チェロ五十代からの手習い

57才でチェロに初めて触れ、発見やら驚きを書いてきました。今では前期高齢者ですが気楽に書いてゆこうと思います。

チェロのトップに座る異次元の厳しさ

2017年05月02日 20時25分29秒 | オケの練習

チェロ暦10年にしてチェロのトップに着くことになった。 

昨年はお断りしたが、5月定期演奏会のメインは「ラフマニノフの交響曲第2番」には
以前他のオケで乗った事もあり、いろいろな事情でこの曲のトップを引き受けることになった。 

年初に引き受けたものの 結果として経験したことは想像もできない厳しいものだった。
本番は2週間後、何が起こるか分からないが、今のうちに感じた事を書き留めておこう。
(ちなみにわがオケでは、チェロトップは指揮者のすぐ右隣に座っている人なんだけど) 

「ラフマ」のチェロトップを任された時から、今までには無かった色んな「異変」が起きている。

まずは、自分のパート譜を隅々まで見直すことに。というか弾けなきゃしょうがないので。
今まで演奏してきた楽譜の見誤りが本当におどろくほど沢山発見された。
誠に恥ずかしいながら、パート後方で気軽に「エアー」で逃れてた部分も多い。 
「ラフマニノフ第2番」はチェロが2~4パートに分かれ、1stは各段に難しい。

今回楽譜をさらい直して個人練習を「やったつもり」で合奏練習に向かうと、
全然合わないことも多く、合わなければ、指揮者はトップを責めるのは当然のこと。
自分が飛び出せば、後ろの人全員に謝らなけれなならないし・・・

結果「スコアー」を何度も見直し、練習を毎回録音し、繰り返し聴き直すことが習慣になった。
今まで持っているだけに近かったスコアーは、マーカーやらメモ書き込みだらけになった。
自分のパート譜も、「影譜」(クラリネットやらVn、Hrなどなど様々なパート)の書き込みで
真っ黒になり、同じプルトに座ってくれるプロから「これじゃ譜面が読めない」と叱られたりも・・・ 

楽器に触らないと不安で毎日練習するけど、サイレントチェロでは練習にならない事にも気づかされた。

それでも全体練習になると、合わないところ、弾けないところが、いつまで経っても発見される。
自分では弾けているつもりでも、実際の合奏になると弾けてないし、合わないことが繰り返される。 

演奏でミスしている姿が夢に出てくることもあった。
なんだか息苦しいこともあり、血圧を測るといつの間にか血圧が異常値を示したので、
OMRONの血圧計も買い替え、血圧降下剤を飲み始めた。 
「なんでこんな大役を安請け合いしたんだろう」と自分で自分を責めたりもする・・・

書き出したら切りがないが、ここでしみじみと思いいたすことがあった。
「これまでお世話になった首席の皆さんは本当にすごい努力をしていたんだな~全く気付いてなかった」
「1曲どころか全プログラムを弾きこなし、後ろに居並ぶメンバーをリードしていたよな~すごい!」
「となるとコンマスという人は一体どんなに研究をしてオケのど真ん中に座っているんだろう、想像を絶する」 
「となると、指揮者ってのは偉いものだな~・・・」

以前から管・打楽器は全員がソロプレーヤーだよな~、すごいな~とチェロ席からオケ後方を眺めていた。
でも、パート全体のトップはソロ楽器とは違ったプレッシャーがあることが今回良く分かった。
確かに管・打楽器がミスをすれば、観客も気づきはする。
弦楽器パートのトップのミスはボーイングの違いとしてすぐに察知されるが、ミスでは済まない。
5プルト10人全員が間違える可能性だってあり得る。
パート全体が変な方向に向かえば、オーケストラの音楽そのものが崩壊しかねない。 

ま~自分はそんなに信頼されているわけではないので、最悪の事態にはならないのだが
それでもお客さんは、パートのトップをしっかり見聞きしていることは間違いない。
トップの姿から、そのオケの力量を推し量るのだから(自分もそうだったし) 

こんなこと、グダグダ書いてる場合じゃないのだ。
「前期高齢者」に思わずプレゼントされて晴れ舞台と感謝しつつ、
残り2週間、今できる最良のアンサンブルに向けて練習をするのみだよな~

コメント (4)
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする