真似屋南面堂はね~述而不作

まねやなんめんどう。創業(屋号命名)1993年頃。開店2008年。長年のサラリーマン生活に区切り。述べて作らず

ファイアハウス(D.ハルバースタム 2003年、原著2002年) ご近所の長老が淡々と綴った感動作

2010-09-30 | 読書-歴史
ファイアハウス
原書名:FIREHOUSE
(Halberstam,David)ハルバースタム,デイヴィット【著】
鈴木 主税【訳】
集英社 (2003/02/28 出版)

wad's 読書メモさん
9/11事件の際に出動した13人のうち12人が死亡した、FDNYの第40ポンプ車隊と第35はしご車隊が所属する第40/35署について書かれたノンフィクション
ドラマチックに盛り上げないように注意して、淡々とした記述に終始する
そうそう!

テレビで旅客機がビルに突っ込むのを見ていた消防士たちは、「これは!相当やばいよなあ」と事態の重大性と危険度を十分認識。
最後の出動になるかもしれないとの予感ありで、家族に電話などしてから淡々と出動したケースもあり。
うーむ。

ひょんなことから出番を代わってもらった者などもあり。
飛行機事故に乗り合わせるのをすんでのところで逃れたケースなど多々ありだが、NYの消防士でたまたま同僚に代わってもらった朝に・・・というのは物凄い心の傷になっただろう。

追悼行事の模様(市消防局公式サイト):FDNY Remembers September 11, 2001

第40/35署の12名は、ニューヨーク市消防局の消防士343名のごく一部でしかない。

http://www.engine40ladder35.com/Home_Page.php
「○街△丁目分署」というような命名でなくて、「ポンプ車○号」、「はしご車◇号」という命名方式なのね。

13名中唯一の生存者Kevin Shea

amazon.com Deeply felt and emotional, Firehouse is a tribute to these decent, honorable, and heroic men and a celebration of their selflessness not only as firefighters but also as husbands, fathers, sons, brothers, and friends.

Firehouse by David Halberstam - Powell's Books
著者インタビュー(2003年6月)へのリンクあり

「地元紙」の書評 NYTimes.com
'Firehouse': Band of Brothers
By JAMES TRAUB
Published: June 2, 2002


訳者あとがきで引用されていたのと同じエピソードの引用があった。
When Roberts asks his son why he's chosen firefighting, he says, ''Because you always came home from work happy.''

「地元誌」New York Magazine
Halberstam's Heroes -

消防士一家というか、消防士として3代目だとか、兄弟でNY市消防局に勤務というケースも多々ある由。
署の行事などに家族を連れて行き、おじちゃんたちにかわいがってもらった少年が…というケースは少なくないようだ。

証券会社に勤めてみたが、はるかに給料の安い消防士になる、などのケースも。

クイーンズに住んでいたユダヤ人の裁判所速記官の息子が、パパに連れて行ってもらった自然史博物館の恐竜の骨格標本を見て、「大人になったらああいうのを研究するヒトになるんだ!」と決意して、実際に古生物学者(専門は西インド諸島のカタツムリ)になったケース。

かたや、パパの消防署に連れて行ってもらったアイルランド系の子が、「坊主も消防士になるのかい?」「うん!」みたいなケース。

警官だと、今週捕まえたチンピラが来週にはまた街に出ているようなことがあるが、火事は消せば消えたままだし・・というのはもっともだわな。
で、消防士志望の青年が採用枠が空くのを待つ間、警官になって待機するケースもある由。
へえ。
ま、警官にインタビューすればまた別の話が出たりするのだろうけど。

給料が安いこともあって、配管工や大工などとの兼業も多い由。
公認なのだね。

ポーランド系の消防士が電話を受けて、分署に2人いるドイツ系消防士のどちらかに用事だとわかると「そこのナチに電話だとさ」などと言って取り次ぐというエピソードはすごい。
命の危険を伴う職場で、深い信頼関係があってこそ言えるジョークだよな。

当日朝の第40/35署からの出動者中、唯一の生存者Kevin Sheaが瀕死の重傷を負って発見された写真に、天使を描き込む。
Kevin Shea, Ladder 35, in debris 9-11-01 10am

「天使が助けてくれたのですよ」という絵を見て、幼稚園のときに先生に見せられて納得できなかった紙芝居を思い出した。

「幼児が道路を横断する。その後ろに立って守る天使」
正しく横断しているよい子は天使さまが守ってくださるのです、とかいう説明に違和感を持った幼い南面堂(笑)。

「正しく横断していても暴走車に轢かれる事故はあるではないか」と考えたのだが、そう反論するだけの言語能力を持ち合わせていなかったのだった。
半世紀昔の話。

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