原稿零枚日記
小川 洋子【著】
集英社 （2010/08/10 出版）
「原稿はつねにあまり書けないものです。私の感覚ではいつでもゼロ枚しか書いていないような気分です」
[評者]鴻巣友季子（翻訳家）
■日常するりと異界にする魔術師
じつは、大好きなクラフト・エヴィング商會の『じつは、わたくしこういうものです』の「冷水塔守」を思い出した。
小川女史が演じておられた冷水塔守というコンセプトは、南面堂的にはじつはそれほど気に入ったわけではないのだが、著者がこのような発想（うそ職業・・）を常に温めていることが本書によりあらためて確認されたような気がして、微笑ましいというか、もううっとり・・。
see/pass you againさん
うそ日記が好きだ
柴田元幸さんや川上弘美さんのうそ日記にも言及するなんざ、さすが練達のうそ日記好き。
生活改善課の若者は「Rさん」が正解で、「Wさん」は若い女性の作家ね。
どうでもいいけど。
というか、Rさんだの、Wさんという作品中の命名自体、勿体なかった気がする。
ありそうでなさそうな、不思議な名前をつければよかったのに、と素人の南面堂は思うけど。
じつは、毎週日曜、家にいるときには聞いているラジオ番組（当店で過去にも言及）。
作家の小川洋子さんが”心の本棚にあるたくさんの名作の中から”、毎週一冊の本を取り上げ、ご自身の感想や作家にまつわるお話をきかせてくれる30分のラジオ番組
ご自分の言葉の部分と、構成作家の原稿を読み上げている部分の明白な対比が、また何とも言えない魅力。
せっかく書いてもらった台本（曲の紹介など？）を、間違えないようにきちんと読みましょう…というまじめな性格が表れていて微笑ましいというか、もううっとり・・。
ふむ。相手役はこいつか...
藤丸由華のまるっとDIARY: メロディアスライブラリー
でさ、この番組はさ、「あらすじ係」に他ならないんではないかい？
著者が語るあらすじを聞くと、「これは未読だが、やはり読んでおくべきだな」とか、「うむ、昔読んだけど、あらためて読んでおきたいものだ」と思うなど、零枚日記中の著者と一緒の感じで、微笑ましいというか、もううっとり（シツコイ？）。
【書評倶楽部】京セラ相談役・伊藤謙介 『原稿零枚日記』小川洋子著
"「蓑虫の寝汗」という最高級紅茶や「ドウケツエビの宇宙」という不思議な演奏が登場する
自己の存在を問いつつ、同時に人間の危うさにも迫り来る、深遠な小説である"
蓑虫の寝汗とドウケツエビの宇宙は、南面堂もたいそう気に入ったのだが、ずばりそれらを明記されているなんざ、評者氏、只者ではないな、と。
八月のある日（火）に、眠れないので図鑑を書き写すのだが、登場する図鑑が実在すると知り、ちょっと残念。
というのも、著者が作った「うそ図鑑」だったら愉快だな、と思っていたのね。
尼岡さんという図鑑の著者、なにやら空想の名前のような匂いがするではないか、と思ったのだが、じつは北大名誉教授。
失礼しました（汗）。
「ブックマン社」も空想のうそ出版社らしい名前ではないか？と思ったのだが（知らなかったもんで）、これまたシツレイしました（汗）。
深海魚―暗黒街のモンスターたち
尼岡 邦夫【著】
ブックマン社 （2009/03/24 出版）
記述される深海魚も、もちろん実在！
クロボウズギス
ヒメコンニャクウオに至っては、新種だそうで。
Hime-kon’nyakuuo
日本から得られたクサウオ科コンニャクウオ属の新種ヒメコンニャクウオ(新称)
蓑虫の寝汗とドウケツエビの宇宙に比べ、ちょっとがっかりしたことは隠せない。
ここまでうそ図鑑にうそ深海魚を創作してしまうと、クラフト・エヴィング商會になっちまうではないか、ということで実在の図鑑か。
著者は、小説への引用に際して尼岡先生には連絡を取って承諾を得ている筈であり、もしかして面会もされているのではないか？
もしまだだったら、対談企画が望まれるところだ。
『科学の扉をノックする』で科学者へのインタビューの実績もある小川女史、数学者に続いて生物学者もネタにして！（笑）。
