食と地域のステークホルダーとの交流

9月7日 ・新石垣空港建設地視察
研究会(2)レジデント型研究機関(WWF サンゴ礁保護研究センター) ・ レジティマシー(正当性)概念とレジデント型研究機関(牧野厚史)
・レジデント型研究機関おける在来知の収集と地域における活用・・・白保今昔展・郷土料理研究会・海垣の再生(上村真仁)
・知識ユーザーとしての地域社会を意識したサンゴ礁研究(佐川鉄平・WWF サンゴ礁保護研究センター)
・ レジデント型研究機関による地域環境情報の集積と発信・・・キョロロと長野大学の取組(三上光一・長野大学)
・ 地域内ネットワークのハブとしてのレジデント型研究機関・研究者(清水万由子)

9月8日 研究会(3)エコツーリズム(WWF サンゴ礁保護研究センター)
・ セッションの狙いと講演者の紹介(家中茂)
・ 慶良間諸島の海洋保護区管理とサンゴ礁研究・・・AMSL における基礎研究とモニタリング(谷口洋基・AMSL 阿嘉島臨海研究所)
・ 慶良間諸島サンゴ礁の保全と活用・・・エコツーリズム推進法の役割(垣花薫)
・エコツーリズムに見る社会関係の中の自然資源利用と知識の流通(家中茂)

最後になりましたが、4日間の盛りだくさんで有意義な研究会を、準備から当日まで支えてくださった皆さん、本当にありがとうございました。

(清水万由子)
コメント (0) |  トラックバック (0) | 

「自然エネルギーと社会的合意シンポジウム」に参加しました

2009-05-20 13:24:48 | Weblog

日時:5月16日(土)13:00〜16:00
会場:国立オリンピック記念青少年総合センター
主催:環境エネルギー政策研究所(ISEP)
パネリスト(敬称略):飯田哲也(ISEP)、丸山康司(東京大学)、古南幸弘(日本野鳥の会)、谷口信雄(東京都環境局)、鈴木亨(北海道グリーンファンド)、橋川小幸里(エコパワー株式会社)、白木彩子(東京農業大学)、島田泰夫(気象協会)

「再生可能エネルギーを増やすために風車を増やさなければ」vs.「風車に鳥がぶつかって死ぬのはけしからん」という対立図式を解きほぐして、鳥類保全と風力発電のwin-winを目指す「コンセンサス」をつくろう、という趣旨。
主催は再生可能エネルギーを推進するシンクタンクNPOです。http://isep.or.jp/isep.html
研究会での議論をベースにした「風鳥コンセンサス文書」草案が提示され、パネリストの意見交換という流れです。

鳥を守りたい人だって、温暖化対策の必要性や自然エネルギーの重要性は理解している。でも、希少なオジロワシが風車に激突して死んでいるのは許せない。
風車を立てたい人も、もちろんオジロワシが死ぬのはよくないことだと理解している。でも、オジロワシが死ぬから風車を立てられないというのはあまりにナンセンスではないか。

主催者としては、風車を立てたい人と鳥を守りたい人とが共有できる「リスク認識」と「前提となる価値」をはっきりさせて、演繹的に(?)一般的価値の共有から具体的解決へと合意を積み重ねていこうという戦略だった、と理解しましたが、議論を聞いていた印象としては、お互いのことを知らないままに「風力エネルギー」と「(希少種の)鳥」の通約不可能な重要性を主張しあっている、という図式から抜け出しきれていないように見えました。
リスク認識や価値を共有しようとする努力には意味があると思いますが(佐藤先生は合意幻想を捨てろ!派だそうです)、問題の構造と生産すべき情報を明らかにする方が生産的なのでは。本当に共有すべきは、鳥を死なせない、地域社会の人も歓迎する、みんなハッピーな風車を立てるという目標です。それを阻む根本的な原因を解明して、克服の選択肢を考えるのが専門家(科学者)なのではないかと。

