バットマンは米国の有名な漫画の主人公で何度も映画化された勧善懲悪のスーパーヒーロー。今、上映されている映画は『ダークナイト』という題で公開され欧米で大ヒット中。
強敵ジョーカーは、お金ほしさの銀行強盗とは違う。バットマンを翻弄するのが「生きがい」のツワモノ。はてさて裏を掻かれて負け続けるバットマンは、本性をむきだしにし、留置場のジョーカーを拷問する。そのやり口は、CIAを彷彿とさせる。違法であることを承知しながら、ひたすら暴力で自白を迫るバットマンを警察は制止しない。映画は、警察や検事が暴力体質だということも描いている。
魔都ニューヨークを連想させるゴッサムシティで最後の決戦に備えて、バットマンは会社の部下に全ての携帯電話の盗聴を命じた。その発想はブッシュ政権下の国防省が推進する全情報認知システムプロジェク トに酷似している。これは、テロ対策を口実に、人々の個人情報、たとえばクレジットカード会社や健康保険会社のデータ、盗聴情報データベースなどを統合し 国家が管理する人権無視のプロジェクト。
登場する人物は、悪役はもちろん検事・警察からバットマンまで違法行為や市民に対する背信、虚偽をいとわない。これを評しニューヨークタイムズは「モラルをすべて灰色に描いた」と論評。
原作のお遊び正義ごっこなど今どき受けるわけもない。悪役ジョーカーの怪演ばかり宣伝されるこの映画をイギリスの新聞タイムズは「9・11から構想した」と評し、ニューヨーク・タイムズは「テロとの戦いに対する一種の批評」とまで指摘したらしい。つまり現代米国の自画像ともいえる。お子さまコミックの映画化ではなく、大人向きアクション・スリラーなのだ。
米国刑事法など米国事情の基礎知識を前提に、猛スピードの展開が日本人には難解で、日本での興行成績は悪いものの「米国の正義」の不正・腐敗・偽善を描いたこの怪作、たっぷり堪能できた。
◆ダークナイトの主な関連リンク・資料
ダークナイト (The Dark Knight/2008/Christpher Nolan)(クリストファー・ノーラン)(2008-07-14、粉川哲夫の【シネマノート】」
The Dark Knight(2008-08-03 14:42:47、隠された毎日)
「ダークナイト」(土方美雄の日々これ・・・、2008-08-11 02:12:21)
バットマン…実はブッシュ大統領? (1/2ページ) - (MSN産経ニュース 2008.7.23 18:19)
「『がれきから立ち上る煙の中でたたずむ消防士、外国人の誇張された描かれ方、悪に対する戦いが次第に度を超えて復讐(ふくしゅう)めいてくるところ…。映画は9・11から構想を拝借したとしか思えない』。英紙タイムズはこう指摘する。
『明らかにテロとの戦いに対する一種の批評である』と分析するのは米紙ニューヨーク・タイムズだ。今年1月に急死した俳優、ヒース・レジャーさんが演じる 悪役ジョーカーを『ウサマ・ビンラーディンふうのテロリスト』と性格付けする一方、バットマンを『闇を抱えたやり方でのテロへの反撃』ととらえる。
バットマンは拷問や盗聴など超法規的手段を用いながら、ジョーカーを追い詰めていく。正義の味方でありながら、通常の法の枠組みから逸脱した行為も辞さな い姿が、キューバにある米軍グアンタナモ基地でのテロ容疑者の長期拘留や、捜査目的での盗聴範囲を拡大し社会問題化している米国の状況と重なる。」
バットマン…実はブッシュ大統領? (2/2ページ) - (MSN産経ニュース 2008.7.23 18:19)
「大手ニュース・評論サイト「スレート」は、『旧来のわかりやすい善悪の図式が崩れていく9・11以後の状況を寓話(ぐうわ)的に描いた』と指摘する」
映画「ダークナイト」監督 クリストファー・ノーラン氏(FujiSankei Business i. 2008/8/13)
「『世界の警察』として君臨する超大国、米国の現在のジレンマを描いたのか? そう聞くと、『自由に想像できるのが映画の魅力。楽しんで見てほしい』と煙に巻かれた」
"ジョーカーはアナーキスト"『ダークナイト』プロデューサー、チャールズ・ローブン&エマ・トマース 単独インタビュー (CINEMA TOPICS ONLINE 2008/08/12)
How Batman became cinema's top trump - August 17, 2008, Times Online
Batman beats up the Joker in jail, a scene reminiscent of the "enhanced interrogation techniques" used by the CIA on terrorist suspects, and uses a computerised tracking system to plug into every mobile phone in the fictional city of Gotham, much like the "Total Information Awareness" wiretapping programme espoused by the Bush administration. (引用者註: "Information Awareness Office" - 米国国防省情報認知局)
Batman and the War on Terror - August 28, 2008, The New York Times
Mainly, though, the movie seems to paint it all in moral grays ― like almost everything else in this Gotham City.