小川 洋子【著】
集英社 （2010/08/10 出版）
「原稿はつねにあまり書けないものです。私の感覚ではいつでもゼロ枚しか書いていないような気分です」
[評者]鴻巣友季子（翻訳家）
■日常するりと異界にする魔術師
じつは、大好きなクラフト・エヴィング商會の『じつは、わたくしこういうものです』の「冷水塔守」を思い出した。
小川女史が演じておられた冷水塔守というコンセプトは、南面堂的にはじつはそれほど気に入ったわけではないのだが、著者がこのような発想（うそ職業・・）を常に温めていることが本書によりあらためて確認されたような気がして、微笑ましいというか、もううっとり・・。
see/pass you againさん
うそ日記が好きだ
柴田元幸さんや川上弘美さんのうそ日記にも言及するなんざ、さすが練達のうそ日記好き。
生活改善課の若者は「Rさん」が正解で、「Wさん」は若い女性の作家ね。
どうでもいいけど。
というか、Rさんだの、Wさんという作品中の命名自体、勿体なかった気がする。
ありそうでなさそうな、不思議な名前をつければよかったのに、と素人の南面堂は思うけど。
じつは、毎週日曜、家にいるときには聞いているラジオ番組（当店で過去にも言及）。
作家の小川洋子さんが”心の本棚にあるたくさんの名作の中から”、毎週一冊の本を取り上げ、ご自身の感想や作家にまつわるお話をきかせてくれる30分のラジオ番組
ご自分の言葉の部分と、構成作家の原稿を読み上げている部分の明白な対比が、また何とも言えない魅力。
せっかく書いてもらった台本（曲の紹介など？）を、間違えないようにきちんと読みましょう…というまじめな性格が表れていて微笑ましいというか、もううっとり・・。
ふむ。相手役はこいつか...
藤丸由華のまるっとDIARY: メロディアスライブラリー
でさ、この番組はさ、「あらすじ係」に他ならないんではないかい？
著者が語るあらすじを聞くと、「これは未読だが、やはり読んでおくべきだな」とか、「うむ、昔読んだけど、あらためて読んでおきたいものだ」と思うなど、零枚日記中の著者と一緒の感じで、微笑ましいというか、もううっとり（シツコイ？）。
【書評倶楽部】京セラ相談役・伊藤謙介 『原稿零枚日記』小川洋子著
"「蓑虫の寝汗」という最高級紅茶や「ドウケツエビの宇宙」という不思議な演奏が登場する
自己の存在を問いつつ、同時に人間の危うさにも迫り来る、深遠な小説である"
蓑虫の寝汗とドウケツエビの宇宙は、南面堂もたいそう気に入ったのだが、ずばりそれらを明記されているなんざ、評者氏、只者ではないな、と。
八月のある日（火）に、眠れないので図鑑を書き写すのだが、登場する図鑑が実在すると知り、ちょっと残念。
というのも、著者が作った「うそ図鑑」だったら愉快だな、と思っていたのね。
尼岡さんという図鑑の著者、なにやら空想の名前のような匂いがするではないか、と思ったのだが、じつは北大名誉教授。
失礼しました（汗）。
「ブックマン社」も空想のうそ出版社らしい名前ではないか？と思ったのだが（知らなかったもんで）、これまたシツレイしました（汗）。
深海魚―暗黒街のモンスターたち
尼岡 邦夫【著】
ブックマン社 （2009/03/24 出版）
記述される深海魚も、もちろん実在！
クロボウズギス
ヒメコンニャクウオに至っては、新種だそうで。
Hime-kon’nyakuuo
日本から得られたクサウオ科コンニャクウオ属の新種ヒメコンニャクウオ(新称)
蓑虫の寝汗とドウケツエビの宇宙に比べ、ちょっとがっかりしたことは隠せない。
ここまでうそ図鑑にうそ深海魚を創作してしまうと、クラフト・エヴィング商會になっちまうではないか、ということで実在の図鑑か。
著者は、小説への引用に際して尼岡先生には連絡を取って承諾を得ている筈であり、もしかして面会もされているのではないか？
もしまだだったら、対談企画が望まれるところだ。
『科学の扉をノックする』で科学者へのインタビューの実績もある小川女史、数学者に続いて生物学者もネタにして！（笑）。