今回は、風車vs.鳥でしたが、騒音・振動、景観の問題もあります。地域の自然環境・生活環境全体の中で、地域社会が風車に限らず自然エネルギーをどう活用していくか、という視点で、議論を発展させていくことが重要なのかなと思います。
コミュニケーション・プロセスの設計が問われます。

蛇足ですがメモとして。自然エネルギーは、原子力や火力発電に比べて新しい技術が多く、社会がどのような仕組みで技術を使うのか、という意味での技術の実用化に対する研究開発投資が十分ではなく、未成熟なものとして扱わなければいけないと思いました。(清水万由子)

コメント (0) |  トラックバック (0) | 

はじめまして。 〜今日の話題は温暖化のことです〜

2009-05-15 13:02:43 | Weblog
初めて投稿します。長野大学研究員の清水です。
プロジェクトに関係する情報、雑感、議論のタネなど、気軽にアップしていきたいと思います。
ご意見・ご異見、事実誤認のご指摘などなど、本気でばしばし寄せられることと期待しております。

さて今日の話題は、現在政府が募集している「地球温暖化対策の中期目標に対する意見の募集(パブリックコメント)」(5月16日締切!!)です。
温室効果ガス排出量を2020年までにどれだけ削減する目標をたてるか、90年比で+4%から-25%まで、6つの選択肢を提示しています。
 http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tikyuu/kaisai/dai07kankyo/tyuuki_iken_syousai.pdf
ご存知のとおり、京都議定書では日本は2012年までに90年比6%の削減を約束しています。すでに日本は90年比排出量が増加し、6%削減達成はあきらめムードですが、6案のうち、(1)(2)は京都議定書を無視した中期目標になっています。京都議定書の削減目標は科学的な根拠にもとづいたものではなく、可能な政治的合意であったというだけなのですが。
2007年のIPCC第4次レポートでは、気温上昇を2.0〜2.4℃に抑えるためには、先進国全体で2020 年に90 年比25〜40%削減、2050 年に80〜95%削減が必要であるとされていますが、じゃあ-40%を目指しましょう!とはならないようです。
そして注目が集まるのは「経済・社会への影響」で、省エネの努力をしてきた日本では、同量を削減するために生じる費用(限界削減費用)がEUやアメリカより多くかかってしまう、つまり家計の負担は大きいし、失業者も増えるんだよ!ということが強調された書き方になっています。

このプロジェクトに通じる論点として、2点あるように思いました。

1つは「科学的知見と意思決定の距離」です。
6つの選択肢は、精緻なモデル分析による科学的・理論的検討の結果示されたものです。
一方、危機的状況をできるだけ避けるために、科学者からはすでに大幅削減に向けた「行動のよびかけ」が発せられています。
 http://www.env.go.jp/earth/ondanka/knowledge.html
危機的状況の予測と限界削減費用はいずれも科学的知見ですが、秤にかけても、単位が違うので、重さを比べることはできません。

2020年までに25〜40%削減しなければ、経済的・社会的損失は計算不可能かつ回復不可能なほど大きく深刻ですよ、と言われても、じゃあ今年から6〜8万円を対策費として負担してくださいといわれると、受け入れられない。それは、不確実な将来を割引いた個人の意思決定としては「合理的」かもしれません。しかし、ここでやろうとしていることは、政府としての意思決定です。
環境相は、排出増加を含む6案を「恥ずかしい選択肢」と嘆き、削減費用を強調する経団連の意見広告に「悲し」むことで、事の真相を伝えようとしているのかもしれませんが、彼は嘆き悲しんでいる場合ではなく、単位の違う科学的知見をもとに、政治的な意思決定を導かなければならない立場です。

もう1つの論点は「科学的知見がもとづく前提条件」です。
今回の6つの選択肢は、いくつかのモデルを使って、対策と削減量、削減費用、経済指標の変化などを計算しています。
しかし、そのモデルに入れ込む対策の内容や、税制や産業構造などの経済・社会基盤の設定によって、計算結果は大きく変わってくるでしょう。経済指標としてたとえばGDPが妥当かどうかも、問われるところです。
6つの選択肢で想定されている対策内容や計算に含まれる経済効果などがきわめて限定的で誘導的であるという批判が、環境NGOからもなされています。
 http://www.kikonet.org/research/archive/mtt/mtt-how_to_read20090421.pdf