『ダークナイト』意外な日米格差 日本の興収は全米の3%程度に!?(日刊サイゾー)
苦情殺到!『ダークナイト』は子どもに過激すぎる(2008年8月11日、シネマトゥデイ)
Press views of The Dark Knight (BBC News - Entertainment)
The Dark Knight review (TimesOnline.com)
興行成績:『ダークナイト』、4週連続で1位(韓国発 2008/09/02 08:55:06、朝鮮日報日本語版)
岡本太陽氏 米映画批評: ダークナイト(2008年07月22日、映画批評なら映画ジャッジ)
『ダークナイト』(2008/8/2、SF映画夜話)
前田有一氏 激映画批評: ダークナイト(2008年08月04日、映画批評なら映画ジャッジ)
スタッフ古庄 的映画批評: ダークナイト(2008年08月06日、映画批評なら映画ジャッジ)
『ダークナイト』はバットマン映画か? (2008/8/20 01:18、浦澄彬の音楽批評)
『ダークナイト』97点(100点満点中)(前田有一「超映画批評」)
世界は硬直しすぎる―「ダークナイト」 (豆酢館 2008-09-04 01:03:1)
映画『ダークナイト』/監督:クリストファー・ノーラン(読書日記と着物あれこれ 2008-09-04 00:46)
『ダークナイト』~苦悩映画の最高傑作(たけくまメモ 2008年8月22日)
【映画2008】ダークナイト(ゲームの王道 2008年08月02日 23:59)
ダークナイトの奇跡(伊藤計劃:第弐位相 2008/07/30 16:48)
映画『ダークナイト』レビュー(行者のログ道★迷い筆 2008/09/02)
ダークナイト(庶民の弁護士 伊東良徳のとき・どき★かるちゃ~ 2008年08月10日)
バットマンは犯罪者(伸太郎はNZに行けるのだろうか 2008.9.3)
ダークナイトユーザーレビュー (Yahoo!映画役立ち度順)
ダークナイトユーザーレビュー一覧 (goo 映画)
映画レビュー検索: ダークナイト (Google)
Dark Knight, The (2008): Reviews (CNET Networks - metacritic.com)
IMDb user comments for The Dark Knight (Index)
★The Dark Knight Official Site
★映画『ダークナイト』公式サイト
★The Dark Knight Offizielle Webpräsenz
WhySoSerious.com
IBelieveInHarveyDent.com
GothamCableNews.com
ダークナイト(ウィキペディア)
The Dark Knight (Wikipedia)
The Dark Knight quotes (Wikiquote)
The Dark Knight (shooting script - pdf file @ JoBloA)
The Dark Knight (2008) (IMDb: Internet Movie Database)
Dark Knight, The (2008) (MRQE: Movie Review Query Engine)
The Dark Knight (Apple - Movie Trailers)
ダークナイト (アップル - 予告編)
ダークナイト冒頭5分46秒クリップとイメージクリップ (06:37 @ TrailerAddict.com)
The Dark Knight (Trailers, ComingSoon.net Film database)
The Dark Knight mistakes (MovieMistakes.com)
大変申し訳ございません。
削除願います。
つまり・・・こういうことですな。
映画辛口批評のトラックバックは、届かないアドレスなので削除しました。
デブリンさん。またまた、鋭い分析が....。
『ダークナイト』を観ると、アメリカも9・11直後の「テロリストはアメリカの自由と民主主義が憎いのだ」のような嘘くさい被害者意識から抜けて、やっと自分たちがやってきたことを冷静に見られるようになりつつあるのかな、と思います。
最初の頃の『バットマン』映画と比べると、驚くばかりです。
ホントに、重厚でダークなオトナの映画でしたね。
ブログ、映画を楽しんでいる様子が伝わってきて注目しています。