まくとぅーぷ

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500人の祈り 村上隆の五百羅漢図展

2016-02-27 16:06:04 | 日記


もう何年前になるのだろう?
六本木の器屋さんで
得体の知れない大柄な男に

よこちんはねー
湯飲みがいいのよー!

と、唐突に売り込まれた
ことがある

よこちんというのは
その日個展を開いてた
横山拓也さんのことで

大男は横山さん夫妻に
丁重なもてなしを
受けていて
なんか大物っぽかった

後日、本屋の
平積みの表紙に
ベルサイユ宮殿で
個展やった男
という見出しで
写ってたのが
その大男
村上隆さんだった

Bigなのは
間違いなかったんだ

今日はおなじ六本木で
大男の巨大な展示を
見てきた




羅漢というのは
仏の弟子で
世の中の人々の
苦しみを軽減すべく
たくさんの徳を
積んでいても
現世に残って
祈りを捧げる
聖人のことだそう

己は犠牲にして
尽くす姿は
痩せ衰え、襤褸を纏い
でもなぜか愉快にも見える

真っ赤な炎を背景に
250を超える羅漢と
八方睨みの白虎

なぜかわからないけど
胸が痛くて涙がでた

村上さんはこの作品を
2011年の震災にあたり
多大な支援をしてくれた
カタール国のために
製作している

200人の美大生を
スカウトし
プロジェクトを組んで
たった一年で
この大作を完成させた

あまりにも途方のない災害に
どうしようもない無力感を
かかえながらも
生きていかなくてはならないのが
わたしたちで

そのことが
五百羅漢のイメージを
よりリアルに
もたらしたのだそう

わざわざ
いうまでもないけれど
村上さんは
無力なんかではない

それはわたしのことだ

どこかで読んだ
辛辣な文章が
あたまに浮かぶ

「絵も描けず
 歌もうたえないような
 無能なやつは
 必死で勉強して
 あくせく働け」

結局
それしかやれること
ないんだよな

おうちに帰ったら
せめて美味しい
お茶でも飲もうかな

よこちんの湯飲みで



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