ある科学的知見は、どうしても現実を切り取った限定的な前提条件によらざるを得ない。どの前提を取り込むかは、選択の問題という場合があるでしょう。
さらに将来予測の場合には、限定的な前提条件をどのように設定するかによって、予測の内容は異なってきます。完全なフリーハンドではないけれど、意志やビジョン、こうありたいというaspirationがなければ、今回の6つのように、幅の大きな選択肢の前で困ってしまうだけです。
また、社会科学としての「科学」は、明らかに人間の価値観によってたつものです。たとえば1日3時間電気が使えないことが「費用」かどうかは、私たちが「費用」と考えるかどうかです。その3時間を瞑想タイムとすることで豊かさを感じることもできるわけです。(断食って、そういう感じでしょうか)
24時間365日電気が安定的に供給されるべきだ、という意志は、社会の中でなんとなく共有されている。と思ってしまうことに、落とし穴があるようにも思います。

で、結局何が言いたいかというと、人間の意志とか価値観とかいうものと、科学的知見は、隔絶してはいないけれど、同じものでもないということです。
「である(be)」から「であるべき(ought to be)」を導けないというヒュームの法則、なんだよね〜(佐藤先生)というのが、オチでした。(清水万由子)
コメント (1) |  トラックバック (0) | 

新年のごあいさつ

2009-01-02 10:02:23 | Weblog
あけましておめでとうございます。昨年はついに地域環境JSTプロジェクトが始
り、手探りながらも地域環境の保全と活用に貢献できる科学(学問)のありかた
を探究する旅が始まりました。今年もみなさんのご助力を得て、ほんとうに実効
性のある成果を蓄積していくために、微力ながらがんばりたいと思っています。
今後ともご指導ご鞭撻をよろしくお願いいたします。

新年には下記のように1月11日にCBM研究会と合同で研究会を行います。CBM研究
会の性格上、参加はまったく任意で、旅費などもご自身で手当てしていただくよ
うにしております。松田さん、大西さんに話題提供をいただき、自然資源管理を
めぐる科学、在来知、国際社会のかかわりを検討します。いつもと違う顔ぶれと
議論するチャンスですので、ご参加いただければありがたいです。

第9回CBM研究会「自然資源管理をめぐる科学と社会」
1月11日(日曜)13時半〜17時半ごろ(その後懇親会)
話題提供

大西秀行「資源保全にかかわるローカルナレッジの理想と現実」
松田裕之「日本の沿岸漁業の海域管理と知床世界遺産に対する世界の評価」

場所
慶應義塾大学 東館5階 交流スペース(下記の4番の建物)
http://www.keio.ac.jp/ja/access/mita.html

それに続いて、1月24日、25日(土、日)には上勝町と徳島大学で先年の森セミ
ナーに合わせたミニ研究会とエクスカーションがあります。鎌田さん、勝瀬さ
ん、アレンジをどうもありがとうございました。残念ながらぼくは参加できませ
んが、すでにご案内があったように、たいへん興味深い内容が詰まっています。まだご参加の意思を鎌田さんにお伝えしていない方はお急ぎください。

今年度最後の研究会(拡大グループリーダー会議)は、3月6日、7日、8日(金、
土、日)に大阪学院大学で開催いたします。プログラムは近いうちに原案をお送
りいたします。

それでは、今年も有意義な議論と実践を通じて、科学と社会のより良い関係構築
をめざしてまいりましょう。どうかよろしくお願いいたします。(佐藤 哲)
コメント (0) |  トラックバック (0) | 

「千年の森セミナー」と「地域環境JSTミニ研究会」のご案内

2008-12-16 16:22:05 | Weblog
住民協働による森づくりの先進地「とくしま高丸山千年の森」について,その活動を紹介するセミナーが開催されます。これにあわせて,地域環境JSTミニ研究会も開催します。

