さかもと麻乃さんの作品です。
表紙からして凄く綺麗ですねー。
帯コメントには、
「このキモチ、こなごな最前線イジワルあの娘は恋泥棒
大人でも子供でもない、リアルな恋愛感情が絡みあう珠玉の読切中編集」
とのこと。
非常に素晴らしい百合作品が4編収められています。
■マイユニークデイ
劇団に所属するミキと空子のつかず離れずな関係。
実は二人とも両想いなのに、しっかりとドギマギ恋しちゃっている空子と、
過去を隠しながらも切ない笑顔を振る舞うミキの関係が非常に良いですねー。
結ばれると思いきや、途中で一度キモチがすれ違ってしまうのがまたミソですね。
そして最後に、改めて想いを確かめ合う二人。。。素敵すぎます！
■パイをあげましょ、あなたにパイをね
タイトルにもなっている作品ですね。
婚活をしながらも、セフレが大量にいるというみどりと、
そんな彼女を突き放しながらもしっかり一緒にいるユキ。
みどりは婚活や合コンはするものの、結局ユキの事が好きで、
何よりもユキの事が気になってしまうという。
このみどりという少女、ウェディングケーキなら良かったという夢見がちな一面もありながら、
生活が破綻しているようで実はゴミの分別をしっかりしていたりと、
なかなかに面白くも可愛らしい女の子。
そんなみどりが、合コンで男に迫られ、結局は逃げてユキの所に逃げ込んできた。
でも、そんなみどりを見るのはユキにとっては非常に切ない訳で。。。
そんなユキの想いを突き付けられたみどりは、最初はピンとこなかったものの、
コンビニで見かけたミルフィーユを見て自分の憧れ・恋心にはたと気が付き、
急いでユキの元に戻ります。
この時の二人の表情が・・・たまらなく良い！
実はユキの事が気になっていたみどりの事を知っていたユキ。
これまでお互いの本当に気持ちに素直になれなかった二人が、
今までの時間を埋めるかのように語り、抱き合う。
うーん、凄く素敵です！
最後に二人でミルフィーユを食べるところなんかも微笑ましい♪
■スワコさんと宇宙旅行
これまた素敵な作品！
人妻なのに百合カップルとしてもしっかり受け入れてくれるスワコさん、素敵過ぎます！
まさしくスワコさんの世界は宇宙なのでしょうねー。
しかし「宇宙」というのも考えもので、幾らでも受け入れてくれるけど、
その実、実態がどうなっているのかは誰にもわからない。
そんなスワコさんだからこそ、皆が惹かれ、皆が憎めないのでしょう。
こんな女性に、こんな気さくに接されては、どうにも切なくなってしまいそう。
でも、そこはやはり「宇宙」として割り切るのでしょうか。
それとも、むしろそれを楽しむのでしょうか。
そのどちらも、ツラく、そして素敵な感じがします。
スワコさんの下着姿が色っぽいのも良いですねー。
■もう好きなんて言わないから
エリコとナコはアイドルユニット。
しかし冒頭でナコは「私 女の子しか好きになれないの」
と、いきなり気になる発言で始まります。
アイドルユニットである二人は両想いになるものの、
エリコがソロデビューの話をもちかけられた時に、ふと現実が見えてしまう。
二人の「好き」は確かに同じ「好き」なんだけど、
「好き」のためにソロデビューを犠牲にしてしまおうとするエリコに、
ナコは自分の想いを吐露する。そして、二人の間の溝に気づくエリコ。
「恋愛感情」と「才能」は全く違うベクトルで。
でも、そんな二つの要素が二人を結びつけていたなんて、凄く皮肉な話。。。
ここ、凄く切ないですね。。。
「恋愛感情が暴力になることもあるだなんて」
これ、凄く切ないセリフですねー。
結局二人は別の道へと進んでしまうけど、
それでも一度すれ違った際に「ごめんね」という口の動きが。。。
もう、盛大に涙腺決壊ですよ、、、
このラストとかもう泣けまくりで非常にヤバいです。
そしてその後でまた冒頭の
「最近とうとうナコちゃんの夢を見なくなった」
というセリフでまたグッと来てしまう。。。
という訳で、非常に濃くて満足な4編でした。
実はさかもと麻乃さんの作品は初めてだったりしたんですが。
非常に胸を打つ展開が多いですね。ストーリーも凄くツボです。
あとはキャラ。
どの女の子も非常に可愛いけど、リアリティのある表情ややり取りが凄くツボでした。
もっと、さかもと麻乃さんの作品を読んでみたいなーと思いました。
パイをあげましょ、あなたにパイをね (IDコミックス 百合姫コミックス)
posted with amazlet at 12.01.18
さかもと麻乃
一迅社 (2012-01-18)
一迅社 (2012-01-18)