興味をお持ちの方は,どうぞご参加ください。なお,セミナー終了後に懇親会も予定されています。懇親会には参加申し込みが必要です(最下欄)。

◆◇1月25日(日) 徳島大学工学部 工業会館◇◆
   http://www.e.tokushima-u.ac.jp/article/0012895.html
   http://www.e.tokushima-u.ac.jp/article/0012897.html

● 地域環境JSTミニ研究会 [予定](9時20分〜12時)
  9時20分〜9時30分
   趣旨説明  鎌田磨人(徳島大学)
  9時30分〜9時50分(15分発表,5分討議)
   関西サブ研究会[12月23日]の報告
  9時50分〜10時30分(25分発表,15分討議)
   ハス田周辺水路に生息するカワバタモロコ保護の枠組みづくり
   農家−行政−研究者の協働は可能か?
     田代優秋(徳島大学)
  10時30分〜11時10分(25分発表,15分討議)
   佐渡における自然再生―トキ野生復帰に向けた協働のシナリオ
     河口洋一(九州大学)
  11時10分〜12時(30分発表,20分討議)
   「高丸山千年の森づくり」の歩み‐自立的運営に向けた動きと苦悩
     勝瀬真理子(千年の森)


● 第3回 千年の森セミナー 「地域に根ざした自立協働型森づくり」
主催:徳島県立高丸山千年の森指定管理者 かみかつ里山倶楽部
後援:上勝町(予定) / 徳島県農林水産部林業振興課(予定)

 徳島県立高丸山千年の森の活動テーマである、「森に親しみ・森を育て・森に学ぶ」を実現するためには、山とともに暮らした地域の意識、自然観から学び、実現することが必要です。指定管理者「かみかつ里山倶楽部」は千年の森での森づくりを通して、広く県民に機会を与え、これらを次世代へ引き継ぎ、山と人が共生できる持続可能な社会を実現したいと考えています。
 本セミナーでは、「かみかつ里山倶楽部」が実践してきた3年間の活動をご紹介するとともに、活動に至るまでの地域住民とともにすすめた運営の苦楽とコツをお伝えします。また、地域に根ざした自立型の自然学校を運営する先進地である「大杉谷自然学校」から講師をお迎えし、地域での活動をより楽しく、よりまじめに取り組むためのヒントをいただきます。

13:00〜13:10  開会の挨拶 統括責任者 米田潤二
             本日のセミナーについて 事務局長 澤田俊明
13:10〜14:25  「かみかつ里山倶楽部」の活動報告
  ・「チェンソーアート作品コンクール大会」で100人集まった!報告
          参加交流部会副部会長 武市功
  ・「かみかつ里山倶楽部」のあの手この手奮闘報告
          事務局 勝瀬真理子
  ・何より「森づくり」の奮闘報告‐森づくりボランティアより
          生山会/東亞合成株式会社徳島工場
  ・「森づくり」を評価し見直すための「調査」からの報告
          森づくり部会部会長 鎌田磨人
  ・徳島大学との連携〜学生実習発表〜
          徳島大学工学部学生代表
14:25〜14:40  休憩
14:40〜15:50
   【基調講演】
   「地域に根ざした自立協働型活動運営の苦楽とコツ」(予定)
          NPO法人 大杉谷自然学校校長* 大西かおり氏
   「地域の財産 山の魅力」(予定)
          大杉谷自然学校 森 正裕氏
15:50〜16:25  全体ワークショップ

16:25〜16:30  閉会の挨拶
             高丸山施設管理責任者 西利一

18:00〜20:00  懇親会(予定) ※事前申込み要(1月18日〆切)
             徳島駅周辺(予定)
             参加費 5,000円程度

★☆ 千年の森セミナーに関する問い合わせ・申込み ☆★
 徳島県立高丸山千年の森 千年の森ふれあい館
 〒771−4502 勝浦郡上勝町大字旭字中村66−1
 TEL 0885−44−6680
 E-mail sennennomori@quolia.ne.jp
 ●申込み表
  名前
  所属
  電話
  懇親会  参加 ・ 不参加
コメント (0) |  トラックバック (0) |